▲ご注意下さい!▲
この話は、BLかつ性的な表現を含みます。
18歳未満の方、性描写が苦手な方は、閲覧をお控え下さい。
(閲覧により不快感を抱かれた場合、当方は責任を負いかねます。)
結婚から約半年。
『公私一双』の頃から、少しは成長した…?
そんな二人の、要するに…単なる情事です。
それでもOK!な方 →コチラをどうぞ。
ちょっと場所が変わっただけなのに。
でも、この『ちょっと』の違いが、どれだけ重要なのか…
黒尾鉄朗は、今それを全身で実感しているところである。
「さすがに、疲れたな…」
「はい…堪えましたね。」
仕事の元請だったデベロッパーの担当者が、この度晴れて独立開業。
とは言え、元々いた会社の新子会社を任される形のため、円満退社…
本質的には、『独立』かどうかも若干あやしいところだが(ウチと同じだ)、
おめでたい話であることには違いない。
その開業パーティに、付き合いの深い黒尾法務事務所も招待されていた。
所長たる黒尾は当然列席だが、本体業務ではなく、付帯業務の建築…
個人的にちょこちょこ仕事を請けていた赤葦も、揃って招待されていた。
歳が近かったこともあり、担当者から黒尾も赤葦も大変可愛いがられ、
新会社からも継続して仕事を…と、奮発してお渡しした『開業祝』よりも、
黒尾達の方にずっと『実り』のあるパーティとなった。
そうは言うものの、デカい元請のおエラい様方がうじゃうじゃしている中、
明らかに若輩者の黒尾達は、気を揉むばかり…当然、盃も断れない。
黒尾は赤葦の分も飲み続け、赤葦は黒尾の分も気を回し続け、
二人は心身共に疲労困憊…グッタリとベッドにダイブした。
恐らくこうなるだろうと予測していた、超優秀な我らが参謀殿は、
会場となった一流ホテル…の、近くのビジネスホテルに、宿を取っていた。
ギリギリ終電には間に合うし、1時間半程で自宅に着く距離なのだが、
こんな時は無理せず外泊…これが二人の『定番』となっていた。
「黒尾さん…まだ、寝ないで下さい。」
仰向けに寝転んだまま、酔いの回る目で天井を眺めていると、
横から赤葦が手を伸ばし、スルスルとネクタイを抜き取った。
そのまま覆い被さりながら、唇を唇で覆い、ズボンにも手を被せてくる。
カチャカチャと鳴るベルト。ジジジ…と降りるチャック。
息継ぎの合間に腰を浮かせると、ズボンと靴下を器用に引き下ろされた。
プチプチとシャツのボタンを外すのと同じリズムで、軽めのバードキス…
その愛らしい仕種に、酔いが少し醒めてきたところで、赤葦が立ち上がった。
「シャワー…お先にどうぞ。」
「あぁ…色々サンキューな。」
よっっっっこらせと、ふらつきながらユニットバスへ足を向けると、
赤葦は二人分のスーツを綺麗にハンガーに掛けてくれていた。
酒は飲んでいないとはいえ、赤葦だって物凄く疲れているはずなのに。
自分のために甲斐甲斐しく動く姿に、胸の奥をキュっと握られたような音…
その衝動に押され、赤葦を後ろから抱き込み、頸筋に唇を落としていた。
痕は付けない程度に。それでも皮膚を火照らせるには十分な強さで。
柔らかい耳朶に、わざと軽く歯を立てながら、湿った音を直接耳に響かせる。
「一緒に…浴びるか?」
「んっ、駄目…です…」
酔っている中、狭い所で無理矢理…なんて、危ないですし。
それに、そんなんじゃ全然…ですから、早く浴びて来て下さい。
恥かしそうに俯きながら、ツンツンと肘で押し、早く…と促す赤葦。
俺は音を立てて唾を嚥下すると、くるりと振り返り、浴室へと飛び込んだ。
二人で一緒に『外泊』…たとえそれが都内のビジネスホテルであっても、
赤葦にとっては『特別』なものらしく、『普段』とは全く違う顔を見せる。
まだ若く、しかも新婚…生活と仕事を共にしているとはいえ、
マンネリとは無縁…自分でも呆れるぐらいのデレデレぶりである。
だが、毎日同じ寝所で、同じリズムで生活していると、
