「おーい。今のは俺の、見間違え…だよなぁ、とおるチャン?」
「んー、今のが聞き間違えじゃなきゃ…かな、はじめチャン?」
今をときめく超売れっ子漫画家・宇内天満と、その敏腕担当編集者・赤葦京治。
そして、漫画の人気に乗っかろうと画策している、協会事業推進部・黒尾鉄朗。
現役は去ったものの、日本バレー界の最前線を(裏側から)牽引している三人が、
プロ選手達を茶の間(隠し砦?)に招いて対談する、通称『コネクション』プロジェクト。
その第二回だか三回目のゲストとして、わざわざ地球の真反対からぶっ飛んで来たのが、
超絶キラキラ系王子様(雅称)こと、アルゼンチン代表・青葉城西高校出身の及川徹サマ☆
コンビ対談の相方は勿論、『阿吽』の片割れ、日本代表アスレティックトレーナー・岩泉一。
天地開闢から幾度となく共に輪廻転生を繰り返し、『阿吽の呼吸』をそよがせてきた二人は、
漫画家の妄想も、担当の構想も、協会の理想をも超越した、全地球規模の夫婦漫才…もとい、
完璧なコンビネーション漫談を披露し、日本バレー界と雑誌売上に多大なる貢献を果たした。
「お噂に違わぬ賢者ぶり…尊敬いたします。」
「才色どころか知勇も兼備…さすが及川だ。」
「漫画みたいな…完璧なキャラ立ちですね。」
声を大にしては言わなかったものの、プロジェクト三人衆は類稀な存在を(視線で)褒め称え、
羨望の眼差しと感謝感激雨あられでもって、及川さんを送り出した。
…と、この『前フリ』みたく、流れるような美しさで、対談も制したんだもんねっ☆
そんな及川さんと言えば、「どうしても!」と言って聞かない相棒の望みを素直に聞き入れ、
東京(対談会場)から仙台(故郷)へ帰省…地元のヒーロー凱旋に、連日連夜の大歓待。
老若男女から「これでもか!」というぐらい愛されまくること、数週間。
ホントはもっと、みんなの愛に応えたかったけれど、アルゼンチンにも俺を待つ人々が居る…
「愛を受け止めるって、大変だよね~っ☆」
涙を飲みつつ、東京へ。
明日、成田からアルゼンチンへ…という晩。
一足先に仕事へ戻っていた最愛の相棒と、対談以来の再会をやっっっっと果たしたのだ!!
凄~く大事な話があるんだ。
だから、帰る前に、逢って…
成田まで、送ってくれない?
意を決して、涙混じりに電話で頼み込んで。
2時間粘って「あーもうっ!しつけぇんだよっ!行けばいいんだろ、行けば!」と快諾を得て、
ようやく発見した相棒の御贔屓店(最寄駅と店名しか教えてくれなかった)へ、辿り着いたら…
「岩ちゃぁぁぁぁぁんっ!やっと逢えた~っ」
「遅ぇ。もうほとんど食い終わっちまった。」
「すまんな。枝豆なら、少し残っているぞ。」
相棒の『他』に、もう一人…
居てはならない奴が、居た。
「なっ…、なんで…何でお前が、ここにっ!?マジで邪魔なんだけどっ!!!?」
「お前、『一人で来い』って、言わなかっただろうが。」
「見送りは、多い方がよかろう。」
お邪魔虫はガン無視してやろうと思ったけど、慣れた様子でクラフトビールを注文。
お、意外と気が利くじゃん…じゃなくてっ!何でお前までココの『常連さん』顔なんだよっ!
明らかに、岩ちゃんと二人で、ココに何度も飲みに来てるでしょ…断じて許すまじっ!!
「お前の見送りなんて、ぜ~んぜんっ、これっぽっちも、いらないしっ!」
「正確には、及川の許可を取りに来た…だったか、岩泉?」
「大体そんなカンジだ。お前からのゴアイサツがねぇ!!って、ゴネてやがったからな。」
そうか。よくわかった。
それなら、望み通りに…
確か、こんなカンジか?
