ご注意下さい!


この話は、夢か現か幻か…BLかつ性的な表現及び考察内容を、境界なく含んでおります。
18歳未満の方、性描写が苦手な方は、 閲覧をお控え下さい。
(閲覧により不快感を抱かれた場合、責任を負いかねます。)




    それでもOK!な方  →
コチラをどうぞ。



























































    夜想愛夢⑬







無理しない範囲の『適度な運動』で、カラダもココロもリラックスさせ、
途中は興奮状態にありながらも、イくとこまでイけば、副交感神経優位になり、
最高に気持ちヨく、夢すら見ない安眠を高確率で確保できる…
そんな『夢見心地』を実現することが、即ちトロピカ~ル☆なバカンスである。

「というわけで、最後にヤるべき『真夏の夜の夢』っぽい考察は…」
「大事に『お取り置き』しておいた、お楽しみのアレ…ですよね。」
「『金縛りに関する夢考察~民俗学的見地から』ですね。」


山口が『実家に帰らせて頂きます』と出て行った晩(明け方)に、
月島は黒尾&赤葦宅に泊まり、人生初の恐怖体験…『金縛り』に遭った。

翌朝目覚めた後、3人で科学的考察をしたのだが、科学では説明不能な部分…
『なぜ月島の夢に山口が出てきたのか』についての(オイシイ)考察は、
山口と合流するまで、保留にしておいたのだ。


先程は、『恋しい人が出て来る夢』を、民俗学…和歌の視点から検討したが、
考察結果は、いつも通りの色気の無さ…夢をぶち壊して終わった。

「『夢三首』っていう、美しくて艶っぽいネタだったのに…」
「何で『夢回避』な考察にイっちゃったのか…全くの謎だよね~」

残るは、本当に愛しい人が出てきてくれて、なおかつ『ステキな夢』のケース…
文字通りに『ラバーズ・ドリーム』という幸運に恵まれた時である。

「夢を見るなら絶対コレ!ヤらしい夢の代名詞・『夢魔』だな。」
「『金縛り』を『夢魔』の仕業だと考える、西洋民俗学ですね。」


夢魔は、人の夢の中に現れて性交する、キリスト教の悪魔である。
男性型…人の上に乗るものがインキュバス、下に寝る女性型がサキュバスだ。

「仰向け寝、息苦しい、乗られている…『金縛り』はインキュバスですね。」
「夢魔を描いた西洋絵画…女性の上に乗っているタイプが多いみたいだな。」


ヘンリー・フュースリー 『夢魔』


インキュバスに襲われると、上に乗られる…つまり『金縛り』に遭うが、
逆にサキュバスに襲われると、『夢精』状態で目覚めるそうだ。

「起きたらビックリ…『夢精』の原因も夢魔とされてたみたいだよ。」
「あれはまぁ…知らなきゃ不治の病か、悪魔の仕業って思っちゃうよね~」

月島と山口は、遠~~~い目…
黒尾と赤葦はそれに目敏く気付き、それとな~~~く追究してみた。

「『夢精』は、睡眠中に射精に至る現象ですよね?」
「特に、自慰未経験の、思春期に多いらしいよな。」

夢精の原因は、睾丸内に溜まった古い精液を排出するため…と言われているが、
古い精液は蛋白質として体内に吸収されるため、この説は正しいとは言えず、
『なぜ夢精がおこるのか』については、未だに解明できていないそうだ。


ただ、自慰未経験または習慣化していない、思春期男児に多いことから、
禁欲すると夢精しやすいのではないか?と考えられている。
そのため、『自分好みの超楽しい淫夢』でイく夢精は、
なかなか自分の『妄想通り』にはイかない現実の性交より、イイ♪らしい…と、
「目指せ!夢精!!」とばかりに、禁欲に励む人もいるそうだ。

「ま、修行僧のようにオナ禁しても、必ず夢精できるとは限らねぇ…」
「逆に、フツーに自慰してても、ハタチ過ぎても夢精する人もいる…」

要するに、体質である。
夢精したことがある人は、その衝撃的な目覚めに「夢であってくれ!」と嘆き、
夢精したことがない人は、「超絶気持ちイイらしい」という伝聞に夢を見る…
『ないものねだり』という夢を、お互いに見ている状態である。


