「さてと…行くか。」
土砂降りの雨の中、合宿所を飛び出して行くべき場所は、俺にはわかっていた。
けれども、そのゴールまでどうやって辿り着くのかは、アタマでは全くわからない。
それなのに、カラダはアタマが考えるよりも先に、勝手にゴールへ向かって駆け出していた。
「おいおいマジかよ…ココを行けってか。」
暗闇を更に黒く閉じ籠める暗雲の中、闇よりも更に濃い深淵…海の中へと歩を進める。
満ちた海水に沈んだ岩場を越え、膝上まで浸かりながら、どんどん…導かれるがままに。
「しまったな…フツーの溺れ対策用鼻栓、してくればよかったぜ。」
鉄の名を冠する猫の俺は、海が苦手…これっぽっちも泳げない。
強制参加の合宿じゃなかったら、海になんて絶対来なかった。
わざと仕事を必要以上に引き受け、海水浴タイムがなくなるよう仕向けていたぐらいなのに、
まさか夜に、水着も浮輪も鼻栓もない状態で、堂々と恐怖の海に突入することになろうとは…
「全然怖く感じてねぇのが…逆に怖ぇな。」
ザブザブと海中を突き進む足音も、バタバタと全身に打ち付ける雨音も、まるで聞こえない。
身体の奥底、芯の部分にだけ熱が籠り、脳内は至って冷ややか…心拍も呼吸も平坦そのもの。
思考系統は理性を維持できているが、運動系統は全く別の何かに支配されていて、
『地に足がつかない』という異常な感覚を、正常だと受け止めている異常さを自覚していた。
「赤葦は…まだ、大丈夫そうだな。」
蜃気楼の見える場所…シェルターは本来、αやΩが『緊急避難』するための施設である。
見知らぬ誰かのフェロモンから逃れ、自身の発するフェロモンを周囲に振りまかないよう、
それらを物理的にシャットアウトし、予期せぬ遭遇による『事故』を未然に防ぐ防御壁だ。
「αとΩは、証明があればシェルター利用最優先かつ、無料…助かるよな~」
何の準備もなく発情してしまえば、衝動が治まるまでは何もできない…ナニしかできない。
だから、Ωはできるだけ衝動を低めに抑え、αはフェロモンの暴露を事前に避けるべく、
予防的に抗Ω(α)薬を服用したり、各種便利グッズを併用してはいるのだが…
「とんでもなく…相性が良いんだな。」
海水に揉まれ、雨に流されているというのに。堅牢なシェルターに、籠っているというのに。
覚醒間近な赤葦の気配を確実に捉え、全ての感情を超越し、迷いなくその場所へ向かう足。
ただのαとΩというだけでは、さすがにここまで惹き合うことは有り得ないだろう。
「つがい確定レベルの、合致率…か。」
自分達の『カラダ』を知るよりも前から、自分達の『ココロ』には何となく気付いていて、
なんやかんや理由をつけては、二人で過ごす時間を捻出し、少しずつ距離を詰めてきた。
誤魔化しようもなく『ココロ』が大きくなり、あともう一歩!という所までやっと来たのに、
そこでまさかの急ブレーキ…『カラダ』のことを知り、覚醒もあともう半歩!だと判明した。
「惚れ込んで、ようやく結ばれそうだった相手が、運命の相手だったとか…冗談キツいぜ。」
こんな天文学的な幸運があっていいのかっ!?そう歓喜したのは、一瞬にも満たなかった。
何となく気が合うな~という、予感とも言えないファジーな感覚からスタートし、
ジリジリな探り合いを楽しみながら、共にコツコツと努力を積み重ねてきた。
外から見れば、じれったいばかり…不器用で非効率で反モテな『道中』だっただろうが、
俺達にとってはワクワクなルートで、『ゴール目前』の維持が最高に楽しかったのだ。
それなのに、その『目前』を越え『ゴール』の遥か先に突き飛ばしたのが…『運命』とやら。
何だよそれ。当事者の『ココロ』を無視して、勝手にゴールさせんじゃねぇよ!