「初めま…お久しぶりです。日本代表エース・白鳥沢学園高校出身、牛島若利です。
良縁に恵まれまして、岩泉…一さんとは、大変懇意にさせて頂いております。」
流れるような美しい所作と、他を寄せ付けない程に威厳溢れるオーラ。
ネットを挟んで見ていた頃は、この佇まいからは畏怖交じりの威圧感を覚えていたけれど、
こんなとこで、こんなに真っ直ぐ見つめられ、こんな『ゴアイサツ』なんかされた日には…っ
「きっ、キミがド直球ド誠実なのは十分伝わってきたよ。だけどね、俺は、絶対許さない…
とりあえず、オモテに出ろやっ!それから、えーっと…一発殴らせろーーーっ!!!」
「ウルセェっ!!いつからテメェは俺のオトーサンに…同じツッコミさせんなボゲェ!!」
「一発でいいのか?」
「クソ天然…っ、お前も黙ってろっ!!」
岩ちゃんから愛の鉄拳制裁(ツッコミ)を一発ずつ受けた俺と牛若は、揃って撃沈。
アタマの同じ場所に頂戴した『たんこぶ』を、やや涙目でヒリヒリさせながら、
この場を完全に制した岩ちゃんの音頭に合わせて、静かにグラスを掲げた。
「おーっし、そんじゃあ…
再会と、俺達の未来を祝し…乾杯!」
あーあー、そのセリフ…
お邪魔虫さえいなければ、最高だったのに。
またしても俺は、ツッコミは巧いくせに空気読めない岩ちゃんの『同じ手』に引っ掛かり、
『コイツと飲んだって絶対盛り上がらないでしょ』日本代表エース・牛若との、
人生最初(で最後!)の飲み会を、不本意ながら強制されることになってしまったのだ。。。
********************
(こんなはずじゃ、なかったのに…)
薄々気付いていたこと、だけど。
『オトナ』になってからの人間関係って、『こども』の頃とは全然違う。
家族と近所、学校部活お稽古バイト…『こども』の世界は、ほぼそれで全てかもしれない。
だから、世界の多くを共有する存在ほど、より強固に繋がり続けることになるから、
同町内、同学校、
同学年、同学級、同部活…幼馴染は、人間関係の『核』になって当然だ。
しかもそれが、ただの『近所のダチ』や『気の合う幼馴染』程度なら、まだ『当然』のうち。
自分達の認識はともかく、周囲から『阿吽の呼吸』だなんて言われちゃうレベルになると…
(世界は『阿吽』基準…それが、必然に。)
『阿吽の呼吸』という、大それたラベリング。勿論、これが嫌だったことは一度もない。
でも『外側』から貼られたものを、『内側』から剥がすのは、非力な『こども』には不可能…
自力で自分の世界を作っていく力を持てる、『オトナ』になってはじめて、
自分達を護る…閉じ籠める器?殻?を、外側のラベルごと、内側から破ることができるのだ。
(『阿吽』を壊したかった?いや…違う。)
いつ頃からそう言われ続けてきたか、覚えてなんかいない。
きっといつになっても…お互いの属する世界が変わり、接続点すらなくなったとしても、
俺達には『阿吽の呼吸』というラベリングが、延々貼られ続ける『確信』がある。
だからこそ、強く思ったのだ。
このままで、いいのだろうか?
俺達が『阿吽』で、ホントに…
「だからお前は、アルゼンチンへ渡った…互いに何も告げないまま、な。」
「そう…その通り、だよ。お前がわかってくれるなんて、意外だけど…凄い、嬉しい。」
「牛若。コイツのクッソつまんねぇグデグデなんかマトモに聞いても、時間の無駄だぞ。」
「そうか?俺は…聞いていて、楽しいが?」
「ホント?ならエンリョなく…『岩泉&及川~はじめての日直引き継ぎ編』なんてどう?」
「出席番号…『いわいずみ』の次が『おいかわ』だっただけだろ。はい、終了!」
「『だけ』じゃないよ。これこそ、生まれる前からの運命…俺達はいつも並んでたの。」
「『うしじま』が同じクラスに居なくて…『並び』に割り込まなくて、よかったな。」
1ねん2くみ、1ぱん。
にゅうがくして、しゅっせきばんごうにならんで、まえから4にんずつ…
『いわいずみ・うしじま・おいかわ…』が、同じ班になった『かもしれない』世界を想像し、
三人同時にビールを吹き出した。
「俺達三人で幼馴染…『阿吽』じゃなくなっちまうな!トリオ称号って、何かあったか?」
「三人組だったら…『青葉城三銃士』とか、カッコ良くない?」
「ダチョ…『ハクチョウ倶楽部』に一票だ。」
どうぞどうぞどうぞ~と、三人でグラスに注ぎ合い、
押すな押すな!と肘で牽制しながら、三すくみで睨み合い…破顔一笑。
高く掲げた盃をぶつけ合うとみせかけて、我先にと飲み干し、大笑い。
(まさか、こんなオトナになるとは…な。)
こどもとオトナの人間関係…全然、違う。
いくら『阿吽』とディスられた仲でも、俺達の関係は所詮『幼馴染』の域を出ない。
コイツは、高校卒業と共に故郷を離れた…成人する前に、俺の前から姿を消した。
(俺は、オトナのコイツを…知らねぇ。)
幼馴染、しかも阿吽。いくつになっても、会った瞬間から、『元通り』の俺達に戻る。
しかしそれは、『こども』に還るだけの話…単なる幼馴染の延長でしかない。
