※リアルに暴走系!酒屋談義です。ご注意下さいませ。
「う~ん、これは参った。」
黒尾法務事務所は、今日ものんびりまったり…各々が好きなことをしている。
修羅場中に棚上げしていた雑務や残務処理、次の修羅場の準備、英気補充…
昼下がりにちょっと意識がぼわ~っとしてきた頃、黒尾の苦笑いが響いた。
「おや、どうされました?」
「俺でよければ、相談乗りますよ~」
「僕も今なら手をお貸しできます。」
要するに、全員…ヒマをしていた。
黒尾の言葉に『良き部下』という体を取りつつ、その目は興味津々…
椅子ごと黒尾の方へ体を向け、わくわくと話の続きを促した。
「いや、今週のブログの件なんだが…」
黒尾はここ1年程、毎週日曜に法律系雑学ブログ執筆の仕事を続けている。
明光の事務所が持っている、法務サイトの一つにあるコーナーなのだが、
サイト自体の文章を手掛けた縁で、そのまま小ネタブログを頼まれているのだ。
『今日は何の日?』や歳時記、時事等について、法律の観点からツッコミ…
ここで調べたネタが、『酒屋談義』や4人のダベりの場で有効活用されている。
当然、その逆も然り…趣味と実益を兼ねた『お小遣い稼ぎ』となっている。
「もしかして、ネタにお困りですか?俺がまた、オイシイのをご提供…」
赤葦は両手で『おしぼり』のハンドサインを見せて、ニッコリ微笑んだ。
2週間前の記事がまさにこのネタで、数日後にここで大騒ぎしたばかりだ。
「今週は、ネタの宝庫ですよね?」
まず明日の11月10日が、我らが山口のお誕生日ですし、
11月12日は背番号11&12の、月島山口デー…紛れもなく『月山週間』です!
ぜひとも今週は、僕達のラブラブについてブログで語って頂きましょう!!
「ツッキー…嬉しいけど、全然法律系ブログとカンケーないじゃん。
それよりもやっぱ10日と12日の間…11月11日こそ大本命ですよね!?」
「待って下さい。二進法の『1111』を十進法に換算すると、『15』…
背番号1&5はまさに黒尾赤葦デー…俺は『クロ赤週間』を推薦します。」
全く手伝う気のない、言いたい放題な3人の提案をスルーし、
黒尾は「それが悩みの種だよ…」と、深~いため息をついた。
「1111…ネタが多すぎるんだ。」
1が4つ並ぶ11月11日は、10月10日に次いで『~の日』が多い日である。
『○○が4つ並んだカタチ』だからというタイプの記念日を挙げてみると…
箸、いただきます、麺、煙突、きりたんぽ、もやし、ライター、まつ毛、下駄、
配線器具、チンアナゴ、麻雀、磁気、公共建築、コピーライター、靴下…
11という数字で、サッカー、豚まん。漢数字の十一十一で、電池、鏡、鮭…
こうして列挙するだけで、今週の記事が終わってしまいそうである。
「全く、商魂逞しいっつーか、イベント大好きだよな。」
黒尾は苦笑いしながら、赤葦がおやつに出した『かっぱえびせん』を咥えた。
それを見ていた山口は、「そうだ!」と手を叩き、給湯室へ走った。
「大手菓子メーカーは強し!その日は『ポッキー&プリッツの日』で~す!」
先日、赤葦ぱぱ♡ままから届いたラブ…緊急援助物資が詰まった『おやつ箱』。
それを箱ごと山口が抱えてきたし、赤葦もいつの間にかお茶を入れてきた…
4人はわらわらと応接ソファに集まり、『おやつタイム』に流れ込んだ。
「黒尾さん達は『ポッキー(又はプリッツ)ゲーム』…ヤったことあります?」
「ねぇよ。興味も経験も、両方な。」
「片方ありますが、片方ないです。」
赤葦の答えに、黒尾は「どれとどれの『片方』だよっ!?」と内心焦った。
ポッキーはあるがプリッツはないのか、経験はあるが興味はないのか…
黒尾の煩悶を3人はほくそ笑みながらスルー…話をさっさと進めてしまった。
「僕は勿論『両方なし』ですけど、そもそもこのゲームの趣旨が曖昧です。」
予測可能な事故、即ちちょっとした触れ合い…『キス』を期待したものなのか、
又は、事故直前の相手の表情…いつもは目を閉じる『キス顔』が見たいのか。
それとも、事故に至るまでの緊張感…『ドキドキトキメキ』を重視するのか?