この『道』に導かれたのも、惹かれ合ったのも、全て『運命』のなせる技だったのか!?
遺伝子だか抗体だか、ただ単に『カラダ』の相性がバツグンに良かっただけ…
『運命』に一括りされる、目に見えねぇものが見せた、ただの蜃気楼だとでも言うのかよ!?
「そんなの、俺は…絶対に認めねぇ。」
だから俺は、ちゃんと確かめることにした。
たとえ『何となく気が合う』が『カラダ』の相性だとしても、それはきっかけに過ぎない。
目に見えないもんじゃなくて、ちゃんとお互いをしっかり見つめ続けて、惹かれ合った…
『ココロ』が「この人だ!」と感じ、結ばれたいと願ったことを、確認し合いたかった。
そのためには、お互いがはっきりと自分の『カラダ』のことを自覚した上で、
発情の覚醒前…理性を失って『つがい』になる前に、『ココロ』で結ばれる必要があった。
赤葦の自覚を促し、なおかつ俺も赤葦も望まぬタイミングで覚醒してしまわないように、
普段からシェルターや様々なグッズを活用しつつ、『その時』を待っていたのだが…
「俺がのんびりダラダラしてたせいで…っ!」
アイツらが『可愛いイタズラ』を仕掛けたのも、悪気があったわけじゃなくて、その真逆。
いつまで経ってもゴール寸前のぬるま湯に浸かり、甘え怠けていた俺達のケツを叩くため、
『夏のアバンチュ〜ル☆』という笑い話で済む範囲の、ありきたりな『お茶目』をしたまで。
それが『笑い話』にならなかったのは、確率のごくごく低い偶然が重なったせいでしかない。
災害や事故、難病なんかと同じで、存在することは常識だし、当然知ってはいるけれども、
それが自分の身近にいたり、自分の身に降りかかってくるなんて、誰も思っちゃいない。
「まさか自分が…って、みんな言うよな。」
特に、検査したり発現しなければわからないような、遺伝による体質的なものともなると、
外側からパっと見で判別できない以上、そうなってみないと本人すら気付かないだろう。
俺だって、ホモ・オメガバースは『一般常識』という名の他人事としか思っていなかったし、
ホモ・サピエンスの悲しい歴史…被災者や感染者等への差別を繰り返さぬようにと、
αβΩ間の違いを極力なくす施策を続けてきたのなら、一般人には尚更わかりっこねぇだろ!
「『個性』に合った生き方を、するだけ…っ」
あー、もう、そろそろ…
さっきまであんなに脳内はクリアだったのに、歩を進める毎に思考が一つに集約されてきた。
必死に理屈を捏ね続けても、『カラダ』と『アタマ』が、赤色に染まって…
(アイツに、逢いてぇ…今すぐに。)
逢って、この腕に抱きとめて、繋がって…
いや…違う。それより先に、繋げねぇと。
俺が俺で、アイツがアイツであるうちに。
黒赤に溺れてしまう前に、『ココロ』を…
「頼むから…間に合ってくれ…っ!」
*******************
「まさか、あの二人…っ!?」
「多分、そのまさか…だよ。」
合宿所から出て行った黒尾さんの奇行に、俺達のほとんどが「???」だったけど、
ツッキーと孤爪さんだけは、真っ青な顔を見合わせて愕然…重いため息を吐いた。
その様子に、今度は全員がツッキー達に注目し、木兎さんが首を傾げながら声を上げた。
「なーなー、『まさか』って何が?つーか、俺らの作戦は成功したのか?説明しろよっ!」
声は出さずとも、同じリズムで首をコクコクして、真剣な眼差しで先を促す皆さんに、
ツッキーはチラリ…と、孤爪さんと視線を交わし、微かにコクリと頷き合った。
そして、一度天を仰いでから大きく息を吸い込み、努めて淡々と説明を始めた。
「おそらく、黒赤組は…αΩ、です。」
「知ってるよ。アイツらをαΩにしてやろうぜ!って、みんなで計画立てたじゃねぇか。」
「『ごっこ』じゃなくて…『ホンモノ』の。」
では、最後に残った宿題を…
生物学の課題を、みんなでやってしまいましょうか。
ツッキーはそう言うと、孤爪さんから大きなパッドを受け取り、そこに『αβΩ』と書いた。