ガキの頃(高校卒業まで)は、毎日給食(昼飯)で『牛乳早飲み一騎打ち』をし続けていた。
だが、
互いに鼻から吹いた牛乳を浴びたことはあれど、浴びる程に飲んだくれたことはない…
OB会や同窓会で並んで座ったことはあるが、コイツとサシで呑んだ経験は、一度もない。
(そんな『経験』は…絶対に御免だ。)
「んじゃあさ、次は…『マブダチ☆黒ちゃんとの出会い編』の、プロローグ①-1だよ。」
「協会の黒尾か。実に興味深い繋がりだな。」
「おい。その話…あと5時間続くぞ。」
OB会で乾杯した直後、俺は隣から漂ってきた空気を敏感に察し、ソッコーで席を離れた。
一番遠くからチラリと視線を送ると、直感した通りの光景が見え…コッソリ嘆息した。
「黒ちゃんって、腹黒で怖い奴だって聞いてたけど、実際話すと凄く誠実な人だった。」
「確かに、胡散臭い見た目とは裏腹に…あれほど親切で優しい奴も、そうそう居ない。」
(それを、お前が…お前らが言うか。)
チャラい見た目に反し、呑んだコイツはチャランポラン…の、真逆。
酔いが深くなるほどに、試合中に一瞬だけ見せるような、『ド真面目モード』が進行し、
ガッチガチにおカタいネタを、シリアスに語り尽くす…メンドクセェ!!の極地に変貌する。
(まさか、こんな酔い方するなんて…っ)
コイツのボケには、秒速でツッコんで瞬殺してやる自信はあるが、
ガチのマジモード…オトナなコイツには、どう対応していいのか、正直わかんねぇ。
俺の知らない『オトナのコイツ』が、『オトナの俺』に対して、サシで何を言い出すのか…
何を言われたら、どう返事をすべきなのか、俺にはまだ、はっきり決めきれていない。
(だから俺は、コイツから…)
つーか、楽しい酒の場で、延々と真面目な話を聞き続けるなんて、冗談じゃねぇぞ!
OB会でも、運悪く捕まった国見は3分で逃走、金田一は1時間耐えたが泥酔して撃沈。
最後まで(涙目で)聞き続けたのは、ヤンキー根性の持主・京谷だけだった。
だが、ここにもう一人。
(イイ意味で)予想外の酔い方をするオトナになった奴が、存在したのだ。
「まさかまさか、牛若とこんなに酒が進むなんて、未だに信じられないよ。人違い…かな?」
「俺は牛若と週イチでサシ飲みしてるが…やっぱり人違いか?って、毎回思ってるぜ。」
「お前らは俺のことを、どんな化物だと…俺だって、お前らと同い年の、普通の人間だぞ。」
牛若と呑んだって、アガる会話なんてできそうにねぇな…という予想は、最初は当たった。
「こんな事あっかよ????」な、異国での劇的な再会のミラクルに浮足立ち、
その場のノリで飲みに誘った直後、内心「ヤベェ、やらかした!!!!」と大後悔していた。
(何を、喋れば…いいんだっ!!!?)
呑み始めて暫くは、自分からはロクに喋らない牛若に、「罰ゲームかよ…」と絶望。
でも、酒がノってくるうちに、俺の舌も滑り始め…何故か会話もスルスル流れてきたのだ。
「そっか。牛若って、自分からは喋らない分、ものすっごい…聞き上手なんだね。」
「及川や岩泉の話が、面白い…つい先を促してしまうんだろうな。」
「実はすっごい…モテる、でしょ。」
「お前ほどでは、ないな。」
「もっともーっと、牛若と話したい…ダメ?」
「あぁ。俺も、もっと及川の話を聞きたい。」
(思った通り…だな。)
基本的に、俺はコイツの話を最後まで絶対に聞かねぇ(途中でツッコミ入れてしまう)し、
きっと周りの奴らも、酔うとメンドクセェ及川の話には、最後まで付き合いきれねぇはず…
じっくり腹を割って語り合い、サシ呑みできるダチは、ほとんどいないんじゃないだろうか。
一方の牛若は、好奇心旺盛で研究熱心。人の話を聞くのが、実は好きなタイプらしい。
だが、おカタすぎる普段の姿と、ド天然な言動から、なかなかサシ呑みには誘い辛い…
それこそ、異国でバッタリ的なミラクルでもなけりゃあ、ハードルが高すぎる試練だ。
そんな二人が今、俺の目の前で。
心から楽しそうに、呑み明かし…
新たな関係を、築き始めている。
内容はシリアスでも、口だけは抜群に巧い及川と、どんな内容でも真面目に聞き続ける牛若。
こどもの頃には(やや一方的に)反目していた奴と、オトナになってから不意に繋がり、
話してみると予想外に気が合い…やがて長く深い人間関係を結ぶことがある。
(こんな偶然も、あるんだな。)
心地良く流れる話術。その流れに共鳴し、涼やかな風を送り込む相槌。
そう。これこそ、まさに…
(『阿吽の呼吸』…だろ。)
別に、俺とじゃなくても、いいんだ。
こどもの頃からの腐れ縁…たまたま出席番号が並んでただけの、幼馴染じゃなくても、いい。
ついこの間まで牙を剥き、今も最大の敵である奴とだって、『阿吽』になれるのだ。
こどものコイツしか知らない俺が、
オトナのコイツと、今まで通りに…
(繋がり続ける方が、無理…だよな。)
「きっと無自覚だろうけど、俺達を接続してくれた…岩ちゃんには、感謝しなきゃね。」
「そうだな。岩泉がいなければ、こんなに楽しい時間は存在し得なかった…礼を言う。」
