大学はまだ夏休み。
急ぎの仕事もなく、今日は昼前に1時間程の雑務のみ。
朝からのんびりと家事をして、そろそろ10時のお茶しようかな…
ラグに転がりながら雑誌を読んでいると、同じように考えたツッキーが、
本やら何やら抱えながら、リビングに入ってきた。
「山口…お茶がてら、『家族会議』しよう。」
「っ!!…うん、わかった!ツッキーはアイスコーヒーでいい?」
あぁ。氷は少な目でいいから。
そう言うと、ツッキーはテーブルに本を置き、
戸棚から高級洋菓子セットの箱(依頼人の手土産)を出した。
台所に立ち、グラスに飲み物を入れながら、
俺はこっそり、頬を緩めて…ひとりで悦んでいた。
ツッキーとは、上京して間もなく『なんちゃって同棲』していたけれど、
正式に『二人暮らし』を初めてから、少しずつ変化した部分がある。
その一つが、会議の『名称』だ。
子どもの頃から、何か二人で話し合いをするときに、
それを『作戦会議』だと言っていたのが、
最近は…『家族会議』という名称に変わった。
たったそれだけと言えばそれだけ…ほんの些細なことなんだけど、
紛れもなくツッキーと『家庭』を築いている証のようで、
俺は何だかあったかい気分になって…頬が緩んでしまうのだ。
ツッキーが食器棚を開いてお皿を出し、お菓子の封を開ける。
ナイフを手渡すと、一切サイズのブランデーケーキと、貝型のマドレーヌを、
ツッキーは丁寧に二分割し、お皿の上にキレイに並べていく。
昔はお互いに半分食い付いて、そのまま「はい、交換♪」と渡していたけど、
それをちゃんとナイフで切って、お皿に並べるだけで、
ちょっとだけリッチな気分になる…不思議なものだ。
無駄に洗い物が増える、という見方もあるけれど、
たったこれだけで『贅沢気分』が味わえるなら…カワイイもんじゃないかな。
特別なものは、いらない。
ただツッキーと、のんびり穏やかな生活を送りたい…
ほんの少し洗い物が増えるだけで、その願いが叶った気になるというのは、
コストパフォーマンスとしては、文句なしの『お買い得』だと思う。
「…一人で何をニヤニヤしてんの。」
「何か俺…幸せだなぁ~って。」
「そんなにマドレーヌが好きなら、もう1つ開ける?」
「どちらかというと、口直しのお煎餅がいいかな。」
まあ、それも捨てがたいけどね…と笑いながらも、
どうやら気に入ったらしいマドレーヌを、ツッキーは二つに割ってくれた。
これ、かなり甘くて…やっぱり俺、幸せだ。
「ところでツッキー、かっ…『家族会議』って…?」
『家族』という言葉を口に出すのは、まだ慣れなくて…くすぐったい。
アイスコーヒーと共に、その面映ゆさを飲み込みながら尋ねると、
ツッキーは本の間に挟んでいた紙を、テーブルに広げた。
「高校の頃、ちょっとだけ考察した話なんだけど…
その根拠となった論文を、ようやく発見したんだ。」
ツッキーの示した紙には、『キスの効用について』と書かれていた。
「確か…毎朝キスをする夫婦は、しない夫婦に比べて夫の収入が25%高く、
事故率も低く、寿命が5年長い…だったっけ?」
デキる男のウラに、熱いキスの習慣あり…そんな話だった気がする。
俺の答えに、ツッキーは満足そうに頷いた。
「あの時は、状況が状況だったから、詳しい考察ができなかったけど…
面白いネタを追加で見つけたから、お茶ついでに…ね。」
甘酸っぱい(ちょっと辛かった?)『青春のヒトコマ』を思い出し、
お互い照れ笑い…気を取り直して、ツッキーはメモを見ながら説明を始めた。
「濃厚なキス…唾液の交換に、様々な『効用』があるらしいんだよ。」
人はそれぞれ、固有の菌を保有しており、その種類や比率には大変個人差がある。
キスによって、500万もの異種バクテリアを交換しているらしい。
「自分は保有していなかったり、不足している菌を、
キスによって交換しあうことで補完し、互いの免疫を高め…」
「結果として病気等に『強く』…自己防衛機能が高くなって、長生きする…
『寿命が長い』の根拠は、コレってことだね。」
ちなみに、微生物だけでなく、9mgの水分、0.18mgの有機物質、
0.7mgの脂質と0.45mgのミネラル成分も、互いに交換しあっている。
これだけでも、結構な『効用』だと思うが、さらに有益な効果があるみたいだ。
ツッキーは軽くトントンと、自分の頭を人差し指で叩いた。
「キスすることにより、脳内にはエンドルフィンが分泌される。
このエンドルフィンは、モルヒネ並の精神安定効果…抗鬱作用がある。」
「鎮痛効果…痛みや辛さにも効くんだね!」
「同時に、リラックスホルモンと呼ばれるセロトニンのレベルが上昇し、
愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌も、キスで促進されるんだ。」
「鎮静効果…イライラがおさまって、落ち着く…さらには幸福感だね。
だから、キスすると『事故率も下がる』んだ。」