「ホモ・オメガバースには、男女の別の下位分類として、αβΩの性別が存在します。」
「そして、XXやXY、血液型と同じように、両親の遺伝子を半分ずつ引き継ぐんだ。」
血液型のABO式だと、AA、AO、BB、BO、AB、OOの6種類の子が産まれるが、
『A=B>O』の順に優性遺伝するため、AAとAOの表出型は『A型』、BBとBOが『B型』、
同順位のAとBは双方が表出する『AB型』、そしてOOの場合のみ『O型』となる。
これをαβΩの遺伝に当てはめてみると、
『β>α>Ω』の順に優性遺伝し、β因子を持つと必ず『β型』が表出する結果、
『大多数のβ(80%)』『稀少種α(15%)』『絶滅危惧種Ω(5%)』 という人口構成比になる。
「『α型』が表出するのは、ααか、αΩの時で…」
「両親双方からΩを継いだΩΩだけが、『Ω型』になるってことだよな。」
「授業で習ったぞ!確か…メンデルスゾーンの法則!」
「それは音楽家…『真夏の夜の夢』だよな。」
「違うけど、微妙にドンピシャなの…キタ!」
遺伝の基本的ルールは同じだが、血液型とαβΩ型が決定的に違う点がある。
それは、後者は体型だけでなく内分泌系にも差異をもたらす、『性』の分類であること…
つまり、古代人の血液型占い的なものとは違って、『性格(気質)の差』が生じることだ。
「例えば、僕の横にいる山口忠(β型)は、βΩの父と、αΩの母から生まれた、βΩです。
自身はα因子を持たないものの、αβΩ全ての気質を継ぐ『ザ・平均値』タイプですよね。」
「対するツッキーは、表出型としては同じβ型でも、月島家は代々、濃いαの名士一族。
ααの父と、βαの母から生まれた、βα…『僕ですけど何か?』タイプだよね~?」
「月島のそれ…遺伝に関係なくない?」
「せめて『ワガママ次男坊』にしてやれよ。」
「それか、ボンボン☆ツッキー…略して『ボッキー』とか、まんまじゃね?」
みなさんからの散々な(正当な)評価に、ツッキーはゲホゲホと思いっきり咳き込み、
その背をポンポンと叩きながら、孤爪さんがポケットから『赤い薬』を取り出した。
「これは、赤葦に盛った催淫剤…擬似的に発情期のΩっぽくなれる、ステキなクスリ。」
でも、本来はセックスドラッグじゃなくて、抗α剤。
αが発情衝動を抑えるために、『確定したつがいがいる』とカラダに誤認させるべく、
予防的に摂取している、正式名称オメガミン…要するに、『Ω』そのものの成分なんだ。
「もしこれを、Ω因子を持つ者が摂取したら、どうなると思う?例えば…山口とか。」
「えーっと、βΩの山口に、Ω成分を今だけ増量中!だから…も~っとΩっぽくなるっ!?」
「Ω因子のない、βαのボッキーが飲むより、断然スゴイ♪ってことになるよな~!!」
その通り。
だから、新婚さんが初夜にコレを飲む儀式の時には、それぞれが保有する因子を増量する方…
月島なら、山口とは逆の抗Ω剤、つまり黒いアルファミンをガッツリとブチ込むことで、
月山組も擬似的に『αΩつがいごっこ』を、体験することができるってわけだね。
「では、問題です。
もし抗α剤ことオメガミンを、ホンモノのΩが飲んでしまったら…?」
「ΩΩに、Ωをマシマシでオカワリ…」
「ガンガンオメガ…オーマイガーっ!!」
「ちょっ、それ、『可愛いイタズラ』じゃ、すまなくねぇか…っ?」
「控え目に言って、赤葦改めドピンク葦っ!」
「ま…ままままっ、マズすぎるだろっ!!?」
知らなかったとは言え、僕達はとんでもないエロハプニングを引き起こしてしまったんです。
黒尾さんの『らしくない』狼狽振りは、この事故に気付いたから…でしょうね。
「ってことは、黒尾は赤葦がΩだと…」
「当然、知ってたことになるね。」
「ななっ、なんで、黒尾は…?」
「知ったというより、察したから…?」
「Ωを察知できるのは、唯一…αだけっ!?」
身近にαとΩが存在していたことに、全員が目と口をポカンと開けて絶句。
しかもそれが、くっつけようとしていた二人にドンピシャだったとか…どんな運命だよっ!?