似たような『まっすぐ』の瞳で俺を見つめ、ストレートに『らしくない』謝意を寄越す二人。
俺は泡だけが残ったグラスをあおりながら、新たに誕生した『コンビ』から視線を外した。
「礼を言われる覚えはねぇ…勘違い、だ。」
********************
及川の話が『とおる君・久々の帰国~阿吽対談編』に突入しかけたところで、閉店時間。
新宿から歌舞伎町を斜めに抜ける、ネオン煌びやかな(ちょっぴり目に毒な)通りを、
牛島は及川を軽々と背負いながら、いつも通り岩泉と連れ立って歩き…
二人の『呑みのシメ』である、バッティングセンターへと向かった。
「こんだけ呑んで喋った後で、バッセン!?脳だけじゃなくて、胃も肝臓も筋肉なの!?」
「食ったら運動!気持ちヨく汗とアルコールとボールを…全力でかっ飛ばすっ!!」
「肝臓はともかく、胃は筋肉の塊だ。」
ホストやキャバ嬢、御陽気な酔客達に混じり、左右両方の打席がある10番レーンで、
『打率が低い方が運動後のスポドリ奢る競争』を、交互に3回勝負で黙々と…
「1回22球…一人66球も打つの!?しかも打率勝負って、ヒットの判定は誰がするの!?」
「ウルセェな!そこは、フィーリングだ!俺のパワースイング…目に焼き付けて帰れよ!」
「今日こそは、俺が…勝つ。」
牛島の意外な一言に、またとない勝機を察知した及川は、
俺も参戦!と、勇んで勝負に割り込んだ…が、不慣れな運動&打席に、あえなく完敗。
再び牛島に背負われたまま、バッセン最寄りのコンビニでスポドリを3本購入してから、
広々とした駐車場の隅に、どっかりと並んで座り、夜風に当たりながら…給水タイム。
「今週も、いい汗かいたな~っ!俺、最強!」
「またしても、岩泉に負けた…来週は勝つ。」
(先週も、今週も、そして来週も…?)
オトナの街で毎週末繰り広げられる、日本代表出席番号並びコンビの、バッティング勝負。
こどもの頃から変わらない相棒と、そこに並ぶ片割れを、『外側(背中)』から眺める自分。
その全てから目を逸らせるため、視線を来週よりもずっと遠く…通りの向こうへ投げた。
(なかなか、悪くないコンビ…だよ、ね。)
「…あれ?あそこにいるのって…?」
「ん?あれは…っ!??」
「何だ、知り合いか?」
通りを挟んだ斜め向かいに、樹々の生い茂る神社があった。
鳥居の下から、仲睦まじく寄り添いながら出てきたのは、この街では珍しくもないカップル…
その『コンビの片割れ』の顔が、ごく最近会った人に、よく似ている様な気がしたのだ。
(雰囲気は、全然違うんだけど…???)
(あの顔は、多分、間違いなく…???)
何となく牛島の影に隠れながら、及川と岩泉は道路向かいのカップルを凝視。
二人は時折互いを見つめ、穏やかに微笑み合いながらコンビニの前を過ぎると、
しっかり手を繋ぎ直して、三人が通って来た斜めの道へ…ホテル街へと消えて行った。
「おーい。今のは俺の、見間違え…だよなぁ、とおるチャン?」
「んー、今のが聞き間違えじゃなきゃ…かな、はじめチャン?」
互いの頬を思いっきり引っ張り、酔いも眠気もすっ飛んでいることを確認。
念のため目と耳もゴシゴシ擦ってから、ネオンに溶けたカップルの背中を、再度ガン見。
見間違えや聞き間違えじゃないことを、痛みと共に受け入れて…同時に首を傾げた。
「背の高い方の彼って、出席番号で言うと岩ちゃんの1こ前の、『1ぱん』仲間…だよね?」
「学年は1こ下だが、あれは『しゅっせきばんごう1ばん・あかあし』に違いねぇ…よな?」
「んでもって、背の低い方の彼は、ツンツン尖った黒髪&腹黒の、マブダチ☆黒ちゃん…?」
「どう見ても、ソレじゃねぇ。どっちかっつーと、白っぽい雰囲気&ツヤサラ髪だった…?」
まだ一度しか会ったことはないけど、『赤』に並ぶのは『黒』なんだろうなぁと、
何の疑いもなく思い込んでいた…あの対談の雰囲気から、自然とそう感じていたのに。
人の顔を覚えるのは、割と自信があるけれど、いま自分が見たものは、信じられなかった。
「何で、黒じゃねぇんだ?んでもって、あの白い奴、どっかで見たような、覚えが…???」
視力には自信のある岩ちゃんも、ネオンに目を瞬かせながら、二人の姿を観察していたけど、
どうやら『見た覚え』を脳筋から引っ張り出せなかったみたいで、怖い顔で頭を捻っていた。
二人で『お手上げ』のポーズを取ろうとした、その時。
俺の
『1つ前』の背中から、その『答え』が響いてきた。
「あれは、俺達『1ぱん』仲間の、もう一人の候補…『おいかわ』の1つ後、『きた』だ。」
「きた…?え、誰?牛若の…知り合いなの?」
「直接の面識はないが、『顔見知り』だな。」
「きた、きたきた…どっかで聞いた覚えが…」
見覚えはあまりなくとも、聞き覚えは確実にあるらしい岩ちゃんは、独りで悶々。
それを吹き飛ばすように、牛若が淡々と俺に説明してくれた。
「きた…北信介。稲荷崎の、元主将だ。」
いつも通りやれば、エェだけやん?