キスするだけで、これだけ脳に有用なホルモンが分泌されるとは…
薬物で分泌を促すのだって難しいのに、随分と『お得』な気がする。
「キスの生理学的効用としては、あとはエストロゲン分泌かな。」
「卵胞ホルモン…いわゆる『女性ホルモン』だけど、俺達にも関係ある?」
俺の質問に、ツッキーは「勿論だよ。」と柔らかく笑い、俺の髪を撫でた。
「エストロゲンは、女性らしいカラダを作るために必要なものだけど…」
男性にも当然必要なホルモンで、主に『頭髪にハリとコシを与え』たり、
これが不足してしまうと、骨粗しょう症になりやすくなるんだよ。
「キスしてエストロゲンを増やすと…男性はハゲにくくなる?」
「恋をすると食事が喉を通らなくなる…これもエストロゲンの作用なんだ。
これによって食が細くなり、スタイルが良くなる…キレイになるんだ。」
ツッキーは、これ以上キレイになる必要はなさそうだけど…
優しく微笑みながら、髪を撫で続けるツッキー。
その甘い表情と仕種に、何だか…コーヒーが上手く喉を通らない。
思いっきり肩を上下させて、ゴクンと飲み込むと、
今度は俺の頬をぷにぷにと軽く抓りながら、ツッキーは説明を続けた。
「キスをすると、30近い顔の筋肉…うち17は舌に関連する筋肉を使う。」
「かなりの美顔・小顔効果がありそうだね。」
「キスで消費されるカロリーは、1分あたり2~6kcalにもなるんだ。
自転車を漕ぐ(2.5kcal/分)よりも、消費カロリーが多いんだよ。」
「確か、『キス』チョコのカロリーは1つ24kcalだったから…
『情熱的なキス4分』で消費できるってことだね!」
さっき食べた貝型マドレーヌは…102kcalで、これを2つで204kcal。
ブランデーケーキは146kcalだったから、二人で350kcal食べたことになる。
半分こしたから一人あたり175kcalと、アイスコーヒーで20kcal程。
これを『情熱的なキス』で消費するには…32.5分か。
キスだけじゃあ、ちょっとイロイロと…足りない気もするような?
頬を抓っていた指をずらし、今度は俺の唇を…ゆっくりとなぞり始めた。
その動きに誘われるように、俺は少しだけ唇を開き…ツッキーの言葉を待つ。
「口は、最も脳に近い性感覚器…キスで活性化される脳のエリアは、
性器と関連する脳のエリアよりも、ずっと大きいんだよ。」
「だから、キスは…『快楽』に繋がり易い…」
唇を往き来するツッキーの指を、少しだけ食みながら、言葉を返す。
指に触れているだけなのに、まるでキスしているような感覚…
「『キスしたい』欲望を、スペイン語で『フィレママニア』と言うんだ。
キスは脳に直接作用する『天然ドラッグ』…中毒になっちゃうんだって。」
好きな人と『キスしたい』って思うのは、抗い難い本能なんだよ…
脳に直接響く、ツッキーの甘い声を聞きながら、俺は瞳を閉じた。
ほどなく触れる、温かく柔らかい…本当にキスしている感触。
最初は、2kcalぐらいの、触れるだけのキス。
徐々に消費カロリーが増えてきて…洋菓子の甘さを伝え合う。
同じものを食べ、同じカロリーを摂取し、それを交換し、消費し合うキス。
できるだけ表情筋を使うよう、角度を変えながら、深く大きく動かしていく。
ただ単に、もっとキスがしたいだけ…
たったそれだけのことに、理屈を捏ねて、『会議』しなきゃいけないのか?
他の人が見たら、じれったくて、この不器用さに笑ってしまうかもしれない。
確かに、ツッキーや俺みたいに、根拠や理屈を必要とするような、
『情』よりも『理』を重んずるタイプの人間は…物凄く面倒臭いだろう。
自分の内にある欲望にさえ、『なぜ』という理由の説明が必要なのだから。
だけど、一度その理屈を、自分の中で納得してしまえば、
それを覆すような『新たな反証』や、『不測の事態』でもない限り、
素直かつ忠実に…その理屈を着々と『遂行』していくのだ。
そう…今こうして、消費カロリー最大値を目標にして、
キスの効用を最大限得るような…情熱的なキスを、納得ずくで楽しめる。
二人でキスするのは、様々な観点からみて…イイコトずくめなんだ、と。
「それで…今日の『家族会議』で、議決すべきことは…何?」
きっちりとチョコ1つ分のカロリーを消費しきった所で、
ようやく唇を離し、俺はツッキーに『本題』すなわち『結論』を求めた。
「キスには多大なる効用がある。これを利用しない手はない。
そのためには…キスを『習慣化』する必要があると思うんだ。」
「その点については、俺も異論がないよ。」
異論はないが…ちょっとだけ、背筋に妙な予感がする。
「これも以前考察したけど、日本人には『目覚めのキス』は馴染まない。
それならば、『いつ』『どんな時』なら、習慣的にキスできるか…?」
あぁ、もうこんな時間だね。僕はそろそろ…出掛けようかと思ってるんだ。
山口は…あと15分ぐらいは、ゆっくりできるんだよね?