「言われてみれば…ちなみに俺は贅沢に『全部のせ』を熱烈希望だよ~♪」
「キス『本体』か、その『直前』か、それに至る『経緯』か?という違い…
ちなみに俺の大本命はキス『及びその後』の、『おかわり含む』ですけど。」
ド真面目な顔で問題提起する月島、それに馬鹿正直に答える山口と赤葦。
この流れは、初夏のアレ…『アイスクリーム考察』と同じ予感がするのだが、
黒尾はその予感もあえてスルーし、こちらも真剣に考察を始めた。
「ツッキーの言う通り、ゲームの趣旨…達成すべき『目的』によっては、
別にポッキーやプリッツじゃなくてもいい…他に相応しいモノがあるよな。」
『1111』の枠からは出ない…スティック状のお菓子に限定するとして、
その形状は大きく分けて、次の4パターンになるだろう。
①短く細い
②短く太い
③長く細い
④長く太い
「キス『本体』の場合は、できるだけ小さいモノ…①短細がイイですよね。」
「今まさに黒尾さんが食べてる『かっぱえびせん』とか…『小枝』かな?」
そんじゃ…ほら♪と、黒尾はからかうつもりで1本咥えて見せたのだが、
冗談の全く通じない(あえてスルーした)赤葦は、即時反応…『目的』を達した。
いきなり自分が犯した手痛いミスに、黒尾は頬を染めて月島達に頭を下げたが、
この二人も黒尾を堂々とスルー…次のパターンに『挑戦』し始めた。
「②の短太は、キス『直前』向きです。しかも、ちょっと深いタイプの…ね。」
「『おこし』とか『おかき』、それに『羊羹』あたりが有力かな?」
『おやつ箱』にあるモノの中だったら、『フィナンシェ』あたりがイイかな?
…と、山口は言うが早いか、四角いマドレーヌ風洋菓子を口に咥えて待機。
月島は山口の両頬に手を添え、反対側からギリギリのところまで口に入れ、
そのままじっと止まり…いつもは目を閉じて見えないお互いの表情に魅入った。
「お…おい!さっさと、その…どっちかが食うなり、目ぇ瞑るなりしろよっ!」
ヤっている本人達よりも、黒尾の方が耐えられなくなって目を閉じ…
赤葦がやんやと拍手する中、月島と山口は大満足のうちに『挑戦』を終えた。
「キスに至る『経緯』…ドキドキトキメキを思う存分楽しむんだったら、
ちょっとずつ距離を縮め、かつライトな…『スティックパスタ』だね~」
「丁度良く、③長細に相応しい、海外製の『プレッツェル』が入ってますよ?」
赤葦は月島と山口の間でプレッツェルを横に持つと、
両端から二人が唇の先だけで軽く挟み、じわりじわり…顔を傾けて近づいた。
本当にキスを始めるように、互いの肩に置いていた手を、首と腰にずらし、
じりじりとスローモーションのように、体ごと合わせていく…
「はい、そこまでーーーっ!!」
完全に抱き合う寸前、黒尾は二人の間に割り込み、お菓子を真ん中で折った。
せっかく『イイとこ』だったのに、無粋にもそれをぶち壊した黒尾に、
3人は盛大にブーイング…黒尾も負けず「終わりだ!」と一方的に宣言した。
「順番で言うと、次は…赤葦のターンだぞ!?俺はもう、絶対ヤらねぇぞっ!」
赤葦のターンがどれだけ危ねぇか…お前らも十分わかってんだろ?
だから、もうここら辺で…止めといた方がイイよな?
「はい、却下~!黒尾さん、まだ『赤葦さんのターン』に慣れないんですか?」
「『考察』を途中で止めるだなんて…『酒屋談義』にあるまじき行為です。」
それでは、赤葦さん…お願いします。
月島達に拍手で迎えられた赤葦は、綺麗に一礼…④長太なおやつを手に取った。
「恥ずかしがり屋の黒尾さんに強要…そんなことは、俺には到底できません。」
ですから、黒尾さんはそこに座って…見てるだけでイイですから…ね?