ツムは、ちゃんとできる子やしな!
どや、俺のツム…すごいやろ~っ!
…って、北さんが言うとったもん!
「試合前に、宮侑がスマホの待受画面を見ながら唱える、『緊張とんでけ~!の呪文』だ。」
「それだっ!『見て見て~!この北さん、めっちゃキュ~トやろっ!?』…間違いねぇよ!」
「え、その北さんって人…そんなに御利益高め系!?確かに、稲荷神社から出てきたけど…」
おそらく牛若は、代表戦の度にツムツムの『呪文』を間近で目撃しているだろうし、
選手サポートが本業の岩ちゃんも、『間違いねぇ!』と断言したから、本人でほぼ確定。
稲荷崎の元主将が、対談主催者の赤葦ちゃんと一緒なのは、きっとゲスト(宮兄弟?)絡み…?
だとしても、だ。
(何か…モヤモヤするな。)
(何かが…おかしいよね。)
同時に小さく息を飲み、視線を交わす。
俺だけじゃあ、単なる『予感』止まりでも、岩ちゃんも同じなら、それは『直感』に変わる。
そして、それを『実感』にまで高めてくれたのは、牛若の言葉だった。
「『赤葦』というのは、黒尾が毎週末…会いに行っている相手じゃなかったか?」
岩泉との週末呑みに、黒尾も何度か誘ったが、毎度同じ理由で断られ続けているんだ。
「週末は赤葦と…『対談』の打合わせがあるから、また今度行こうぜ!」とな。
とても仕事とは思えないほど、生き生きとしていたから、余程楽しい打合せなんだろうと…
「黒尾にとって、『赤葦』は『大切な相手』なんだと勝手に思っていたが…俺の勘違いか?」
「…岩ちゃん。」
「…待ってろ。」
牛島の『勘違い』に、何かを確信した及川は、岩泉の名前だけを呼んだ。
岩泉はすぐさま立ち上がると、コンビニの裏手に周り…どこかへ電話をかけ始めた。
*****
「さすがは『阿吽の呼吸』だな。」
「…え?なに?」
岩泉の電話を待つ間、手持ち無沙汰になった及川は、
牛島の大きな背中の温もりに、うつらうつら…低音で落ち着いた声が、心地良い。
「『いわいずみ』と『おいかわ』の間には、なかなか入り込めないな…と、言っている。」
「そう…かな?」
ホントに、そうなら、いいんだけど…
寝言交じりに零れた呟きに、牛島は無反応だったが、
それを零した及川は、わざとらしく大あくびして言葉尻をかき消し、別の話題で上書きした。
「岩ちゃんのこと…頼むね。」
俺はさ、岩ちゃんが死にそうな顔して、鼻から牛乳を噴く『こどもの姿』は、よく知ってる。
でも、一週間で溜まった疲れとかストレスとかを、ぷっはぁ~♪って腹の底から発散する、
完全に連休前のリラックスしたオッサン…『オトナの姿』を見たのは、今日が初めてなんだ。
「牛若が笑うとこも、初めて見たけど。」
「そう…だったか?」
岩ちゃんって、俺の醸す空気は、ツッコミ以外は意地でも読もうとしてくれないけど、
俺以外の周りの人や仲間のことは、物凄く気に掛けて気を回して、真正面から支えてくれる…
トレーナーこそが天職!!ってカンジの、篤くて優しい『漢の中の漢』だからね。
日本代表に…牛若に岩ちゃんがついてるのが、正直羨ましいし、本心から恐ろしく思ってる。
「岩ちゃんだけは、敵にしたくなかったよ。」
ぶっちゃけるとさ、俺は岩ちゃんに、ずっと俺の味方でいて欲しいって、言うつもりだった…
そのために、黒ちゃんにイロイロと相談して、アレコレと準備もしてたんだ。
いつまでも、今まで通り、『阿吽の呼吸』として…並んで夫婦漫才し続けたいな~って。
「でも、それはもう…無理みたい。」
岩ちゃんも俺も、別々のオトナになっていて、別の人と新コンビを組んでいた。
まさかそれが、俺達の永遠のライバル…『敵』だった奴なのは、死んでも許さないけどねっ!