ちなみに、僕は山口よりちょっと後…お昼ご飯までには帰る予定だよ。
わざとらしく時計を見ながら、ツッキーは俺に『答え』を求める。
ここまで理詰めで来られたら…逃げ場なんて、どこにもない。
「『家族会議』の結論は…我が家では、本日より…
『いってらっしゃいのキス』と『おかえりなさいのキス』をする、だね。」
よくできました。
では、このキスを習慣化することで得られる、もう一つの利点は…?
ツッキーは質問しながら、「ほら、どうぞ♪」と言わんばかりに、
ゆっくりと瞬きし、大きく腕を広げ…口先を少しだけ尖らせる。
「山口なら、僕の言いたいこと…わかるよね?」
わからない…なんて、言えるわけがない。
それを否定する根拠も理論も、現時点の俺には…ないのだから。
俺は観念し、差し出された腕の中に入り込み、ツッキーの首に腕を回した。
「習慣化することで…『俺から』ツッキーに、キっ…キス、できるように…」
何を隠そう、一緒に暮らすようになった今に至っても、
俺からツッキーにキス…したことがないのだ。
「山口…大好きだよ。」
「っ…あ、うん…ありがと…」
ツッキーの方は、今まで延々と出し惜しみしていた『言葉』を、
毎日俺に言う…習慣化することで、すんなりと言ってくれるようになった。
今度は、俺の番…ということだろう。
ツッキーは俺の腰を抱いたまま、鞄を手にして玄関へ向かった。
靴を履き、玄関の鍵を開けた所で、満面の笑みでクルリと振り返り…
改めて俺を抱き寄せ、額を付けて囁いた。
「山口…行って来るね?」
俺がやりやすいように、少しだけ身を屈め、静かに瞳を閉じる。
『口づけほど完全に自発的な意志を込められる行為はない』
…どこかで読んだ、だれかの言葉が、頭を過ぎる。
何でこんな時に限って思い出すんだろ…恥かしさを増幅するだけだよ…
焦れたように、俺を抱き締める力が、ギュっと強くなる。
俺は目測を誤らないように、直前まで片目で確認しながら近付き、
触れるか触れないかのところで、ギュっと両目を瞑り…
「ツッキー、いってらっしゃ…」
…その時、『不測の事態』が起こった。
***************
何の前触れもなく、ガチャリと大きく開け広げられた玄関扉。
あまりの驚きに、声すら出せず…互いにしがみついたまま、飛び上がった。
鎮まり返る玄関。
状況をいち早く察知したツッキーが、俺を背に隠し…玄関から遠ざけた。
その行動に対し、怒気を孕んだ声が、玄関に響き渡った。
「こんな所で…何をしているんだ?」
「そのセリフ、丸ごとお返ししますよ。」
聞き覚えのある、腹にズンとくるようなハスキーボイス…
俺はツッキーの後ろから顔を出し、思わず大声で叫んでしまった。
「お…っ、おじさんっ!!?」
「やぁ忠君。久しぶりだね。元気にしてたかい?
とこぞの『馬の骨』に、イロイロ無理強いされたりしてないかい?」
「おじさん、俺は元気だよ!