自分達が面白半分で犯してしまった取り返しのつかないミスに、さすがの猫梟も真っ青…
だが、沈黙で冷たく凍る室内に、研磨の穏やかな声が響き渡った。
「クロが知ってたんなら…安心、でしょ。」
だって、あのクロなんだから、赤葦がそれとは気付かないうちに、防御策を講じてたはず…
万が一の緊急事態に備えて、突発的な発情を抑える抗Ω剤を、御守がてら持たせたんだ。
「それが、コレ…ホイッスル&火打石付のセーフティグッズ風の、ペアネックレス。」
「ここ…根元のコロンと丸い部分に、吸引タイプの薬剤が入ってるんでしょうね。」
「あっ!!だから、あの時…ゴミ捨て場で黒尾さんは、赤葦さんにこの笛を吸わせたんだ!」
「そう。そして、この黒尾さんの方も、見た目だけじゃなくて『ホンモノのペア』なのは…」
「さっきのクロの仕種と変化…笛を『吸って落ち着いた』ことから、間違いないと思う。」
まぁ、月山組のイチャイチャを目撃する程度なら、それで抑えられただろうけど、
Ωをマシマシオカワリしちゃったら、さすがにそんな予防薬じゃあ焼け石に水…
「クロのあんならしくなく焦った顔、幼馴染の俺ですら、初めて見たし。」
「自分の策が崩壊したことよりも、赤葦さんの身を案じたのは…黒尾さんらしいですね。」
黒尾さんがαだと思しき証拠は、もう一つあります。それがこちら…少々お待ちください。
…と言ってツッキーは後ろを振り向くと、ティッシュを取って盛大にお鼻チューーーーン!!
何やらごそごそと手元を動かした後、掌に小さなモノを乗せ、前にそっと差し出した。
「これは…鼻栓?」
「僕のは、正真正銘の花粉症用ですけどね。」
両生類以上の脊椎動物の鼻には、ニオイを検知する主嗅覚系と、
鋤鼻(じょび)器という器官でフェロモンを受容する、副嗅覚系が存在します。
ヒトの鋤鼻器は、胎児期にはあっても、成長に伴って退化してしまうのですが…
「ホモ・オメガバースのαだけは、退化せずにそのまま機能し続けると思われます。」
「Ωのフェロモンを、感知するために。」
つがいの確定していないαは、アッチコッチのΩにホイホイと反応してしまわないように、
鋤鼻器のはたらきを阻害する便利グッズ…α専用の『鼻栓』を常用しているんです。
僕の家の洗面台にも、父と兄が使っている『鼻栓』が、アッチとコッチに転がってますから。
「なるほどな~!だから黒尾は、赤葦の居場所がわかるって、断言してたんだな。」
「鼻栓を取ったαにしてみれば、ピンクに染まりかけたΩを辿るなんて…昼飯前ってか。」
な~んだ、それなら…ホントに安心だ!
黒尾なら赤葦を任せられることぐらい、古代人の時代からわかりきってたけどさ、
『Ωの赤葦』になっても、『αの黒尾』なら…絶対に守ってくれるってことだもんな〜!