「ぃっ…痛い、蹴るな。」
「ウルサイ!牛若…コノヤロっ!天誅っ!」
まぁ、そんなこんなでさ。
『阿吽』の並びに割り込んできたのが、こどもの頃の敵だった牛若なら、
その『敵』だったポジションに、今度はオトナの俺がなっちゃおうって、思ったんだ。
岩ちゃんの永遠のライバルとして、次に輪廻転生するまでず~っと…
「真正面から、ぶつかって行こうって。」
だからさ、お願い牛若。
岩ちゃんの横に、並んで…
岩ちゃんを、護ってあげて。
間違いなく岩ちゃんは、俺よりずっとマブダチな、黒ちゃんのキモチに気付いてるし、
赤葦ちゃんのことも、すごく気に入って…二人のことを心配しまくるに決まってるんだ。
大好きな黒赤コンビの空気を読みまくって、きっと『漢気』を大爆発させちゃうんだよね~
「でも、上手くいくとは…限らない。」
そもそも、他人様の色恋には、外側から口を出すべきじゃないかもしれない。
岩ちゃんの漢気大爆発が、大暴走して…自爆しちゃう可能性だって、大いにあるんだ。
もしそうなったら、黒ちゃん達に迷惑をかけちゃうし、何よりも岩ちゃんが…傷付いちゃう。
「岩ちゃんが悲しい想いをした時には、隣に並んで…傍にいて欲しい。」
あ、あと、ついでなんだけど。
岩ちゃんの横を譲ってあげる代わりに、今日は俺を背に隠したまま…宿に送ってよね。
んでもって、明日朝6時半、宿に迎えに来て…牛若が空港まで俺をお見送りすること!
「…岩ちゃんには、絶対言わないでね。」
それじゃ、おやすみ〜
今度は本物の大あくびをしながら、及川は牛島の胸ポケットに小さな紙切れを差し込んだ。
今夜の宿と…今後の連絡先だから、と。
ふわぁ〜…と、肩口に額を乗せた及川にも、牛島はしばらくの間、無反応だった。
及川が演技ではなく、コクリコクリと緩やかに船を漕ぎ始めた頃に、
牛島は先程までと打って変わった明朗な声で、及川の心地良い微睡をすっ飛ばした。
「お前よりも、岩泉よりも。
俺が一番、黒尾と…『マブダチ』だ。」
黒尾にイロイロと相談し、アレコレと準備をし始めているのは、及川だけではない。
岩泉のことを気に入り、傍に置いて、岩泉をサポートしたいと願っている者が…
「まっ、まさか牛若っ、お前も…っ!?」
「俺…ではないが、無関係でもないな。」
こどもの頃から、岩泉は下の者達…学校を問わず、伊達工の奴らからも随分と慕われていた。
だがオトナになってから、真っ直ぐで強靭な根性ゆえ、上の人達からも可愛いがられている。
特に、自分を師と仰ぎ、異国まで来てくれたともなると、可愛くて仕方ないらしく、
実の息子か、それ以上に、岩泉を我が子のように思い…全てを継がせようとしていたり、な。
「名実共に…『空井』の後継者として。」
「…っっっ!!?」
父の方はかなり乗り気で、隙あらば養子縁組の話を出そうとしているが、
岩泉はそういう『空気』を敏感に察し、常に俺を同席させ、楽しい飲み会へ場を制している。
まるで、人生を大きく左右する『空気』から、逃げるように…お前が一番、知ってるだろう?