おじさんソックリの『馬の骨』とも…一緒に仲良くやってるよ。」
息子を押し退け、笑顔で『溺愛する忠君』の手を取る、月島父…
その手を横から払い除け、再び山口を隠しながら、息子は怒りを迸らせた。
「どいつもこいつも、揃いも揃って…
いつから『乱入』が、月島家の『お家芸』になったんですか!?」
「失敬な。私はちゃんと、インターホンを鳴らしたぞ。」
鳴らしたのは、3階の…ですけどね。
月島父の後ろから、父を2階に案内してきた二人…
黒尾と赤葦が、スマン…と、申し訳なさそうに手を合わせていた。
きっと二人が止める間もなく、いきなり父は玄関を開けたんだろう。
玄関の鍵を開けたのは、息子自身…『乱入歓迎!』なタイミングである。
息子はこれ以上ないぐらい『嫌そうな顔』をすると、
吐き捨てるように父に尋ねた。
「何しに来たんです?」
「決まってるだろう…家庭訪問だよ。」
「ウチは要りません。お引き取り下さい。」
「実の父を、訪問販売みたいな扱いしおって…
私の来訪目的は、『押し売り』ではない。『家族会議』だ。」
父の一言に、息子は激昂した。
「勝手に『家族会議』なんて…それこそまさに『押し売り』でしょ!」
玄関扉を掴むと、強引に閉めようとし…
父はそれを許してたまるかと、扉に体を捩じ込み、開けようとする。
ギリギリと音を立て、火花を散らす攻防。
ケリを付けたのは、若干卑怯な『親の恩』だった。
「蛍がこの家に居られるのは…一体誰の『仕送り』のおかげだ?」
「くっ…!」
閉める力が弛んだ隙をつき、父は玄関扉を大きく開いた。
そして、息子達の肩を掴むと、再度宣言した。
「さあ、『家族会議』だ。」
「あの、それじゃあ…俺達はこの辺で…」
「どうぞごゆっくり…」
後ろから覗き込んでいた黒尾と赤葦は、
月島父に会釈しながら、そそくさと立ち去ろうとした…が、
振り向いた月島父に、今度は黒尾達がガッチリ肩を捕まれてしまった。
「どこへ行く気だ?私は『家族会議』をすると言ったんだ。
君達も当然、強制参加に決まってるだろう。」
全員、1階応接室に集合!
月島父の怒号に、4人は背筋を伸ばして階段を駆け降りた。
応接室のソファー、一番奥に月島父。その隣に山口。
父の対面に息子、その隣に黒尾。
全員に冷えた麦茶を配ると、赤葦は事務所の椅子を置き、黒尾の隣に座った。
赤葦の着席を確認すると、月島父は鞄から取り出した紙束をテーブルに乗せ、
厳かに「これより、『家族会議』を開催する。」と宣った。
「お前達は、ちゃんと『家族計画』を立てているのか?」
月島父の第一声に、4人は絶句し…一斉に目を泳がせた。
「おおおおっ…おじさんっ、それは、えっと…」
「可能性は『ゼロ』ではないですから…一応、避に…んぐっ!?」
正直に言いかけた赤葦の口を、黒尾は慌てて塞ぎ、月島父に向き直った。
「あの、確認なんですが…月島さんが仰る『家族計画』とは…」
「どのような家に住み、仕事をし、家庭を築いていくか…」
将来を見据えた『家族』の在り方を、ちゃんと『計画』しているのか?
…私は、そうお前達に聞いているんだ。
「父さん…それは『家族計画』ではなく、『人生設計』です。」
そっと安堵のため息をつきながら、用語を訂正した息子に、
父は全く気を止める様子もなく…勝手に話を進めていった。
「明光の話によると、ここに住めるのは3年間のみ。
その後、お前達はどうするつもりなんだ?」
ついこの間、ここに入居してきたばかり。
それなのに、もう3年後のことを聞いてくるのか。
あまりの気の早さに、4人は困ったような顔を見合わせたが、
月島父は実に厳しい表情で、理路整然と説明を始めた。
「この歳でこんないい家に居住…『異常』なレベルの分不相応さだ。」
まずはこの前提を、お前達はしっかり自覚しておくべきだ。その上で…
「最高の理想を言えば、ここと同じような家を、自前で持つ…
だが、それはかなり厳しいと言わざるを得ない。」
鉄骨造3階建、1フロアあたり65㎡程の、事務所兼二世帯住宅…
土地代を含めて、とてもじゃないが20代の若造が払える金額ではない。
「3年後の収入を考えても…ローンすら組めないでしょうね。」
「しかも、4人の共有名義だと…さらに厳しいかも。」
共働き夫婦でローンを組み、夫婦の共有名義にすることは、一般的である。
だが、『一般的』とは言い難い関係の4人では…非常に難しいだろう。
「持ち家だと、土地建物それぞれに固定資産税がかかることも、忘れるな。」
ちなみに、仙台の我が月島家では、年間およそ…
月島父がざっと開示した『結構な金額』に、4人は息を飲んで固まった。
「持ち家は無理。では、現在と同様に、同規模のものを借りる場合は…?」
月島父が広げた大量の紙束は、この付近の不動産賃貸情報だった。
「65㎡程の事務所…平均的な家賃は15万だ。同じく、2LDKの住居も15万…
一人当たり12万程は、確実に住居費として必要となる。」
「一世帯とすると、24万の住居費プラス生活費…
事業費も含めると、少なくとも40~50万は必要ですね。」
