立会清算①~『再配希望』編~







「皆さん、お疲れ様でしたーーー!!」
「マジ疲れた。俺、絶対結婚しない。」
「…良い式だった。」
「終わったことはどうでもいい…オラァお前ら、今日はとことん飲むぞっ!!」
「たっ…たーーーだーーーしぃぃぃっ!ホントに、おっ、おヨメさんに…っっ」


ここは、夜の街・新宿歌舞伎町。
魑魅魍魎が跋扈し、百鬼夜行がドンペリコールを絶唱する…愛すべき我が街。

魔女の郷での異類婚姻譚×2を終え、当事者2組は新婚旅行へ(愛の逃飛行?)。
疲れ果てた親達を方々へ送り届けたり、会場の片付けをしたり、その他諸々…
最後の最後まで、設営スタッフ達は駆けずり回って全儀式を完遂させた。

それから数日後。
月山黒赤異類婚姻実行委員会(略称…考えるのもメンドイ。)のメンバーこと、
月島不動産㈱の明光、伊達工業㈱の青根・二口・研磨の計4名は、
街に帰還して約2日、記憶も定かではないほどの深い休息(昏睡状態)を経て、
月島不動産人外渉外部の事務所に、様々なモノを持ち込み、グッタリ…
反省会兼打ち上げの慰労会、すなわち呑んだくれのために集まっていた。

「式の当日、俺ら…ほとんど何も飲み食いできなかったよね~」
「お寿司、めっちゃ食べたかった。」
「御神酒のみ。」
「俺は一応、全部に口は付けたけど…あくまでも毒味だからな。」
「全っっっ然、食事した感ねぇ…緊張しまくりの儀式の一部だ。」


だから今日は、『黒猫魔女』の接待交際費と『レッドムーン』の在庫、そして、
2組を酒の肴として、思う存分パァ~っと飲み食い&ベシャらせてもらうのだ!

「要するに…総括、だな。」
「結局、最後の最後まで…俺らがヤってあげるってこと?ヤなんだけど!」
「まぁまぁ研磨君!このチャンスに、レッドムーンの超高級酒を…ねっ?」
「忠がいるわけじゃねぇし、俺らがしこたま飲んだって、たかが知れてるな。」
「おっ、寿司も焼鳥も届いたから…そろそろ乾杯しようぜっ!」

…それでは、皆様。
長きにわたった『メンドクサイことこの上なかった異類婚姻×2組』のシメ…
『黒猫魔女』シリーズの総括もとい、総ツッコミ大会の開会を宣言致します!

「「「「カンパ~~~~イっ!!!!」」」」



*****



【シリーズ誕生秘話】

遡ること2年前…2017年の夏。
ひと夏のトロピカ~ル☆な謝恩企画『夜想愛夢』&直後の『周年祭』の疲労、
そして、同時期にスタートした記憶喪失に関する重量級考察『億劫組織』…
しばらくナニもヤりたくない…と、茫然自失でネットサーフィンをしていた所、
『ハロウィン人気衣装TOP3!』とかいう記事(広告)に、ふと目が停まり…

「男性は吸血鬼とNYCポリス、女性は魔女っ子と白雪姫が人気…と。」
「直前に『おしぼりの話(冷熱乾絞)』で白雪姫…つい吹いちゃったし。」
「これを利用しない手はない…」
「ってなわけで、赤葦夫妻からの『晩秋贈物』ってネタで遊んだんだよな。」
「黒尾法務事務所の連中と同じ、修羅場明け…危機的テンションだったな。」


本来は、ここでこのネタは終わり…
だが、ハロウィンの次はすぐにクリスマスという、商魂逞しい世間の風潮及び、
宅配業界のブラックな状況&料金値上げのニュースを見ているうちに、
『空飛ぶ宅配魔女』と『サンタさん』には、よく似た法律問題があるなぁと…

「ちょっとした時事ネタを、たのしく法律解説♪って、小咄コーナーに…」
「それが、黒猫『ジジ』ネタか。」
「じゃ、ハロウィンネタをリサイクルしとくかっていう…安直な発想だね。」
「そんなしょーもないノリで…『キキ』管理がなってねぇよな。」
「挙句、まさかこのネタが続くことになるとは…サンタもビックリだぜ。」