だが、そろそろそれも限界。近々、黒尾先生を交えた具体的な話の場を設けるそうだ。
「岩ちゃんが、岩ちゃんじゃ、なくなる…?」
「そう遠くないうち…かもしれないな。」
お前は、俺が『阿吽』の間に入り込んで、『並び』を崩したと思っているだろうが、
『いわいずみ・うしじま・おいかわ』が、じきに『うしじま・うつい・おいかわ』へ変わる…
俺は間に入らなくなり、『阿吽の並び』が復活することになる。だが、お前はそれで…
「本当にそれで、いいのか?」
牛島は胸ポケットから紙切れを抜き出すと、そっと及川の手の中にそれを戻した。
そして、こどもの頃に言ったのと酷似した言葉を、似ても似つかない優しい口調で囁いた。
取るに足らないプライドなんて、
ここに…捨てて行け。
「及川。今度こそ、道を…間違えるな。」
「牛若…ありがと。」
「ん?起きたのか。」
今のは、及川の…寝言。
今までのは、夢…もしくは、聞き間違い。
俺は何も聞いた覚えも、言った覚えもない。
牛島の『すっ飛ばし』に、及川はキョトン。
そして、ぐしゃぐしゃに相好を崩しながら、ガツンと牛島に頭突きを喰らわせた。
「間違えた!牛若は『聞き上手』じゃなくて…『聞き流し上手』だったんだね〜」
「どちらにしても…モテるだろう?」
「ホンット、イイ男すぎて…惚れそうだよ!」
及川は紙切れを半分にちぎると、
下側だけをぐちゃぐちゃと丸め…
牛島の胸ポケットに投げ捨てた。
*****************
「おはようさん。あ…眩しかった?」
「…?おはよう、ござい、ます…?」
窓から差し込む優しい朝日と、包み込むような柔らかい声に、意識が浮上し始める。
ここは…うん、俺のウチ。部屋の大半が本棚で占められている、簡素なワンルームだ。
ほぼ寝に帰るだけの巣だけど、余計なモノがないせいか、居心地は悪くない。
自分しか居ないはずの巣に、自分以外の人の気配と…あったかいお出汁の香り。
目ぇ覚めたんなら、顔洗うておいで…の声に、お味噌の匂いがふわりと混ざった。
(えーっと、昨夜は…あ、そうか。)
すなリン(角名倫太郎さん)との初オフ会で、しんすけさん(北信介さん)とお会いして。
すぐに意気投合した俺達は、酔った勢いでお付き合い…『恋人練習』することになった。
帰りのタクシーの中で、「どこか東京観光で、行きたい所がありますか?」と聞いてみたら、
「いろんな…御稲荷さん。」という、予想外だけど『らしい』リクエストを賜った。
早速、前日の宿近くのコインロッカーに、しんすけさんの荷物を取りに行きがてら、
まず歌舞伎町の稲荷鬼王神社に参拝し、新宿三丁目方面へ夜の街を練り歩き、花園神社へ。
そこの境内にある威徳稲荷神社で、巨大なアレをじっくり拝んでから…再びタクシー、かな?
境内にあった歌碑を『けいじの夢は夜ひらく』と、運転手さん&しんすけさんが替え歌して…
(古い歌…農協で流れてたんや、だっけ。)
「んっ…いい、におい。」
「もうすぐ、できるで。」
自分の布団の横に、キッチリ畳んで積まれた、もう一組の…来客用布団。
いつもの倍…二人分の衣服を洗濯機へ入れ、スイッチオン。
冷たい水と、脂ののった焼鮭の香ばしさに、眠気もスッキリ、記憶もハッキリ回復した。
(無事に『お持ち帰り』できて…よかった。)
「おはようございます、しんすけさん。わざわざ朝ごはんを…ありがとうございます。」
「冷蔵庫にあったもんの、あり合わせや。けいじ君も、お洗濯…ほんまありがとうな。」
「俺の、大好物ばかり…凄く、嬉しいです。」
「味の保証は…そこそこや。ほな、食べよ?」
こたつに向かい合い、ぴしっと正座。
手を合わせて目を閉じて…いただきます。
まずは、熱いお茶をズズズと一口頂き、喉と胃を静かに温め、潤していく。
「なんだか、とてつもなく…」
「穏やかな朝…満たされる。」
二人で夜を明かした、翌朝。
何でもない朝ごはんを、一緒に食べる。
ただそれだけなのに、『昨夜』よりも『今朝』の方が、心身共に満たされた気分になる。
「これが、きっと…『幸せ』の形ですよね。」
「こんな朝が、ずーっと続けば…えぇよな。」
*****
「…完璧や。こんなん絶対、恋に落ちるで!」
「これぞ『呑んだ翌朝』の…理想形ですっ!」
そう。こんなのは、理想…妄想でしかない。
人生で最もハイになって呑んだ日の翌朝。その現実の風景と言えば、大体がコッチのはず。
「あ…ったま、痛い…割れそう…」
「だるい…起きられ、へん…わ…」
「こんな状態で、ごはん作るのも、食べるのも無理…恋じゃないモノが、生まれ出ますよ。」
「そもそも、他人様の御宅の冷蔵庫を、勝手に開けて料理とか…失礼やん。恋も冷めるで。」
かろうじて二組敷かれ、半分くらい重なり合う布団。まわりに散らばった、二人分の衣服。
その中で、団子になりながら雑魚寝…『ちゃんと』の真反対だが、これが普通(正常)だ。
ウチに帰りついただけで合格。布団を敷いたらもう、満点…それ以上は、望みようもない。
「酔った勢いで突然お付き合いを始めても、その後ちゃんと恋が生まれるか…疑問ですね。」
「翌朝の惨状からしたら、初日お持ち帰りはむしろマイナス…『一夜限り』でおしまいや。」
これが『本番』じゃなくて…
恋人の『練習』で良かった。
翌朝の大失敗から、『恋愛のスタート』に関する大いなる知見を学んだ二人は、
自分達の『恋人練習計画』実行が、大正解な選択だったことに、安堵のため息を吐いた。
「理想的な恋愛を、『ちゃんと』するって…」
「アカンわ。とんでもない、ムチャ振りや…」
とは言え、始めてしまったからには、計画をちゃんと完遂するまで、頑張るしかない。
赤葦は文字通り『這う這うの体』で布団から這い出て、冷蔵庫からペットボトルを取ると、
そのままズルズルとバックで布団に戻り、何とか上体だけを起こした。
「ぶっ!!!けいじ君…髪、爆発しとんで!」
「こっ、これが、天パの朝の…現実ですっ!」
何や、けいじ君も…全然『ちゃんと』してへん時があるんやな~!なんか、妙に安心したわ。
そのくっしゃくしゃの髪も、曇った眼鏡も、逆に…めっちゃ可愛いやん。
ほれ、眼鏡貸してみ。俺が拭いたるわ♪
北は楽しそうに笑いながら、赤葦の髪をさらにぐしゃぐしゃと掻き回し、
眼鏡を抜き取ろうと、両耳に手を添えた瞬間、今度は赤葦が「ぶっ!!!」と吹き返した。
「しんすけさーん。シャツ…裏返し&後ろ前になってますよ?」
「えっ!?あっ、これは、その…くくっ、暗かったからやし!」
喋るたびに喉元でピラピラ揺れる、Tシャツのタグ。
それが、北の『内心のワタワタ』を表しているように見えて、赤葦は顔を綻ばせた。
「『ちゃんと』してなくて…可愛いですよ♪」
「き、着替える…あっち、向いといてやっ!」
理想とは程遠い、拙い現実。
恋愛の練習も、失敗の連続。
けれども、もしかしたら…?