つまりこれは、世帯年収が600万程度は必要…という概算になる。
「3年後…俺は25歳か。」
「25歳の平均年収は…約330万です。二人でギリギリ…といったとこですか。」
だがこれは、一人一人がサラリーマンをやった場合の年収だ。
4人共が個人事業主となると、話はかなり違ってくる。
開業後の数年間…事業が軌道に乗るまでは、よほど運が良くない限りは、
赤字決算ギリギリ…というのが、リアルな数字であろう。
いきなり見せつけられた、厳しい現実。
4人は言葉を失い、黙りこくってしまった。
神妙な顔で項垂れる4人に、月島父は冷静に語りかけた。
「黒尾君。君は『会社』を作るつもりは…?」
「今のところ、ありません。
もし税務上の兼ね合いで、会社化することになっても…
それを『大きくしよう』という気は、全然ないんです。」
男なら、自分の城と国を持って、大志を抱くべき…
そういうのが、世間的には『あるべき姿』なのかもしれない。
だが、黒尾には『成功したい』とか『財を成したい』という功名心はなく、
ましてや『金持ちになりたい』『贅沢したい』という気も、さらさらなかった。
「向上心や上昇志向が足りねぇ…そうお叱りを受けるかもしれません。
ですが、俺は…自分達が食ってけるだけあれば、それで充分です。」
仕事一辺倒じゃなく、俺達4人…家族がずっと仲良く、
ゆったりのんびり『酒屋談義』を楽しむぐらいの余裕を持つ…
小っせぇけど、そんな『身の丈にあった人生』を送ることが、俺の目標です。
黒尾の明かした『人生設計』に、他の3人は嬉しそうに大きく頷いた。
「初めて黒尾さんの『家族計画』をお聞きしましたが…
俺の望みと、奇しくも完全一致です。」
「僕の『座右の銘』は、『現状維持』だからね。」
「今の『現状』を目標に…これ以上は、望まないよ!」
4人のはっきりした答えを聞いた月島父は、満足そうに微笑んだ。
「どんな人生を送りたいのか…その点で一致しているのならば、話は早い。
では、お前達が次に考えるべきことは…?」
月島父の問いに、4人は真剣な表情を見合わせ、頷き合った。
「いかにして3年後、自分達だけで『現状維持』を達成するか…だね。」
***************
月島家当主らしく、威風堂々たる態度で乱入してきた、月島父。
最初は押し売り並の如く『迷惑この上ない』と思っていた4人だったが、
厳しくも有益な話…精神論ではなく、きちんと筋の通った話の内容に、
素直に納得せざるを得ず…いつしか『超真面目な会議』になっていた。
「かっちりとした『会社』組織にしない…ということは、
お前達4人は、世間的には『個人事業主集団』という体裁になるだろう。」
実態としては『カップル×2組』の同棲兼事務所であろうとも、
社会的に通用する『体裁』としては、『専門家×4人』の合同事務所…
この辺りが最も無難かつ、世間様から文句を言われないものだろうな。
現在の社会状況では、あまり大声で言えない関係である以上は、
立派な『建前』を準備することは、非常に賢明な『知恵』である。
月島父が、まずはその根本をしっかり考えていてくれたことに、
4人は心の中で、深々と頭を下げておいた。
「では、4人全員が専門家…『個人事業主』としてやっていくためには?」
この質問の答えは、至って単純である。
「各々が『専門家』として独立できるよう、スキルアップ…ですね。」
気の合う仲間と、無理のない範囲で適度に仕事。
のんびり酒を呑みつつ、他愛ない雑学考察に耽る。
そんな幸福な時間を、大切な人と過ごしたい…
この目標を実現するには、全てを自分達で構築していかなければならない。
そのためには、4人全員が『食っていける』ようになること…
これが、『現状維持』のために最低限求められる条件である。
「まず、俺がなすべきことは…」
先陣を切って考察を始めたのは、黒尾だった。
「当然のことながら、サムライとしての技術と経験を積むことだな。」
このまま離婚をメインにするか、それとも他分野業務にも手を広げるか…
ここのメンツだけでなく、明光事務所のサムライ達との連携も考えつつ、
今後の『黒尾法務事務所』の指針を定めていく必要がある。
「黒尾君は、自分の業務も大事だが…今回の仕事で得たデベとの繋がりや、
明光達や他業種との関わり…『経営者』としての人脈作りも必要だ。」
「おや、『人タラシ』には…うってつけのお仕事じゃないですか。」
「そんな黒尾先生の下に付く俺は…」
黒尾の補助者として働く山口の『すべきこと』も、はっきりしていた。
「学生が本業のうちは、『補助者』として実務をサポート。
その間に、黒尾さんとは流派違いのサムライに…資格を取る、かな。」
黒尾と相互に融通し合え、また現在の得意分野と将来性を考えると、
このまま『相続』及び『公正証書』特化型を目指すのが…最短かもしれない。
「今は2年生の秋…1年後に宅建をまず取得して、その翌年に行政書士。
このルートで取得するのが、効率的かつ、いざという時の保険になるな。」
俺もこの作戦で取ったから、色々アドバイスしてやれるぜ?