どうしても時間の経過と共に、新鮮さは褪せてくるのは否めない。
そんな中、『外泊』というイベントは、またとない刺激となるのだ。
いつもと違う部屋。布団じゃなくてベッド。そして、お揃いの浴衣…
たったこれだけでも、気分が高揚するのを抑えきれなくなる。
普段とちょっと違うだけ。その小さな違いが、赤葦に大きな変化を起こすのだ。
放射性猥褻物だの、天然Ωだの、すっかりドEROキャラが板に付いてきたが、
それは単なるネタ…普段の赤葦は、堅実な常識人で、実に慎ましく大人しい。
口では散々↓方向の話題を乱発する一方で、初々しい恥じらいを魅せる…
その密かなギャップが、堪らないのだ。
今となってはギャグにしか聞こえない、『廉正な赤葦』が、
ごく稀に『卑猥な京治』に変貌する場…それが『外泊』である。
入れ違いにシャワーを浴びた赤葦は、出てくるなりベッドに飛び込み、
寝転がる黒尾の腰に腕を回して、ギュっとしがみ付いていた。
肌蹴た浴衣から伸びた脚を絡ませ、滑らかな素肌の感触を確かめるかのように、
ゆっくりと掌を黒尾の腿に這わせ、擦り上げていく。
「黒尾さん、お肌…スベスベですね。」
「赤葦だって、シットリ…餅肌だろ。」
お互いに『ちょっと』違うが、どちらも気持ちイイ…極上の肌触り。
違いがあるからこそ、『どっちも♪』な贅沢感を演出している気がする。
汗を流し、湯で温まった身体は、ため息の出るような触り心地…
実際に赤葦は熱い呼気を漏らし、それが黒尾の敏感な部分を掠め、
煽られるように、黒尾も熱い息を吐き出していく。
気持ちイイものに触れ続けていると、当然ながら気持ちヨくなってくる。
スベスベとシットリの素肌の先…気持ちイイを声高に主張する場所に、
吸い寄せられていくのは、自然なこと…もっと触れたくなってしまう。
「こっち…見ないで下さい、ね?」
そう言いながらも、掛布団やタオルに隠れることもせず、
赤葦は黒尾の下着を下ろし、露わになった熱い部分を、おもむろに口に含んだ。
両手は肌を上下に弄り、脚で脚を擦り上げながら、口と舌だけは離さない…
ただひたすらに、全身で黒尾を求める姿は、心身共に震えを走らせる。
見るなと言われなくとも、見て居られない程の艶…だが、目を離せない。
赤葦が顔を動かす度に、ひたひたと腹に当たる、濡れた前髪の雫が、
黒尾の酔いを醒ますと共に、飛びそうな理性を繋ぎ止めていた。
「ん…ふ…っ」
先端部分だけを咥え、舌で形をなぞりながら、赤葦は自分の昂りに手を添える。
そして、黒尾を刺激する口腔と同じ動きで、自身も刺激し始めた。
湧き上がる嬌声を、喉の奥で堪えても、いつもは外に出ないその情動が、
咥えた敏感な部分を通じて、黒尾にも直接伝わってしまう。
普段は赤葦の中に隠された快楽が、普段と『ちょっと』だけ違う『外泊』時に、
ようやく『外』に出てくる…家では出せない本性が、解放されるのだ。
腰付近を彷徨っていた赤葦の手を、黒尾はそっと引き寄せると、
赤葦が黒尾自身にしているように、人差し指と中指に舌を絡め、吸い上げた。
滴るほどに濡らしている途中で、赤葦は焦れたように黒尾の口から指を抜き、
そのまま背後に手を回し…自分で後孔を解し始めた。
「…っ」
これは本当に…見ていられない。
強引に目を閉じ、漏れそうな声を必死に抑えるが、
中に封じた声は体内を震わせ、赤葦の口に包まれた部分に、伝わってしまう。
その動きがまた、赤葦を煽り、耐えた声が黒尾に戻り…共鳴し合うのだ。
くちゅくちゅと湿った音を響かせる、赤葦の口と、自身の昂り。
後ろのクチの音も、堪えた喉の動きを通じて、黒尾の中心を熱くさせていく。
「赤葦、もうそろそろ、止め…」
「もう、入れて…いいですか?」
普段は絶対に口にしないような、大胆なセリフに、ゾクリと動揺が走る。
ちょっと待て…と言う間もなく、赤葦は黒尾の体に乗り上げて、
