※『絶叫禁止』後日談



    中間作出







「ねぇ、もうちょっとそっちに…」…?
「ねぇ、こっちに寄って来ても…」…?


今日は何と、ツッキーと温泉旅行!
先日のツッキー誕生日では、なんやかんや邪魔が入って、全然ラブラブできず…
ひとつオトナになった記念にと、イロイロ計画(妄想)してたことが…全部パー!

それなら次に来る俺の誕生日には…と、一瞬だけ思ったものの、
09/27~11/10の間は44日もある(初日参入)…オアズケ期間として長過ぎる。
どうしたもんかと悩んでいると、ツッキーがどこぞからネタを仕入れてきた。
…どうやら、『真ん中記念日』というステキシステムがあるらしい、と。

想い合う二人の誕生日の真ん中も、記念日にしてイチャ×2しよう~♪という、
どう考えても二次創作サイトで仕入れてきたとしか思えない、御都合ネタ…
いやもう、ホンットーにありがたい。考えた人は天才だと思う。
恋人同士と同人作家は、慢性的なイベント欠乏症という点では、似てる…かも?


   (これが、恋人期間が長くなってきたり、夫婦になったりすると…)
   (記念日の多さが、ケンカの種に直結する恐れがあるんですよね…)
   (結婚記念日だって、挙式日と婚姻届提出日が違う場合には…)
   (どちらが結婚記念日なのか、判断が難しい問題ですからね…)

   (ネタ枯渇の同人サイトでも、記念日は少ねぇ方が良い場合もあんだろ?)
   (推しキャラの誕生日が、年中行事の時季に集中している場合等ですね。)
   (学校行事の多い二学期に…ハロウィンだのクリスマスだのもあるしな。)
   (ここに、推しが複数人重なると…もう嫌がらせとしか思えませんよね。)



そんなわけで、学園パロに使えそうな体育祭とか学園祭とかはお取り置きして、
魔女とか吸血鬼とか、別のデカいシリーズに繋がりかねない大イベントも回避…
残ったもののうち、単品小咄程度の場繋ぎ的な(今までヤってない)ネタとして、
ツッキーとの『真ん中記念日』をヤってしまおうっ…と、あいなったのだ~っ!

   (っつーか、キャラの誕生日が繁忙期に集中してんなら…)
   (『真ん中記念日』だって、期間内に入る…大失策です。)



と・に・か・くっ!!
ツッキーの誕生日に、親切な諸先輩方の知恵をお借りして立てた作戦を決行し、
ツッキィィィィィィィィィィ!!って絶叫しないように『内緒話』したこと…

   「俺達も、そろそろ…お風呂入って、上がって、ご飯食べて、それから…
      親密で、オトナなシットリを、感じ…ねぇ、そうしよ?…蛍、さん♪」


これを一つずつ実行しちゃおうと、一緒にお風呂→それなら温泉とかどう?
ヤりようによっては、温泉旅行ほど美味しいネタはない…文字数も稼げるし、
『ご飯食べて』『親密』『オトナなシットリ』が、全部一か所で済んじゃう!
…と、安直に決定して、温泉旅行に来ちゃいました~的な流れなわけですよ。


   (起承転結の『起』は、こんなもんでいいか?そろそろ話を進めようぜ。)
   (山口君の性格や思考を把握しきれていないと、状況説明も一苦労です。)
   (だよな。まだツッキー達との距離を詰めきれてねぇから…口調も謎だし。)
   (それに、どの程度『オトナ』にすればいいかも…まだ決まっていません。)


距離を詰める…そう、それが大事!
湯船に並んで浸かったけど、二人の間のビミョ~な隙間…これを縮めないと!

少しだけ、ツッキーの方へ手を伸ばす。
でも、思ったより離れてて…指先どころか、起こした水流すら全然届かない。
それなら…「わ~い、湯船独占♪」と言いながら、ぐるりと一周泳いで来たら、
着岸地点をミスって、さっきよりも遠いところに座ってしまうという…大失態。

ツッキーに至っては、もわもわ湯気&眼鏡ナシのせいで、凶悪な目つきだし、
しかも、俺が居る場所とは結構ズレズレなとこを凝視…距離が縮むわけがない。

   (こういう時、二人をどう動かしてやればいいのか…すっげぇ悩むよな~!)
   (アクシデントを装ったり?距離を縮める一歩…非常に難しいテーマです。)
   (その辺をチャラさで隠しつつ突破できる、及川サンみてぇな奴だったり…)
   (そもそも距離等を計らない木兎さんとかは…実に使い勝手がいいですね。)