だったら、俺達は最初の計画通り、二人に『夏のアバンチュ~ル☆』を楽しませてやるだけ…
明日の昼飯前まで、海で遊びながら待ってればいいだけだっ!!
「これにて、一件落着~♪計画、大成功!!」
木兎さんの完璧なまとめに、全員がウェ~イ!とハイタッチ。
どうか俺達の大好きな黒尾と赤葦が、一緒に暁を迎えられますようにっ!!!と、
まだ雨が降り止まぬ窓に柏手を打ち…頬を染めた『てるてるテレテレ坊主』を作り始めた。
「よかった…で、良いんだよね?」
「うん。あの二人なら…大丈夫。」
仲良く工作の宿題に勤しむ猫梟達を、ツッキーと一緒にほんわ~り眺めていると、
眠そうな孤爪さんがやって来て…俺達の前にそれぞれ右と左の拳を差し出した。
「これ…はい。」
ずいっ、と突き出される拳の下に、おずおずと掌を上に向けて出すと、ぽとり…
見覚えのある『黒』と『赤』が、それぞれの手の中に落とされた。
「こっ、これって…っ!?」
「さっ、さっきの…っ!?」
「ん…俺達からの、お礼。」
今回は、ホントにありがと。
月山組のおかげで、ほぼほぼ上手くいった。
二人も、夏のアバンチュ~ル☆…楽しんで。
「それじゃ…おやすみ。」
*******************
「な、んだ…これ、」
熱い、熱い…熱い。
それなのに、震えが止まらない。
乾ききった冷たい唇から、蕩けそうなほどに熱く潤んだ吐息が漏れ出してくる。
「溺れ、そう…っ」
雨にも当たらず、海にも大して濡れなかったはずなのに、
無意識に飛び込んだシェルターの中で、身を焦がす熱に焼かれ、沈みそうな息苦しさを感じ…
固いソファベッドに倒れ込み、気休めに胸を寛げるべく、パーカーのチャックに手を伸ばす。
(ついに、きた…っ)
朦朧とし始めた意識を繋ぎ止めるように、じっと目を凝らして天井を眺めて…深呼吸。
ようやくピントの合った目に映ったのは、古びた蛍光灯。鼻をくすぐる、皮のソファの匂い。
(『イチゴのお部屋』に、似て…っ)
そう思ったが最後、脳内に浮かぶのは…あの人のことばかり。
ここに似た場所で、たくましい腕枕に抱かれながら、あの人の鼓動に埋もれ…
熱く濡れた手でパーカーのチャックを下ろし、素肌を撫でて、俺の熱を包み込んでくれた…
二人で触れ合った感覚を思い出し、叶わぬ想いに頬を濡らしてしまうのだ。
(もう、終わった恋、なのに…)
時間は戻せない。もう…遅い。
最悪のタイミングで、あの人を強く求める衝動の波に、飲み込まれ始めてしまうなんて。
(なんで、いまさら…っ)
この波に溺れても、ただただ苦しいだけ。
理性ではわかっているけど、あの人からは抜け出せないと…ココロとカラダが絶叫していた。
あの人と、交じり合いたい。
入り込めないほど、ハマりたい。
その乾いた唇で、俺の名を呼んで。
俺を潤して…深く溺れさせて欲しい。
震える指で、ほんの一瞬、唇に触れる。
たったそれだけで、抑え込んでいたものが堰を切ったように溢れてきて…
ココに欲しくて堪らない、あの人の感覚を求めて、甘く掠れた声を絞り出していた。
「お願い…早く、ここに、来て…っ」
→ ⑬月山編最終話へGO!
→ ⑭クロ赤編最終話へGO!
**************************************************
※BGM →倖田來未『愛証』
小悪魔なきみに恋をする7題
『06.(一瞬だけ触れた指は)』
お題は『確かに恋だった』様よりお借り致しました。
2020/09/30