黒尾の言葉に、山口は「よろしくお願いします!」と、両手で握手した。
「僕は現在も、ここの経理を担当している。この道を邁進…だね。」
おぼろげながら、自分の進むべき道を考えていた月島は、スラスラと答えた。
「とりあえずは、年明けの2月…簿記2級を取得することだね。
受験するかしないかはともかく、大学の残り2年間で、
税理士の科目試験を勉強しておくのも…役に立つかもしれない。」
税理士試験は、最初の2年間が勝負…余裕のある学生のうちに、
ある程度の『下準備』をしておくことが、非常に有利となってくる。
「忠君も黒尾君も宅建…不動産絡みの資格を所有するのなら、
蛍は経理と繋がりのある、FPを狙ってみるのも、一つの手だろうな。」
「ファイナンシャル・プランナー…資産管理と運用のプロだよね。
分析や解析が得意なツッキーには、向いてるかもね!」
「離婚にも相続にも繋がる…難関の税理士よりは、現実的かもしれねぇな。」
「最後は、俺ですけど…俺はちょっと、難題かもしれませんね。」
言ってなかったかもしれませんが、俺は『法律』とは縁遠い…建築系なんです。
俺がなすべきことは、様々な分野の専門家たる皆さんの業務を、
総て統括すること…それはわかっています。
ですが、門外漢である俺は、本体の『業務』に携わることは…
力になれず、すみません…と、赤葦は申し訳なさそうに謝罪した。
「顔を上げなさい。赤葦君…名前は?」
「京治です。」
「京治君、君は建築系だといったが…図面は書けるのか?」
「えぇ…大規模プラントの特殊配管設備図や、文化財級の社寺等でなければ、
一般的な商業ビル程度なら、一通りの作図はできますが…」
「君は今すぐ、ウチに来なさい。」
いきなり赤葦の手を取った月島父は、その手に名刺らしきものを握らせ、
即座に熱烈スカウトを開始した。
呆気に取られる4人…当の赤葦でさえ、目を丸くして固まっている。
「法務にとって、建築系に強い者は…喉から手が出る程、欲しい人材だよ。
建築確認、相続財産目録、旅館業や飲食業の許認可に、果ては風営法申請…
図面の読み書きがデキる人間が、どれ程貴重な存在か…」
というわけだから、京治君はおじさんと一緒に…
まさかのヘッドハンティングに、黒尾達は慌てて赤葦を引き剥がした。
「もっ、申し訳ないですけど、コイツはウチの大事な参謀なんで…」
「京治君を『参謀』…つまりは『裏方』としてしか見なかったような奴に、
彼を最大限生かしてやることが、果たしてできると言うのかね?」
そもそも黒尾君、なぜ君の所には、京治君や忠君なんかの、超可愛い…
いや、超優秀な人材が、わらわらと集まって来ると言うのだ!?
偶然にしては、君は運が良すぎじゃないかね…
月島父でさえ認めざるを得ない『人タラシ』っぷり…
黒尾は「なんか…すんません。」と、恐縮するしかなかった。
「とにかく、ここには奇跡的な偶然で、優秀な人材が集まっているんだ。
君達なら…『手の届く範囲の努力』で、目標達成可能かもしれんな。」
正直…私は羨ましいぐらいだよ。
月島父の言葉に、4人は張り詰めていた息を緩め…
ホッとしたような表情で、互いに顔を見合わせた。
「では最後に…家族経営の個人事業主にとって、最大のウィークポイントは?」
仕事も家庭も、総てを共にする『運命共同体』である個人事業主一家。
もしどちらかの歯車が狂ってしまったら、仕事も家庭も共倒れ…
人生設計の全てが、一気に崩壊してしまうのだ。
「家庭内不和が、仕事に直接影響する…?」
「不仲が、全てを失う要因となりうる…!」
月島父は、4人の顔を順に見回し、言い聞かせるかのように語り掛けた。
「家族仲が良くなければ、事業も成立しない。個人事業主とは、そういうものだ。
様々な資格やスキル、人脈よりも、『家族が仲良し』であることこそ、
最も根本的かつ…絶対的に必要不可欠な要素だ。」
だから、何よりもまず、全身全霊で取り組むべきことは…
「4人が、ずっと仲良しでいること…か。」
黒尾の言葉に、月島父はニヤリと笑い…満足そうに頷いた。
「君達は若く、そして優秀だ。スキル等は放っておいてもついてくるだろう。
だから、いかに『仲良しを末長く』維持するか…こちらに全力を注ぎたまえ。」
一番身近な人を幸せにできないような奴が、他人…依頼人の幸せを導けるわけがない。
特に黒尾君と蛍は、自分の天文学的幸運に感謝し、今以上に相手を大切にすべきだ。
「もし万が一、忠君や京治君を泣かせたり、『仲違い』するようなことがあれば…
この二人は即刻、私が貰い受けるからな。」
黒尾君と蛍は…明光あたりに、一生こき使われ続けるがいい。