   (そうなると、ツンデレ野郎はセリフでも場を打開できねぇし…参ったな。)
   (ならば取り得る手段は二択…二人きりになった途端、月島君のデレ発動。)
   (もしくは、山口の方をドエロ設定にしちまって、ガラリ…雰囲気激変か?)
   (その設定は、普段は堅物なお説教キャラでこそ生きる…例えば黒とか赤。)




「なぁ、参考までに聞くんだが…
   もしツッキーが及川サン風だったら、どうやってこの場を打開する?」
「そうですね…下手に喋るとボロとか毒が出てしまいそうですから、
   ここぞとばかりにイケメンをフル活用して、攻めに転じてみる…とか?」


*****


「ぅひゃぁっ!!?」

この先どうしよう…独りで悶々。
すると、ばしゃん!という大きな音と共に、顔に思いっきりお湯がかけられた。
心底驚いた俺は、浴場中に響き渡るような素っ頓狂な声を上げ…
顔にかかったお湯を両手で拭ったら、その手をグイっと掴まれてしまった。

もう一度上げようとした驚きの声は、喉から先に出てこなかった。
俺を捕らえた手の向こう…キラキラと湯を滴らせる長い睫毛に、目を奪われた。

   (き…キレイ…)

いつものツンと澄ました顔でもなく、二人きりの時の甘い表情でもなく、
何かに集中している真剣な瞳で…ただただ真っ直ぐ、俺を見ているのだ。
言うなれば、色んな感情を消し去った、真ん中…『無』に近い状態だろうか。

プラスやマイナスといった『感情』を含まないと、元の『造形』が浮き上がる。
中間の無表情だからこそ、はっきり見えてくる…完全なシンメトリー。

   (惹き込まれる…美。)

そう、その言葉通り…
無意識の内に、俺は『美』の引力に従って、ツッキーの腕の中にいた。


*****


「…う~ん、悪くねぇ雰囲気なんだが、ツッキー『じゃない感』が、なぁ?」
「確かに、コレをやってもハマるのは、大王様級の恥知ら…強心臓だけです。」


温泉という場面にしておけば、起承転結は源泉かけ流しの如く溢れて流れ行き、
ごく短時間で『イけるとこまで』ホットにヌクヌク~♪できると思ったのに…
羞恥や躊躇いを乗り越える、強靭なメンタルと優しさを兼ね備え、なおかつ、
クサいことをヤっても様になる容姿が、最低限必要…実にハードルが高いのだ。

「ただのツンデレ反抗期のイケメン程度では、こなせませんね。」
「チャラいを装える賢いイケメン…スペック高すぎだろ。」

シチュとして美味しすぎる素材だからこそ、料理するのが実に難しい…
温泉だって、温度や泉質管理等が非常に困難なのと、同じかもしれない。


「なるほど…『萌え』のイメージだけでは、『作品』にはならないんですね。」
「そうなんですよね~例えば、俺が木兎さん風に動いたとしたら…」


*****


「ひゃ〜!こんな広いお風呂を独占…ゼータクのキワミだよね〜♪」

僕も一緒に入ってるんだから、『独り』占めじゃないでしょ。
そうツッコミを入れる間もなく、山口は湯船の中をぐるりと一周…平泳ぎ。

それだけなら許容範囲だったけど、自由形だのバタフライだのワンコだのと、
調子に乗って何周もグルグル…挙げ句の果てには、湯船のド真ん中に陣取って、
「俺、背泳ぎだけはちょっと苦手なんだよね〜」と、バタ足三昧を始めた。


「あのさぁ、さっきからこっちに…お湯がかかりまくってんだけど。」
「あははっ、ゴメンね〜!ツッキーも俺と一緒に、背泳ぎ練習する?」

「するわけないでしょ。その格好…眼鏡ナシの僕にも『丸見え』だからね?」
「えっ!?あ、そっか…や、ヤダ、ツッキーのえっち♪…な〜んちゃって?」

あ、これなら…見えないよね?
そう笑いながら、山口は脚を高く上げ下げして盛大にお湯飛沫を跳ね飛ばした。
確かに、ここまで飛沫を立てたら、アレもコレも見えないけれど…


「うるさい、山口…」
「わっ!!!」

タイミングを見計らって、バタつく足首を捕まえ…こちらに引き寄せる。
湯船の底で頭を打ったり、溺れたりしないように、しっかりと胸に抱き止めた。

「…捕まっちゃった。」
「もう…逃がさないよ。」

浴場に、待ち望んだ空気が満ちてくる。
やっと縮めた距離。二人の真ん中にも、あったかいものがじんわりと立ち…


「じゃっ、そろそろ…ヤろっか?」
「山口…お願いだから、黙って。」


*****


「無邪気とお馬鹿は、紙一重…っ!?
   ちょうどいい加減を探って、萌えに繋げるのは…至難の業ですね。」
「これをヤっても許されるのは、木兎さんぐらい…心から羨ましいですよね〜
   大王様とは別の意味で、木兎さんキャラは秀逸…創作向きの素材ですっ!!」