見せつける様にゆっくりと、黒尾の上に沈み始めた。
「うっ…あ、かあ、しっ」
「くっ…ろおっ、さんっ」
止められない喘ぎ声を、互いの名を呼ぶことで誤魔化す。
誤魔化したつもりでも、名前を呼ばれることが、逆に熱を高める結果になる。
潤った中を硬いモノが進む音…それを掻き消すように、何度も名を呼び合う。
少しずつ赤葦の中に飲み込まれ、繋がっていく自身を見ているうちに、
中に閉じ込め、繋ぎ止めていた自身…理性が、外へと解き放たれて行く。
最奥まで腰を下ろし、荒い呼吸を続ける赤葦…じわじわと昇る熱に浮かされ、
再び腰を上げようとした瞬間、黒尾はその腰をガッチリ掴み、動きを止めた。
「やっ…な、んで?」
「何で…黙ってた?」
***************
やっと、黒尾さんの目が…変わった。
『外』という免罪符…『非日常』を利用しないと、本性を出せない自分。
それは黒尾さんも全く同じ…家ではなかなか見せない本心を、
『外泊』の時にだけは外へ解放し、自身を曝け出してくれるのだ。
俺への配慮や労りといった『優しさ』を取り払い、素直な自分を覗かせる…
普段よりちょっとだけワガママに。そのギャップが、堪らなく可愛いのだ。
それを見たいばかりに、俺は恥じらいを封印し、黒尾さんの封印を解く。
いつもと『ちょっと』違うだけで、それが可能に…だから、外泊したくなるし、
『半歩後ろ』の参謀ではなく、『半身上め』の位置から、主導したくなるのだ。
「黙ってた、とは…何の話です?」
「わかってんだろ…言わせるな。」
開業祝パーティで、赤葦に掛けられた言葉に、黒尾はグラスを落としかけた。
『この開業…赤葦君を引き抜けなかったのが、唯一の痛手かな。』
『気が変わったら、いつでもウチに転職してくれよ?』
随分前から…それこそ、年度末の修羅場を彷徨っている頃から、
法務の裏方ではなく、建築専門にならないかと、赤葦を勧誘していたそうだ。
その才能を、ただの『参謀』として使うなんて勿体無い。
もっと能力と適性を生かせる仕事に就かないか…と。
「言う必要…ありませんから。」
感情の欠如した、赤葦の答え。
冷ややかな視線に、黒尾は思わず目を逸らし、息を飲み込んだ。
これは、赤葦激怒の前触れ…対応を間違えると痛い目を見る。
「確かに、お前の人生、俺が…」
赤葦から目を逸らしたまま、ボソボソと呟き始めた黒尾。
その頬を赤葦はむんずと掴み、正面を向かせて視線で捕縛した。
黙って瞳を射抜き、『建前』は許さない…と、全身で黒尾を締め上げる。
これまでも何度か、黒尾は赤葦を、自分という檻から飛び立たせようとした。
それは、黒尾の誠実さと優しさの表れであることは、赤葦も十分承知の上だが、
そんな優しさはいらないと、拒絶し続けてきた…もっと俺を欲せ、と。
結婚して、そろそろ半年になる。
ここに至ってもなお、そんな見当違いの優しさを見せるようなら、
絶対に容赦はしない…赤葦は全身で、それを黒尾に伝えていたのだ。
「俺に…言うべきことは?」
「っ!?それは、その…っ」
ここで『理性的』な解答をすることは、逆に赤葦を傷付ける。
抑えている自分を解放…『感情的』になれと、揺さ振られているのだ。
身も心も、赤葦に捕まってしまった黒尾は、観念したかのように両手を上げ…
その腕で、下から赤葦を引き寄せ、恐る恐る抱擁した。
「い…行かない、よな?」
「もう一度…やり直し。」
「行かないで…貰えるか?」
「あと一歩…でしょうか。」
「行くな。絶対…行かせない。」
「っ!大変良く…できました。」
きちんと(望み通りの)答えをくれた黒尾をギュっと抱き返し、ご褒美のキス。
ほとんど自分が言わせたようなものなのに、それでもやはり…歓喜に震える。
さっきまでは、包んだ口から想いを伝えたが、今度は繋がった部分から…直接。
言葉でしか伝わらないこともあるけど、こうして言葉以外で伝える方法もある。