「…絶対、あなたには渡しませんから。」
「逆に泣かされないよう、せいぜい頑張ることだな。」
不敵な笑みを見せると、月島父は「では、そろそろ私は帰る。」と立ち上がった。
「月島さん…本日は色々と、ご教示ありがとうございました。」
「是非また、いらしてくださいませ…月島のおじ様。」
「今日のおじさん…すっごいカッコよかったよ!さすがだねっ!」
玄関先で、3人から素直な感謝と称賛を受け、月島父はご満悦だった。
デレッとしかけた表情を引き締めると、黙って突っ立っていた息子に向き直った。
「お前から言うことはないのか?」
「父さん…今日はありがとうございました。」
「っ!!?なっ、わっ、私はそんな可愛い息子を持った覚えはない!」
「っ!!?なっ、にっ、二度とココに…来ないで下さい!」
全く、誰に似てこんな可愛いげのない…
そう言いながらも、月島父は口元を柔らかく緩め、
嬉しそうに手をあげて去っていった。
***************
「いやはや…とんでもない『家庭訪問』だったな。」
「とはいえ…これ以上なく『有り難い』話でした。」
月島父を送り出した4人は、遅くなった昼食を取り、
それぞれ少しだけ雑務をこなした後、早々と帰宅した。
晩御飯の支度をする前…夕方の早い時間。
黒尾と赤葦の二人は、やたらと広い浴槽に向かい合って浸かりながら、
取り留めもなく漫然とお喋り…雑学考察していた。
特に決めたわけではなかったが、一緒に暮らすようになってから、
何となく二人一緒に入浴する…これが、習慣になりつつあった。
「夫婦やカップルで一緒にお風呂…『仲良しの秘訣』だそうですね。」
「『お風呂』っていうリラックスの空間が、緊張を緩めるのかもな…」
裸で『全てを曝け出している状況』が、互いの心理的な結び付きを深くする…
まさに『ハダカのオツキアイ』による、心理的効果があるそうだ。
「何故かお風呂だと、素直な気持ちで話せるような…気がしますね。」
「スキンシップすると、オキシトシンが分泌されて…安心するんだ。」
オキシトシンは、キスでも分泌される『愛情ホルモン』だ。
性的興奮のサイクルには欠かせないホルモンなのだが、
人への信頼を高め、人からの信頼に応えようとする気持ちを強めるという、
信頼関係を深める効果もあり…どうやら『ホッとする』らしい。
「追焚き不要とか、少ない湯量で良い…実利以外の効用もあるんですね。」
「年取った時、風呂場での突発的な病気にも…早く気付けて、安心だな。」
確かにそれは、かなり重要な『一緒に入浴』の効果と言えますね。
黒尾さんの死体を発見するよりは、死にぞこないの方がマシですし。
赤葦は笑いながら黒尾の膝頭を撫でると、ひでぇな…と黒尾も笑い、
伸ばした足の甲で、赤葦の脇腹を突っついた。
ぬるめのお湯に、ただただ呆けたように脱力し、
互いの肌の感触に浸りながらの、リラックスタイム…
全身の力と、腹に溜まったものを全て吐き出すかのように、
黒尾は大きく深呼吸し…今日のできごとを振り返った。
「月島さん…明光さんとツッキーの父だけあるな。さすがだぜ。」
「黙ってれば超ダンディな紳士…40年後の月島君が楽しみです。」
あの容姿と声だけなら、『月島のおじ様♪』と…お慕い申し上げるとこです。
「赤葦お前…結構『面食い』だよな?俺は光栄に思う所存だぜ。」
「容姿が『選択肢』に入ってるとは…一言も言ってないですよ?」
顔以外で評価されたのか、顔は評価外なのか…判断に迷うな。
黒尾は困ったような顔で笑いながら、赤葦の手を引いて腿上に乗せた。
抱きかかえられた赤葦は、湯船用のハンドタオルを手にし、
黒尾の背中をゆっくりと擦り始めた。
「もうちょっと、強めで頼むわ…」
「了解しました…これぐらいで?」
ちゃぽん、ちゃぽん…タオルを持つ手が、湯に出入りする音が響く。
黒尾の肩に顎を乗せたまま、ちょっと赤くなるまでしっかりと擦る。
触れた肌と空気が、ほんわりと緩んでくるのがわかる。
はぁ~~~、すっげぇ気持ちいい…次、交代な。
タオルを黒尾に渡すと、同じように赤葦の背中を擦ってくれる。
やっぱり俺も強めに…と頼むと、程よい力で満遍なく揉んでくれた。
気持ちよさと心地よさに、赤葦は微睡むような気分で…黒尾に語り掛けた。
「自分達なりに色々策を練ってたつもりでしたが…」
「人生の先達からすれば、まだまだ甘ちゃんだな…」
これは仕方のないことだ。どんなに背伸びをしても、経験には敵わない。
自分達に絶対的に足りない経験や知識を、教えてくれる人達がいる…
そのことにこそ、感謝すべきではないだろうか。
「本当に俺達は、恵まれてますね…」
「あぁ…とんでもなく、幸運だな。」
