ご注意下さい!

この話は、『R-18』即ちBLかつ性的な表現を含みます。
18歳未満の方、性描写が苦手な方は、閲覧をお控え下さいませ。
(閲覧により不快感を抱かれた場合、当方は責任を負いかねます。)

EROの偏差値は、そんなにハイスコアではないのですが、
『教育』の観点からすると、学生さんには問題アリな話です。


    それでもOK!な方  →コチラへどうぞ。























































※『猫心梟心』…その後のクロ赤。



    猫舌梟嘴









「なあ…俺、必要なのか?」
「勿論…次は、ここです。」


今までの『没交渉』の穴を、全て埋め尽くそうとするかのように、
受験も部活も終わり、引越作業もない…ヒマを持て余した黒尾は、
何かと理由をつけては、赤葦宅方面へと出向くようになっていた。

いや、理由ならば…立派な大義名分があった。
音駒の部室で、赤葦が黒尾に依頼したこと…『家庭教師』である。
まあ、ものは試しに…と、家庭教師『ごっこ』ぐらいの気持ちで、
英語をはじめ、数学、世界史、古典漢文等、主要科目を教えてみたのだが、
よほど相性が良かったのか、これが上手いこと『ドンピシャ!』とハマり、
あっと言う間に、赤葦の中間試験の成績がジャンプアップした。

「本当に、黒尾さんは教え方が上手ですよね。先生業…向いてますよ?」
そう言えば合宿中も、音駒だけでなく他校の人間にも、バレーを教えていた。
彼らが短期間でメキメキと力をつけたのは、『良い先生』あってこそだろう。
『ここだ!』というポイントを、的確に指導してくれるのだ。

「いや、赤葦の理解力と要領の良さも、相当なもんだぞ…恐れ入るぜ。」
ほんの少し『コツ』を教えると、それをすぐに吸収し、応用してみせる…
その器用さと聡明さで、さほど学業で不自由はしていないようだったが、
『困らないレベル』から『デキるレベル』に成長…『優秀な生徒』だった。


これを一番喜んだのは、先生と生徒本人…ではなく、生徒の保護者だった。
最低限内部推薦があるとはいえ、3年引退後は以前にも増して部活に忙殺…
何だか今までよりもグッタリして帰宅するし、最近元気もないし、
このままで本当に大丈夫だろうか…?と、少しばかり心配していたのだ。

だが、そんな部活三昧でほとんど家に居なかったはずの息子が、
突然友人(先輩?)を連れて来たかと思えば、勉強を教わり…成績急上昇。
しかも、「水曜日は『ノー残業デー』になったから。」と嬉々として語り、
(赤葦父は心の底から『超~~~羨ましい!!』を絶叫していたが。)
毎週水曜と土曜は早々に帰宅し、自宅でその先輩と過ごすようになった。

特に土曜は、黒尾先生も一緒に晩御飯…その流れで泊まることが多くなり、
すっかり『赤葦家の団欒』に溶け込んでいた。
(赤葦母は、『家族が増えたみたい~♪』と、大いに感激していた。)
可愛い息子は、少し前の切羽詰まった感…痛々しい雰囲気もなくなり、
グン!と成績も上がるし、家族と過ごす時間も持てるようになった。
これは全て『黒尾先生』のおかげだ…と、赤葦の両親は大喜びした。

「黒尾先生、今はボランティアで見て頂いてるけど…」
「このままぜひ、正式に京治の家庭教師として…お願いできないかな?」

当然の流れとして、両親はそう懇願したのだが、当初黒尾はそれを固辞。
俺は特に何もしてない…赤葦自身の実力と、運が良かっただけかもしれず、
ご飯もご馳走になり、泊めてもらって、その上お金までは頂けない…と。
(それ以上のものも、ちゃんと頂いていますから!…とは言わなかったが。)

それならば、次の学年末試験の成績も上がれば、それは『運』ではない…
先生の指導あってこそという、まぎれもない『証拠』だから、
その結果を見て、改めて考えよう…という話で落ち着いた次第である。


「本当に、いいのかな…俺は全然必要ないぐらい、お前はデキるだろ。」
「デキる素地はあったかもしれませんが、引き出したのは…先生です。」
生徒の『ヤる気』を引き出すことも、教師の重要な役割でしょう?
俺は、黒尾先生がいないと…絶っっっ対に勉強なんかしませんからね。

「ほら、早くここ…チェックお願いします。」
「そう急かすなって…はいはい、完璧だな。」
「………。」
「………。」

「先生~、次の問題の『ヤる気』が…急激に枯渇してます。」
「あ~はいはい。嘴尖らせながら催促って…お前は雛鳥か?」


迅速な給餌、お待ちしてます!…と絶叫する雛鳥のように、
赤葦は唇の先を少し尖らせ、チチチッ!!と音を立ててさえずり…
欲しいモノがなかなか貰えないと、不服げにぷっくり頬を膨らませる。