赤葦はそう言うと、ソファから逃げ腰になっていた、黒尾の両膝の間に跪き、
おもむろに黒糖味の『麩菓子』を口に咥え込み…潤んだ瞳で黒尾を見上げた。
「っーーー!!?」
「うわっ、それは、まさに…キス『及びその後』の…ひゃぁぁぁぁぁ~♪」
「紛れもなく『おかわり含む』…さっ、さすが赤葦さんっ!!」
実に『見覚えのある』光景に、黒尾が声を失ってガチガチに固まっていると、
赤葦は「ちょっと…物足りません。」と眉を顰め、麩菓子を口から離し、
大事そうにティッシュに包んで、そっとテーブルに乗せた。
やっと『考察終了』か…と、黒尾がホッとしかけた瞬間、掌を赤葦に捕まれた。
「そうそう、ちょっとした雑学を…」
千人斬りを達成したと言われる、伝説の泡姫様…その方によりますと、
中指を掌側に折り曲げた時、指先が付いた場所から、手を広げた時の中指の先…
その2点間の距離が、その人の『最高長』を表すそうですよ。
数多のブツを間近で観察なさった専門家による、実に有意な統計結果です。
ご自分のモノで試してみると…いかがでしょうか?
「僕は…さすがにこんなに長くない?」
「俺も…ちょっと長く感じる、かも。」
素直に従い、真面目に『考察』し、正直に異議を唱える…月島と山口。
そんな二人に、赤葦は真顔で「その通りです。」と頷きながら、視点を示した。
「俺達が感じる『自分の』モノの長さは、『真上から』見たもの…」
泡姫様が観察されたのは、『お客様』や『お相手』のモノですよ?
ということは、『下(もしくは横)から』の視点でしょうから…
反り具合を考慮すると、『真上から』よりは長く見えるはずですよね?
赤葦は掴んでいた黒尾の手で『最高長』を測って見せ、それを腰付近に当てた。
そして、膝の間からそれを見上げ…指で『OK♪』サインを出した。
月島と山口も、互いの手を横や下から観察…『大発見(大正解)』に歓喜しつつ、
『探るような視線』で黒尾の指先をガン見…怯むようにゴクリと喉を鳴らした。
『最高長』を暴露された黒尾は、慌てて手を引こうとしたが、赤葦は許さない。
さらにもう片方の手も掴むと、掌同士を合わせ、月島達を再度注目させた。
「泡姫様の統計は、もう一つあります。両手の人差し指と中指の計4本…
『1111』を合わせ、『忍法!』のポーズをしてみて下さい。」
赤葦が指示したのは『忍法・千年殺し』…俗に言う『カ○チョー』のポーズだ。
月島と山口も、黒尾の指を真似ると、「よくできました♪」と赤葦は微笑み…
「それが、『最高径』だそうです。」
先程と同じ腰付近で、黒尾の『最高径』つまり『太さ』を示した赤葦は、
『麩菓子』の時と全く同じことを、黒尾の『1111』でもしてみせた。
「…。。。。」
「…っっっっ」
「…!!!!」
これには黒尾だけでなく、月島と山口も絶句…ボン!と頬を発火させた。
赤葦は再び満足そうに『OK♪』サインを出し、
「これぐらいないと…ね?」と、上目遣いに流した視線で3人に語った。
「これ、今週のブログのネタに…」
「使えるわけ…ねぇだろうがっ!」
心底『却下!』を残念がる赤葦の頭を、わしゃわしゃと掻き乱しながら、
黒尾は今日何度目かのため息を吐き…ニンマリ笑って部下達に宣言した。
「ちょっと早いが、4人共『1111』状態だし、本日はもう終業…だよな?」
- 強制終了 -
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※『おしぼり』ネタ →『冷熱乾絞』
※赤葦ぱぱ♡ままより →『晩秋贈物』
※『アイスクリーム考察』 →『愛大絶叫』
2017/11/10 (2017/11/09分 MEMO小咄より移設)