「『現実の月島君』と、『夢の中の月島君』…山口君はどちらがお好みです?」
「悪魔のような質問をする、まさに夢魔な赤葦さんは…嫌いじゃないです。」

「『超絶気持ちイイ夢』に山口が出てくるなら…ツッキーは禁欲できるか?」
「『○日間禁欲すると○%出現』という保証があれば…検討の価値アリです。」

赤葦と山口は、眩しい程の笑顔で。黒尾と月島は、真剣そのものの表情で。
互いの『夢』について、4人はほんわ~りと、ストレ~トに探り合う。

「ちなみに、淫夢の『イイトコ!』直前で目覚めてしまい…
   そのまま射精してしまうことを、『遺精』と言います。」
「『あとちょっと!』というところで、夢精を逃しちまう…
   超絶気持ちヨさもない、ただの『夢オチ』ってコトか。」
「先日の僕は、危うくその『イくにイけない』状態になるとこでしたね。」
「遺恨だけが残る目覚めより、気持ちヨく夢精の方が…ずっとマシかもね~」

超絶気持ちイイかどうかは不明だが、とりあえず遺精よりは夢精…と、
この点についてだけは、4人の意見は完全に一致した。

話が横に(↓に?)逸れかけたが、純白のカクテル『ココナッツ・ドリーム』と、
赤葦は同じココナッツのノンアルコールカクテル『バージン・チチ』を、
何とも言えない微妙な表情で、ズズズ…と吸い上げ、話を本筋に戻した。


「夢魔が人間を襲う理由は…彼らの生殖能力に問題があるから、だそうです。」

夢魔だけでは繁殖できないため、女性型サキュバスは人間男性の精液を奪い、
男性型インキュバスは、サキュバスが奪って来た精液を使って、
人間女性を孕ませて繁殖していく、と言われているそうなのだが…

「それだと、結局人間女性が産むのは人間男性の子…夢魔の子じゃないよね?」
「その辺の遺伝システムは、よくわかっていないんだよね。
   インキュバスとサキュバスは、『同一の存在』とも言われているし。」

つまり、雌雄同体…サキュバスとして得た精液を、インキュバスとして使用し、
この夢魔を介在して産まれた子が、後に夢魔となる…ということだろうか。
もしや夢魔は、医療の最先端…受精卵の遺伝子編集が可能な存在かもしれない。

「雌雄同体の悪魔…神。最近、耳にしましたよね。」
「研磨と考察した…『オメガバース』のことだな。」

オメガバースは、二次創作用の『特殊設定』と切って捨てることはできず、
科学的にも民族・宗教史的にも『あり得る』話ではないかと考察したが、
『夢魔』という存在からも、その考えの一端が見て取れるのではなかろうか。


余談だが、ヨーロッパのある地方では、枕元に牛乳を置いておくそうだ。
サキュバスが牛乳と精液と間違えて持って行く…『夢魔避け』である。

「就寝前にホットミルク…安眠どころか夢魔が逃げちゃうなんて、勿体無い。」
「俺だったら…『夢魔寄せ』に、ポタポタと牛乳を垂らしておくよ~」

「甘いですね。お片付けせずに、ホンモノを『出したまま』にしておけば…」
「残念だったな。夢魔が持ってイけるほど残らねぇ…『出し尽くす』だろ。」


何故だろう…どんなに『修正』しても、話はどんどん↓方向に堕ちて行く。
これが、魔に魅入られる状態か…もしくは、『トロピカ~ル☆』の成せる業か。
いや、ただ単に『現実感のある怪談』よりも、『夢に溢れる猥談』の方が、
ココロにもアソコにもグっとクる…楽しくて仕方ないという説が、最有力だ。

とりあえず、このまま『夢』に堕ちるのはまだ早い…まだ『現』に居るぞと、
何だかよくわからない意地?を張り、4人は僅かながら顔を引き締めた。


「夢魔は、何もキリスト教国に限った話じゃない…世界中に見られる話です。」

ゲルマン神話の精霊『アルプ』は、主に女性の夢に現れて精気を吸う、
吸血鬼的な性格を持つ夢魔の一種だ。
蝙蝠の姿で侵入してくるインキュバス達と、『吸う』という点でよく似ている。

「『アルプ』は、蝙蝠ではなく…『猫』や『鳥』の姿で来るそうですよ。」
「それに、『アルプ』は金属細工師…タタラつまり、蛇に繋がるんだな。」

ギリシャ神話の『エンプーサ』は、片方の足が『青銅』…こちらもタタラだ。


「ユダヤの伝承等に出てくる『リリス』に至っては、モロに蛇ですよ。」


ジョン・コリア 『リリス』


『リリス』は、アダムの最初の妻…『元々いた女神』である。
メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』にも登場するこの女神は、
鳥の脚を持ち、梟を従えた…夜の女神としても描かれている。