その甘ったれた表情が何とも言えず、黒尾は膨れた頬をむにゅむにゅと掴み、
驚いてキョトン顔をする雛鳥の嘴を、舌でペロリと舐めて笑った。

「…はい、おしまい。『続き』は次の大問が解けたら、だな。」
「了解です!食べ盛りですから…『大物』をお待ちしてます。」

ホントに、こんなのでいいのだろうか…
こうやって『エサ』を与え続けてしまったら、この『雛鳥』は近い将来、
とんでもない『大物』に成長してしまうんじゃないだろうか?
さっきまでの可愛さは何処へやら、獲物を狙うハンターのような集中力で、
黙々と問題を解き続ける赤葦…あ、そこは違う…そう、そっちだ。

『エサ』を目の前にぶら下げた時の、こいつの扱い易さについては、
以前の『牛丼特盛』でもその片鱗を見せてはいたが…まさかここまでとは。
あまりに『チョロすぎ』で、ちょっと心配になってくるが、
さしあたってお互いにマイナスは全くないから…良しとしよう。


「先生、できまし…んっ!?」

キラキラした目でこちらを見上げた赤葦。
その申告を待たずに、黒尾は赤葦の顎をクイっと引き上げ…『大物』を与える。
良くできました…と言いながら、咀嚼するかのように雛鳥の唇を啄んでいく。
澄み切った瞳の中に、『もっと欲しい』を熱望する色が混じり始めてくると、
その真っ直ぐな視線に、赤葦が欲するものは全て与えてやりたい…という、
『親心』に似たような思いが、黒尾の中から湧き上がってきた。

赤葦が腕を伸ばし、黒尾の首を引き寄せる。
互いの成長と変化を促すように、深く絡み交り合う…吐息と唇。
もっと深く…カラダの角度を変えると、ノートとシャーペンが床に落ちた。
バサリというその音が、さらに二人を煽り、全てを奪い尽くさんばかりに、
激しく互いの唇と舌を吸い上げていく。

「あっ、くろ、お、先生…」
「『ヤる気』は…出たか?」

黒尾の問いに、赤葦はコクリと小さく頷き、掠れた声で答えた。
「黒尾先生、次は化学を…教えて下さい。」
元素周期表の『実践』を、一緒に…如何ですか?
頬を赤く染めながら、二人での『実践』…黒尾先生への『報酬』を提案する。

黒尾は『先生』らしく、この問題が解けたらな?…と、耳許に囁いた。
「それじゃあ…『アルカリ土類金属』は?」

この問題は、今まで何度も『実践』した、赤葦の『得意』なもの…
満面の笑みで黒尾の手を引きながら、『答え』を即答した。
「ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
それから…バリウムと、ラジウムです。」

原子は、中心に正の電荷を持つ原子核と、
その周りを飛び回る、負の電荷を持つ電子から成る。
飛び回る電子の軌道…電子殻は、層状になっていて、
周期表の横の行…周期番号が、その層の数を表している。
そして、縦の列…族番号は、一番外の電子殻を飛び回る電子の数を表し、
アルカリ土類金属はその数が2つ…周期表の左から2列目のものだ。

この『2列目』は、以前黒尾先生が『実践』で赤葦に暗記方法を教え、
赤葦は一発で完璧に覚えたものだった。

    『ベッド(Be)に潜って(Mg) 彼(Ca)とする(Sr)のは
       バラ(Ba)(Ra)色のひととき』

教えた通りに、赤葦は黒尾をベッドに招き入れ、布団の中に潜り込む。

「これで…『暗転』はクリアですよね。」
「俺には…『バラ色』に見えるけどな。」

ゲームの年齢制限区分(CERO)によると、区分『D』…
『17歳以上』であればヤることヤって良し(但し『暗転』すること。)
…と、誰かから余計な(間違った)情報を教わった赤葦は、
それを忠実に実行…必ず『真っ暗』を作り出そうとする。
周りが暗転した瞬間に、赤葦の纏う空気が、ガラリと豹変…
黒尾にはそれが『バラ色』に見える程…化学変化のような激変ぶりなのだ。

与えられるばかりだったキスを、赤葦の方から積極的に仕掛けてくる。
その情熱で、全てが溶解してしまいそうだ…と、
酸素の少ない脳内が、その思考すらも蕩けさせてきた。

「二問目…『酸素族』は?」
酸素を求める脳のシグナルに応じ、黒尾は小休止…問題を出した。
これも、『得意』です…と、赤葦は荒い呼吸を整えながら回答する。

「酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム…リバモニウム、です。」
酸素族は、左から16列目…右から3列目の元素である。
その暗記方法は…

    『おぉ(O)すげぇ(S)!
       セックス(Se)テク(Te)は ポルノ(Po)レベル(Lv)』

「まだこの『頂き』は…遠いですね。」
「今後も『実践』あるのみ…だよな?」

酸素族の族番号は『16』…その名の通り、『色』事だな。
まあ、色がわかる『固体』なのは硫黄以下…酸素だけは『気体』だ。
お前の『期待』を裏切らないよう、俺もレベルアップ…頑張ろうかな。