そのどちらも欲す俺は、本当に強欲。両方くれる黒尾さんは、本当に…優しい。
俺が黒尾さんを置いて、どこかに行くわけない…離れるわけないのに。
どんな好条件で誘われようとも、俺の答えは決まっている。
だから、わざわざ黒尾さんに知らせる必要などない…それだけの話だ。
でも、この話には別の使い道があった。それが、黒尾さんを『揺する』こと…
(間違っても『強請る』じゃない。)
以前よりかなりマシになったが、まだ上手く自分を『外』に出せない黒尾さん。
その封じられた本心を揺すり、引き摺り出すネタとして、利用したのだ。
腰をくゆらせ、更に揺さぶりをかける。
漏れ出る甘い吐息の隙間から、僅かずつ『本音』が滲み出してくる。
「実は、すっげぇ焦ってた。」
お前が俺から離れるはずはない…そう信じてはいる。でも…少し不安だった。
いや、不安は…ちょっと違うか?とにかく、何だか頭がぐちゃぐちゃしてた。
赤葦が、色んな人から認められるのが、自分のことみたいに誇らしい気持ち。
そんな赤葦が、この俺を選んでくれたんだぞ!っていう、小っせぇ優越感。
これは、心底嬉しかった。それは間違いないんだが…
っつーかお前、いつの間にウチの…俺の大事な赤葦と、仲良くなってんだよ!?
コラァッ!勝手に肩ポン♪とか…気安く触ってんじゃねぇよ!
「何か、そういうのも一緒に、色々グルグル回って…結果、飲み過ぎた。」
まぁ、つまり、その、何だ…
多分これは、いわゆる…アレだな。
気まずそうに頬を染め、もごもごと言い淀む姿に、顔の緩みが止められない。
図らずも『キュ~ン♪』とした心の動きが、同じ音を立てて黒尾さんを締め、
それを『ゆすり』と勘違いしたのか、黒尾さんはヤケクソ気味に白状した。
「ヤキモチ…だよっ」
「ーーーっ!!!!」
あぁ、もう…どうしてくれよう。
この不器用で優しい人が、愛おしくて堪らない。
歓びのあまり、あられもない声が出そうになってしまい、慌てて唇を塞ぐ。
絶対行かせない…その言葉通りに、息が詰まる程の抱擁と、激しいキス。
そして、1ミリでも深く繋がろうと、腰を突き上げ…腰を落とし込む。
「あっ、やっ…も、っと…」
「凄ぇ、キモチ…イイ…っ」
稀にしか出てこない、互いの本性。
求め、求められるという快感が、更なる快感を求め…互いを激しく揺さぶる。
いつもより『ちょっと』大胆で、過激…この違いが、大きな歓びを生むのだ。
完全に本性を現した、熱の籠る視線に、焼かれそうになってしまう。
身を焦がす熱に、息を飲んでいると、真っ直ぐな眼差しと、静かな声…
「お前が俺から離れるなんて…耐えられねぇよ。」
頼むから、どこにも…行かないでくれ。
1ミリたりとも離れない…とばかりに、『出し入れ』すら止められてしまう。
ストレートな熱情が、心と身体を一気に貫いていく。
歓喜のあまり、それだけで達してしまいそうになる…困る程の幸福感だ。
だが、黒尾さんは『離れない』まま凝固…別の意味で困ってしまった。
絶対に、俺を離して欲しくはない。それはそうだけど…
「絶対に、離れません、から…もうっ、早く…っ」
離れなくても、俺をイかせる方法…黒尾さんなら、ご存知でしょう?
堪らず自身の昂りに手を伸ばすと、黒尾さんにその手を掴まれてしまった。
肉欲に漲る強い瞳…それだけで、ゾクリとしたものが背を駆け上る。
「お前も…魅せてくれるんだよな?」
欲望に忠実っていう、俺の本性を満たすのは…お前の本性だけだろ?
中途半端に突き上げながら、じわじわと煽るだけ…
もっと強い刺激を求める声も、動きも、もう抑えきれなかった。
遂に俺も理性を解放し、自ら激しく腰を上下させた。
「卑猥な京治…存分に御覧下さい。」
- 完
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※赤葦を飛び立たせようと… →『全員留守』
2017/06/20