また、聖書でこの『リリス』は、『ラミア』と翻訳されている。

「『ラミア』って…八岐大蛇ソックリの水蛇・『ヒュドラ』ですよね!?」
「上半身が美女・下半身が蛇で、口笛で人々を虜にする…人魚で、海繋がり。」
「ラミアが、中国に伝わって『白蛇伝』となり…日本の弁才天になったんだ。」
「リリスもラミアも、吸血したり子を奪ったり…鬼子母神とも繋がったよ。」

日本の神繋がりで言えば、『猫又』も女性の精気を奪う、夢魔的性格を持つ。
猫又の中で、最も強力と言われているのが…『黒猫』の猫又である。


「夢魔と蛇、鳥と鉄…『性』や『子孫繁栄』に、世界規模で繋がりますね。」
「民族や宗教という、境界に関係なく繋がるところが…面白いですよね~」

「インキュバスとサキュバスは同一の存在…相手によって姿を変えます。」
「こっちもダイレクトに繋がるんだよ…『タチ(太刀)』と『ネコ』って。」

あぁ…もう、ダメだ。
どんなに真面目に『民俗学的考察』をしても、↓方向に繋がってしまう…
民俗学と性が不可分だという、『致し方ない』部分も勿論あるのだが、
鳥も蛇も、梟も黒猫も…「夢かっ!?」というぐらい、繋がり過ぎである。

「偶然…のはずなんですけど、鉄も猫も『ドERO』確定なんですね。」
「いやいや、『ドERO』具合で言えば…夢魔梟の赤葦には敵わねぇ。」
「どうして僕の夢に山口が出てきたか?なんて考察…もう必要ないよね。」
「必要なのは、俺がインキュバスとサキュバス…どっちがイイ?だけだよね~」


考察終了…いや、限界だ。

空もすっかり暗くなり、海との境がわからなくなってきた。
これからは夜の神…夢魔の時間。現から夢の世界へ、飛び込んでイイ頃合いだ。

ワクワク、ドキドキ、ムラムラ…
キラキラと期待に輝く瞳で、夢のある決断を、黒尾に迫る3人。
その期待に応えるべく、黒尾は真剣な表情を無理矢理作り、コクリと頷いた。

「溺れるほどの考察尽くしも、これで…全部終わりだ。」
あとは、心ゆくまで『真夏の夜の夢』を『実現』するのみ…そうだよな?

せっかく月島父が、号泣しながらプレゼントしてくれた『トロピカ~ル☆』…
4人全員で『のんびりバカンス』を楽しむのもイイが、
ここはやはり、各々の『夢』を…『プライベートビーチ』を満喫すべきだろう。


「というわけで、これから夜明けまで…『夜の海』を、俺と赤葦が独占する。
   そして、明るくなった『昼の海』を、ツッキーと山口で独占…どうだ?」

2泊3日を、親連中と2分割したが、俺達は1泊2日を更に2分割して、
それぞれが『プライベートビーチ』という贅沢に浸りまくる算段だ。

「俺は賛成です。昼間に泳ぐより、『夜の海』で叶えたいことが…あります。」
「俺も異議ナシです!ツッキーと一緒に海水浴は…捨てがたい俺の夢ですし。」
「僕にとっても、最高の案です。『明るい』海で、山口と…実現したいです。」


3人から『大歓迎♪』を受けた黒尾は、再び深く頷き、具体的プランを示した。

「それじゃあ、この後午後9時~翌朝6時までは、黒尾&赤葦の『夜の海』。
   朝6時~午後3時まで、月島&山口で 『昼の海』にしよう。」

親連中が来る3時以降、4人…家族全員で『のんびりバカンス』を楽しもう。


「それじゃあ、ステキな夏を…」

眩しい笑顔で『解散!』を叫んだ黒尾。
3人もそれに、輝く笑顔で答えた。




 →『夜の海』へ (クロ赤)

 →『昼の海』へ (月山)






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※月島と山口は遠~~~い目 →『技能伝承
※『オメガバース』について
   →『αβΩ!研磨先生』シリーズ
※『ラミア』について →『円形之水



2017/08/22  

 

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