当初は120%ギャグな、キキ的ジジ小咄という体を取りながらも、
実は真面目に、様々な法律問題をわかりやすく解説!な、単話完結の話だった。
そのため「続きが気になる!」というお声を頂戴した時、本気で焦ってしまい…

「それが『再配希望』ってタイトルになって、連載化したってワケだよ~」
「反応を頂けた時に、次を書く制度。」
「この話だけが、『月山』フォルダに作成されたのも、それが理由だね。」
「そのドタバタ感が如実に現れたのが、『黒猫魔女』『レッドムーン』か…」
「これ以上にないぐらい、センスのカケラもないネーミング…泣けてくるな。」


【『再配希望』について】

ハロウィン衣装から、黒尾と赤葦の配役も自動的に決定…
黒赤二人が登場し、互いにずっぽりハマったとこで、話をシメるつもりだった。

しかし、またしても考察癖が発動…
『吸血鬼』と『魔女』は一体どういう存在なのかを、とことん調査し始めた。
同時に、未知の世界だった宅配業界についても調べると…とまらなくなった。

「歴史と科学を中心に、身のまわりのちょっとしたことをじっくり考察…」
「『酒屋談義』のスタンスだな。」
「せっかくだから、純然たるファンタジーにする手もあったんだけど…」
「やっぱ、ウチの面倒な質実剛健スタイルは、ブレちゃいけねぇかな~って。」
「ファンタジーにしようとして、『ビビッとクるハート』で大失敗…諦めた。」


そんなこんなで、『酒屋談義』の流れをくみながらも、よりライトな雰囲気を…
R指定を気にしなくていい年齢設定をタテに、ぶっ飛び系を目指すことに。

「コンセプトは…歌舞伎町仕様。」
「いつもよりはじけた、山口忠。」
「唯一の一般常識人風、月島蛍。」
「濃厚なエロさを醸す、黒と赤。」
「最後のだけは…いつも通りか?」

ネタは堂々と↓方向全開、『*』も少しばかり密度高めな描写を前面に。
考察内容も含め、あらゆる意味で『オトナ向け』シリーズにしようと試みた。


「あ、俺さ、蛍と忠がレッドムーンで初チュウするシーン…凄い好きなんだ~
   こういう飾らない二人の姿を、ずっと書きたかった…一番好きな月山かも。」
魔女箒試乗会…
「数だけは書きまくって、やっと理想と思えるものが書けたっての?遅っ!
   挙句、真面目にラブコメしたら恥かしくて…その後ミステリに走ったオチ。」
「そう言えば、白雪姫H前の会話に出てきた、『一丁目のゴッドマウス』…」
「最初、まさかの研磨を、その『夢魔』として出すつもりだったらしいぜ。」

だが、いくら考えても、『ヌきのプロ』な研磨先生の姿を思い描けず…
一丁目の伝説については、あえて触れないまま封印することにした。
(最後に読み返すまで、この種を蒔いたことを忘れていた…という説もある。)


「研磨の役目は…それじゃない。」
「だよね~♪研磨先生と言えば、やっぱり…シメのアレって決まってるから!」
「『再配希望』ん中で、ボツったネタっていうと…」
「思い出せる限りでは…ざっとこの辺りだったか?」

   ①山口、月島宅で家政婦バイト
      (メイド服でHルート)
   ②月島、山口の本名を呼び契約
      (事故的な契約ルート)
   ③黒尾、いきなり本懐を遂げる
      (赤葦吸血鬼化ルート)
   ④赤葦(おケイ)、拉致監禁事件
      (黒尾魔王降臨ルート)


「どのルートも、今とは全っっっ然…毛色の違うシリーズになってたね。。。」
「①…『家政婦はタダす』シリーズ。」
「②は、ファンタジー要素強めだが…執事シリーズと設定が近ぇな。」
「③と④は…歌舞伎町妖怪大戦か、闇系のエロに落ち着きそうだな。」

さぁ、研磨先生。
いずれかを選んで、オマケの『ミニシアター』をば…

全員からの強い視線を受け、研磨はボツネタリストを眺め、しばし熟考…
選んだのは、この『もしも』のルートだった。


「それじゃぁ、目を閉じて…」




    → 魔女編(月山・①&②)*
    → 黒猫編(黒赤・③&④)*




**************************************************



2019/10/10 

 

NOVELS