身に纏う無駄な『殻』を取り去り、互いの『核』に触れ合いながら、
二人は『炎熱反応』を徐々に加速させていく。


「そうだ。今回は、『新作』があるんだが…約束、覚えてるか?」
「勿論、です。『誰にも教えないこと』…絶対、守りますから。」

家庭教師をしていた人が、可愛い教え子に『ステキな暗記法』を教えたところ、
あっという間にその子の学校(女子高)中に広まってしまい、
「誰がそんな不埒なことを教えたんだっ!!?」と、大問題に発展した。
危うく『元凶』として、学校に出頭命令を出されかけた…という、
(笑うに笑えない)話を、黒尾はどこかで聞いたことがあった。
だから、『めちゃくちゃ可愛い教え子』の赤葦には、一応念のために、
『誰にも教えないこと』という条件付で、『ステキな暗記法』を伝授していた。

「黒尾先生の『新作』…物凄く楽しみです。」
「今回は、13列目…『アルミニウム族』だ。」

ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム…ニホニウム。
第13族元素だが、金属間化合物の結合が、正十二面体構造をしている。

黒尾は赤葦の『中心核』を刺激する手を止めて、『新作』を教えた。

    『B(B)まではアリ(Al)。ガマン(Ga)!引退(In)(Ti)までナマ本番(Nh)』

ちなみに、原子番号113番・ニホニウム(Nh)は、2016年11月30日、
発見国である日本にちなみ、正式命名・決定された。
これにより、日本発の元素が、初めて元素周期表に記載されることとなった。

「ニホニウムの寿命は…約1000分の2秒らしいぜ。」
「一生忘れません。ですが…これは『却下!』です。」

あの、『却下!』なのは暗記法じゃなくて、その『内容』ですけど…
赤葦は身を捩りながら、止まったままの黒尾の手をギュっと掴んだ。
「引退までは『ココまで』だなんて…あまりにも酷すぎませんか?」

そんなの、『ガマン』できるわけ…ないじゃないですか。
握り締めた黒尾の手を、赤葦はそっと奥へと導きながら、
潤んだ瞳で『コレ以上』を要求した。


「いや、お前のカラダのことを考えると…それもアリだったんだ。」
俺は『家庭教師』としても、この『実践』に関しても、まだアマチュア…
絶対的に『レベル』が不足している状態だからな。
現役の赤葦に、過大な負担を掛けてしまい、バレーに支障が出る可能性もある。
その危険性がある以上、『アルミニウム族コース』もアリだと思っていた。
それに、『蜜の味』を知らないままの方が…『ガマン』もしやすいだろ?

だが、そのコースの選択は、最初から『却下!』せざるを得なかった。
誰かから『余計なコト』を教わってしまった赤葦は、音駒の部室で…
『暗転すればOK!コース』を、一も二もなく選んだのだ。

「成長著しい『教え子』と…俺も一緒に成長するしかねぇよな?」
まさに赤葦は…第6族元素『クロム族』だからな。

焦らすようにゆっくりと『結合』を図りながら、
黒尾は咄嗟に思い付いた『暗記法』を、リズム良く赤葦に囁いた。
第6族は、クロム、モリブデン、タングステン、シーボルギウム…

    『黒尾(Cr)さんっ、もう(Mo)…わたし(W)、すぐ(Sg)欲しいです。』

咄嗟に思い付いた割には、なかなかの良作…
今度は赤葦も『却下!』することなく、『その通りです。』と首肯し、
首を上下に振りながら、パチリと目を見開いた。

「あっ!お、俺も、たった今、ビビっと、思い、付きました…っ」
俺のは…第12族元素の、『亜鉛族』…です。

原子核の中まで入り込んできた黒尾に、赤葦はしっかりとしがみ付きながら、
脳内の強烈な化学反応で生成した『暗記法』を、先生に披露した。
第12族は、亜鉛、カドミウム、水銀、コペルニシウム…

    『ずん(Zn)…と、奥までくだ(Cd)さい。
       ハグ(Hg)して、この中(Cn)まで…』


「赤葦…お前は間違いなく、将来『大物』になるぜ。」
「それもこれも、黒尾先生あってこそ…ですからね?」

このどうしようもなく可愛くてデキる『教え子』…
その『先生』に正式採用されるよう、本気でレベルアップしよう。

与えられる全てを赤葦に注ぎ込みながら、黒尾は心に固く誓った。



- 完 -




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※作中の『ステキな暗記法』は、『一人でこっそり』ご利用下さいませ。
   (間違っても、学校でお友達に言わないように…お願い致します。)

※『アルミニウム族コース』 →『はじめての…』シリーズ


2017/01/28

 

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