教えて!研磨先生⑥







ここからは、『兄貴』『元気』『カワイイ』の出演者について、
『次回作への広がり』という観点から、選んでいくことにしよう。

まずは『頼れる兄貴系』であるが、候補者は『澤村大地』『黒尾鉄朗』だ。

「この二人…よく見ると『キャラ』が割と被ってるね。」
「『主将』『怒ると怖い(腹黒)』『でもやっぱり頼れる兄貴』…似てるよね~」
「二人の違いは…やはり『サブ』の存在、でしょうね。」

もし『澤村』のストーリーを考えていくとすれば、確実に登場するのは、
『菅原孝支』『東峰旭』…烏野『三羽烏』が主題になるだろう。
実に正統派な青春ストーリー(友情物語)として、安定感バッチリだ。

「『澤村』のサブは、恐らく『菅原』が有力だろうね。」
次回作では、『お母さん系・菅原』の、ほのぼの育児日記…もしくは、
『定年後の老夫婦』的な、まったり癒され縁側日記だろうか。
これはこれで、物凄くほっこり…安心してプレイ可能だ。


「対する『黒尾』の見どころは、やはり…『第三体育館』ですよね!」
出演確定の『月島』をはじめ、他校キャラとの関わりが描けるのも、強味である。
そして、強力な『サブ』として、『孤爪研磨』が登場するのだ。

「『幼馴染』は、かなりグっとクる存在です~個人的には。」
「そうですか?俺は『徹底排除』もイイと思いますけどね。」
「赤葦さんすみません…僕は『幼馴染万歳!』に一票です。」

あのね…『個人的な嗜好』に囚われちゃダメだって、言ったよね?
まぁ、その『孤爪研磨』については、俺からはノーコメントということにして。
実は『黒尾』には、『澤村』では難しい『裏設定』が可能なんだよ。
これは、次回作が『D』以上(推奨は『Z』)の場合っていう限定付きなんだけど…

「『黒尾』は『澤村』よりも…『黒(闇)』を強調しやすいんだ。」
研磨先生の発言に、黒尾以外の3人はギラギラと目を輝かせた。
先生は息を吸うと…またしても声色を変え、『ミニシアター』を開始した。


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アクの強い音駒の部員達。引っ込み思案な幼馴染。
他校の生意気な下級生&破天荒な同級生まで…
口では文句を言いつつも、黒尾はそれらの全てを受け止め、世話を焼く。
そんな懐の広い黒尾は、『皆の兄貴』として、誰からも慕われていた。

何だかんだ言っても、優しくて頼りになる…デキる男なのだ。
きっと、彼のような人に大切にされると、幸せな人生を送れるだろう。

黒尾を『腹黒』と周りが評すのは、そうでも言わないと『完璧』な男…
非の打ちどころがない奴になってしまうから、というだけだ。
実際のところは、『腹黒』はただの知性と深謀遠慮さの裏返しであり、
本当は『お茶目な奴』という親愛の情を込めて、周りがわざと言っているのだ。

…と、誰もがそう思っていた。
だが、黒尾は本当に、その内側に『闇』を抱えていたのだ。


「ただいま…今日も『イイ子』にしていたか?」


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「彼は、面倒見が『良すぎる』…いや、僕の生活『全て』が、彼次第なのだ。」
「鍵が掛かった黒尾の部屋。その中だけが、僕の世界…」
「これはいわゆる…『籠の鳥』ルート、ですね。」

一見『爽やか好青年』なキャラが、にこやかに微笑みながら相手を囲う…
時々そうした『病み(闇)系』のルートが、乙女ゲームには一定数存在する。
当然ながら、ここから先は…『緊縛系』まっしぐらだ。

「ちょ…ちょっと待ってくれ!俺はそんな病んでもねぇし、ドSでも…」
今まで黙って聞いていた黒尾は、思いもよらない展開に慌てて声を上げた。
だが、こうした声は一切無視…というのが、この会議の基本スタンスである。


「『黒尾鉄朗』は、腹が立つぐらい『デキる』男ですもんね~」
「こういうキャラは、『ド変態』ぐらいじゃないとバランス取れません。」
「爽やかさでは『澤村』に勝てませんから…『色モノ』で勝負するしかないですし。」

ねぇねぇツッキー、普通の『乙女ルート』では、『激甘系のお兄ちゃん』で、
『黒尾攻』の時は『ドSモード』、『黒尾受』は『ドMモード』とか…どう?
昼間は『デキるお兄ちゃん』に完全降伏して『可愛がって』貰いつつ、
逆に夜は『僕がお兄ちゃんを…可愛がってあげるから。』…山口、最高だよね?

超ノリノリで(若干の私情を込めつつ)言いたい放題の月島と山口。
さすがに我慢ならないと、黒尾は赤葦にコソコソと耳打ちをした。

「おい…このままだと、赤葦は『ド変態のツレ』扱いだぞっ!」
俺の意見はスルーされるから…お前から何とか言ってやってくれ。

赤葦は一瞬残念そうな顔を見せたが、了解しました…と小さく首肯した。
そして、「質問があります。」と静かに手を上げた。


「その『籠の鳥』ルートは、ただの『バッドエンド』の一つ…ですよね?」
「勿論そうだよ。今のは、『オトナ向けエロゲー』にした時の『案』ってだけ。」
乙女・攻・受…どのルートでも、『真エンディング』は幸せなラブラブであるべし…
これが『乙女ゲーム』の大前提だし、譲れない俺の『信念』だから。
安心して…絶対に『黒尾鉄朗』との幸福を約束する。

研磨先生の力強い断言に、黒尾も赤葦もホっと一安心。
それなら『ゲーム』と割り切って、『黒尾』の新たな可能性を楽しむのも…アリか?
(但し、数ある『バッドエンド』の一つとして、に限る。)


最後にもう一つ、質問があります。
赤葦は真剣な表情で、正面に座る研磨を見据えた。
「『黒尾鉄朗』の…『大正解』の選択肢は、いかなるものですか?」

赤葦の問いに、研磨は神妙な面持ちで頷くと、
真横に座る黒尾の裾をキュっと握り、潤んだ瞳で上目遣い…


俺(私)はいつまで…あなたの『弟(妹)』なの?


「「ーーーーっ!!!?」」
研磨先生の言葉に、黒尾は口元を抑えて立ち上がり、どこかへ走り去った。
同時に立ち上がった赤葦は、研磨の手を激しく引っ張った。

「孤爪、お前…っ!!」
そして、掴んだその手をぶんぶんと上下に振り…深々と頭を下げた。

「今日から…『孤爪師匠』と呼ばせて下さいっ!!」


「はい、『兄貴系』は『黒尾鉄朗』で確定~っと♪」
「どうやら両方にツボったみたいで…何よりだね。」




- ⑦へGO! -


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<研磨先生開発メモ>
『黒尾』ルート・バッドエンド(ドERO)確定選択肢(案)

俺(私)は…『お兄ちゃん』が欲しかったわけじゃ…ない。




2017/02/27    (2017/02/20分 MEMO小咄より移設)

 

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