教えて!研磨先生①







「今まで『HQ!グッズ(オトナ向け)』について、何度か語り合いましたが…」
「ここら辺で、本気で製品化に向けての提案をしたいなぁ~って。」


月島と山口が珍しく『黒尾法務事務所で、緊急会議です!』と言いだし、
その『ただならぬマジな雰囲気』に、黒尾と赤葦も駆け足集合…
何かと思えば、結構『どうでもいい』議題であった。
二人は思いっきり『あ~はいはい。』的な雰囲気を醸すと、
月島がドン!と書類の束を応接テーブルに乗せ、詰め寄った。

「こちらは、昨年の当事務所…即ち、黒尾鉄朗氏の『月別売上表』です。」
もうすぐ確定申告…その準備を、経理の月島は死ぬような思いで進めている。
ガッツリ還付をうけるには、きちんとした経理(青色申告)が必要なのだ。
そこで、まずは月別の売り上げ高を計算し…月島は慌てて会議を招集した。

「おや、黒尾さん…なかなかの『高給取り』ですね~♪」
「おぉっ!いつの間に…結構な額、稼いでたんだな~♪」
年間の合計額を見て、無邪気に喜ぶ赤葦と黒尾…
だが月島は「見るべきトコは、ココです!」と、ペンでカカカっ!と叩いた。

「12カ月のうち、5カ月が収入ゼロです!特に夏場…7~9月は連続!」
「7~11月の5カ月間トータルも…なんと10万切ってます!」
自営業で、お役所絡みの再開発の仕事が多いとはいえ…これは偏り過ぎです。
よくこんな不安定な収入で、お嫁さん貰おう…結婚しようなんて思いましたね。

「でもよ、4~6月の3カ月間は…」
「『お嫁さん』としては大満足…」
口答えしようとする黒尾&赤葦を、月島は視線だけで黙らせた。

「つまり、僕が言いたいのは…定期的な安定収入の確保についてです。」
「成程…それで月島君は、『オトナ向けグッズ』開発を提案したんですね。」
「要は印税…使用料でちょこっと『お小遣い稼ぎ』ってことか。」

それは、良い案かもしれませんね。黒尾さん、俺は賛成…
と言いかけ、赤葦はそれを急停止させた。
「何だか、少し…嫌な予感がします。更なる審議を要求…」
だが赤葦のやや声高な『待った!』は、山口がアッサリ遮った。

「最近、どこぞで『CERO(ゲーム年齢制限)』について語ったそうですね~」
「そこで、『HQ!』の恋愛シミュレーションゲーム作成はどうかな…と。」
「お、そりゃ面白ぇ!俺は賛成だ。『D』か『Z』を全裸で待機!だな。」
黒尾もアッサリ賛成にまわり、あっという間に多数決で可決。
赤葦の「俺は、断固拒否…」という声も、万雷の拍手で掻き消され、
『めちゃくちゃ嫌な予感』は、ドンピシャ!で的中することになった。


「というわけで、僕達だけでは心許無いので、専門家をお呼びしました。」
月島の合図で、山口は応接室のドアを開け…黒尾は驚きで口を開けた。

「各種ゲームに深ぁ~~~~い造詣をお持ちの…研磨先生です!!」
「…どうも。ご紹介に与りました、乙女ゲーム研究家…孤爪です。」




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※『HQ!オトナグッズ』について →『拍手小咄(その2)
※どこぞで語った『CERO(ゲーム年齢制限)』→『猫手梟爪
※CERO →ゲームソフトの表現内容により、対象年齢を表示する制度。
   A…全年齢、B…12歳以上、C…15歳以上、
   D…17歳以上、Z…18歳以上のみを対象。

2017/02/27    (2017/02/08分 MEMO小咄より移設)

 

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