改めて二人は、本日の『乱入者』に、頭が下がる思いだった。
それと同時に、自分達までも『家族』として扱ってくれたことに、
ちょっと照れくさいが、じんわりと心が温まる気がした。
この大事な『家族』と、ずっと仲良く暮らしていくためにも、
精一杯頑張っていきたいのだが…赤葦は顔を曇らせて、小さく呟いた。
「俺、本当に…何の法律系資格を取らなくても…いいんでしょうか?」
月島父は、赤葦は建築系のままで良いと断言してくれたが、
自分だけが『無資格』…試験勉強を免除されても、いいのだろうか。
赤葦の感じていた『申し訳なさ』を、黒尾は笑って吹き飛ばした。
「前に山口も言ってたが…資格で飯が食えるわけじゃねぇんだよな…」
特に難関国家資格試験に対して、誤解されがちなことなのだが、
『所有する資格』と、『食っていけるかどうか』は、全く別の話だ。
医師国家試験等のように、技能修得を証明する資格はともかく、
とりあえず学術試験のみが行われる法律系は、取得後からがスタートだ。
「最高位のサムライ…月島父だって、それは同じだったはずだ。」
「確かに、資格があっても…黒尾さんは『ペーペー』ですよね。」
実務レベルで言えば、バイト経験の長い山口の方が、ずっと上なのだ。
容赦ない赤葦の指摘に、黒尾は「そうなんだよな…」と苦笑した。
「まぁ、どうしても何か取ってみたいなら…赤葦向きのも、あるぜ?」
「本当ですか!?でも俺、超理系なんで…法律系は厳しそうですね。」
読書は好きですけど、どちらかというと文章よりも数式や図面の方が…
だが、そんな赤葦の憂慮も、黒尾は水しぶきと共に弾いた。
「法学…入試区分だと『文系』でも、実態は完全な『理系』だぞ?」
法学部への入試には、数学等が不要…いわゆる『文系学科』かもしれない。
だが、法学に必要な『法的な考え方』…理論と根拠を重んずる思考方法は、
紛れもなく『理系』…文学や政経よりも、建築工学の方が、ずっと近い。
逆に、同じ建築でも、力学・設備系とデザイン系では、全くの『異種』だ。
「推理小説と雑学考察を愛する…思考パターンは、同じだろ?」
「それは…そうですね。どちらも『情よりも理』タイプです。」
どんな情熱的な『王子様とお姫様』の話であっても、
二人のロマンスそっちのけ…細事の考察に終始してしまった。
4人での『酒屋談義』で、考察の流れ等に違和感を覚えたことは…皆無だ。
「専門とする学問や、学部は違えど…俺達は『似た者同士』だろ。」
「だから、感情的な喧嘩にもなりにくい…完全に『理系』ですね。」
自分達がもし、二人のロマンスを恋愛小説にしようとすると…
やっぱり情感そっちのけで、理論の筋を最重視…ただの論文になりそうだ。
実態とはかけ離れ、色気も素っ気もない…残念なことに。
何となく疎外感を感じていた赤葦だったが、黒尾の『筋の通った話』に、
異論なく納得するとともに…心底安堵した。
黒尾にしがみついていた腕を、少しだけ緩め、
しっとりと上気する頬に、自分の頬を擦りよせ…キスをねだる。
黒尾は赤葦の背を擦っていたタオルを離し、今度は素手で背を撫でる。
赤葦は片腕を黒尾の首に回し、もう片腕で頭を抱え、髪を撫でていく。
互いの腕の動きで、時折跳ねる湯の音と、
いつもより水分を多めに含んだキスと呼吸の音が、広い浴室に響き渡る。
それらの水音が、反響するように…徐々に大きくなってくる。
「これのどこら辺が、『情よりも理』…なんだろうな?」
「『情なしもお断り』…これもまた、人間の情理です。」
焦点が合わない程、間近で見つめ合い、くすくすと笑い合う。
笑みを湛えた唇さえも、唇で触れ合い、溢れる水を掬い合う。
「『ずっと仲良く』という人生目標に不可欠なのが、『仲良し』だとは…」
「論理としては破綻してるが、結論としては最高に『幸せ♪』…だよな?」
導き出された明白な結論。
異議は認めない…二人は情熱的なキスで、互いの反論を塞ぎ合った。
- 完 -
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※キスの効用(甘酸っぱい青春のヒトコマ) →『弾性限界』
※目覚めのキスについて →『昏睡王子』
※忠君と会議を愛する月島父 →『掌中之珠』
※家族計画 →それぞれの家庭の事情に合わせ、計画的に子どもを作ること。
※宅建 →宅地建物取引主任者。不動産取引に欠かせない専門家。
※FP(ファイナンシャルプランナー) →不動産・投資・ローン・相続・税金等、お金に関する専門家。
※熱く甘いキスを5題『2.反論さえ呑み込んで』
2016/09/01(P) : 2016/09/27 加筆修正