(こういう些細なことを、きっかけに…)
(恋心が生まれるんかも…しれへんな。)
なんとも言えない、くすぐったい感じ。
二人は顔を見合わせて小さくはにかみながら、再びもぞもぞ…布団の中へ逆戻りし、
二度寝するまでの間の『寝物語』として、ポソポソおしゃべりをはじめた。
*****
「けいじ君は…想い人のどこに、恋したん?」
「えっ!?いっ、いきなり、直球ですか…っ」
恋心を自覚したのだって、つい先日。
いつからそれが生まれていたか?なんて、考えたことなんてないし、確定は不可能だ。
でも、ちょっとした可能性として…こういうのが『きっかけ』だったのかもしれない。
「今の『練習』から、思い返してみると…」
高校時代の、合同合宿…夕食時のことです。
その晩も、俺達は二人で残業。最後の最後に食堂へ行き、スタッフさんに頭を下げて。
メニューはとんかつ定食。黙々とご飯大盛を平らげたんですけど…
キャベツの隅っこに、お色味的なカンジで、赤く丸い奴が2つ、乗ってたんですよ。
梟谷合宿所は、おかずをお残しすると、ご飯のお代わりが頂けないシステム。
俺が困り果てていると、あの人がひょひょい♪っと、奴らを食べてくれたんですよ。
「内緒だぞ?…と、片目をパチクリして。」
「優しいやん!それ…惚れてまうやつや。」
「お皿の隅…辛子の上に、乗せてた奴です。」
「…泣くで。俺やったら、号泣してまうな。」
下半分は真っ黄色になった、赤い奴ら。
あまりの衝撃に、「ぶほわっ!!」って噴きそうになったのを、あの人は必死に堪え…
スタッフさんにバレないよう、目を潤ませて飲み込む姿に、俺の方が噴いちゃいました。
「その時から、無意識の内に、あの人を目で追うように…多分、ですけど。」
嫌なことがあった日も、あの人に会い、あの時の顔を思い出すと、全部フッ飛んじゃいます。
傍にいるだけで。あの目にじっと見つめられるだけで。何故だかわかりませんけど…
「自動的に、『No!』とは言えなくなってしまうんやろ?わかるで…俺も。」
ホンマ、『恋心』って、不思議なもんやな。
惚れた覚えなんか、ひとつもあらへんのに。
ちゃんとしてへんトコの方に、目ぇ奪われ…
無自覚に、自動的に想いが募っていくんや。
気付いた時には、もう…前後不覚なんやろ。
「ほんのちっさいことが、積み重なって…」
「些細なことをきっかけに、繋がり合う…」
たとえそれが『勘違い』がきっかけだったとしても、全部『おーとまちっく』に進んでいく。
恋ってやつは、ホンマにどうしょうもない…なるようにしか、ならへんもんかもな。
「けいじの夢、夜ひらいたら、えぇ…な。」
「しんすけさんも、自動的に…です、ね。」
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③・前編へGO! -
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※鬼王神社&花園神社
→『新年唖然』『年年自然』
※けいじの夢は… →藤圭子『圭子の夢は夜ひらく』
※自動的に… →宇多田ヒカル『Automatic』
勘違いまたは人違いです5題
『1.そんなに見つめられたら、
貴方を好きになってしまいます。』
恋ってやつは5題
『1.些細なことをきっかけに生まれるらしい』
お題は『確かに恋だった』様よりお借り致しました
2021/08/02
(07/22、29、31、08/02分MEMO小咄移設)