ラブコメ=ラブ+コメディ。
だが、コメディからラブに雰囲気を大転換できるキャラなど、そうそういない。
シラフでそれをやってのけるのは、きっと木兎か…ド天然の牛若ぐらいだろう。

「当事者の内、少なくとも一方に破壊力がないと…物語は進まないんですね。」
「だから普通は、外的要因…アクシデントが必須になっちゃうんでしょうね~」
「いくら『二人でラブラブ温泉旅行』っていう、シチュを設定したとしても…」
「この素材を生かすには、相当な努力が必要…創作も現実も、全く同じだな。」


はぁ~~~~
4人は深々とため息を吐きながら、同時に天井を仰いだ。
ぐぐぐぐ…と四肢を伸ばすと、平均よりかなり長い互いの手足が絡まり合った。


「ところで、何だったんですか?今の珍妙な…二次創作ごっこは?」



*******************




現在、午後11時過ぎ(消灯時間突破)。場所は、梟谷合宿所内大浴場。
皆が寝静まった後を狙って、のんびり入浴していた月島と山口の二人…
そこに、膨大な業務をようやく終えた黒尾と赤葦が、疲れを癒しにやって来た。

「先日、たまたま月島君と山口君にソックリな二人が表紙だった漫画を発見…」
「それが温泉ネタだったって話をしながらここに来たら、お前さん方を発見…」

「更に、今日はたままたお二人の『真ん中記念日』だと、日数計算から判明…」
「これ幸いにと、俺らも試しに月山創作してみるか!って、挑戦したんだが…」

『温泉旅行』『真ん中記念日』という、垂涎ネタのコンボだったというのに、
いざやり始めてみると、誰視点で物語を進めるかで、まず躓いてしまいました。
物語の整合性を図るための、状況説明だけで…洗髪と洗体が完了する有様です。


「不慣れ感がヒシヒシと伝わってくる…『山口忠』のテンションのあやふやさ!
   聞いてる本人が、コイツ大丈夫かな…って、不安になっちゃいましたよ~」
「途中でお二人の葛藤が入ったり…作者と演者の『中間』に居ましたよね。
   しかも、結局最後は僕達自身に相談してしまうなんて…駄作の極みですね。」

俺達を盛り上げようと、OSK…温泉気分を作出して下さったんでしょうけど、
実際は、俺とツッキーの間に割り込んでOSK…お邪魔しまくり、ですからね~
挙句、この広い湯船に4人で密着しながら月山二次創作…お節介甚だしいです!

「とっ、当然ですっ!だって、俺達が二人の真ん中に割り込まないと…」
「お前さんら、オトナなシットリを…ヤりかねない状況だっただろ!?」

「僕達を応援したいのか、邪魔したいのか…どっちなんですっ!?」
「今日は『真ん中記念日』…遠慮とか忖度とか、ぜひお願いしますっ!!」

  
   記念日の邪魔、しないで下さいよ!
   そう簡単に、イチャつかせません!
   お前ら、さっさと上がって寝ろよ!
   いや、そっちが出てって下さいっ!

山口、赤葦、黒尾、月島…
端からお湯を掛けながら、大文句もぶつけ合う…ミッチリと密着したまま。
だが、動く度にお互いの素肌が触れ合ってしまい、何だかビミョ~な気分に…
4人はアタマとカラダとこの場を冷やすべく、湯船の縁に並んで腰掛けた。


「ところで、今日のテーマとなった『真ん中記念日』について、なんですが…」
「これ、どっちの『真ん中』が正解なのか…判断が難しいケースもあるよな?」

月島と山口の場合、二人の誕生日の真ん中は10/19…これは問題ない。
黒尾の11/17と赤葦の12/05も、真ん中は11/26だと確定できる。

「これが、ちょうど一週間違いの山口と俺だった場合、誕生日間は偶数の6日…
   『真ん中』は11/13もしくは、11/14のどちらか…あやふやなんだよな。」
「逆に、一年は奇数の365日ですので、『反対側の真ん中』は…05/15で確定。
   二人の誕生日がごく近い場合は、こちらを採用する方が良さそうですし。」

ちなみに、月島&山口の『反対側の真ん中記念日』は、04/19ないしは20、
黒尾&赤葦は05/27か28…閑散期かつ二日間の猶予があり、非常に有り難い。
もしヤるのであれば、ぜひこちらを採用したいが…覚えている自信はない。


「この『反対側の真ん中記念日』は、創作者に都合がいいだけじゃないよね~
   二人が出逢うタイミングによっては、そっちじゃなきゃ困るかもしれない…」
「例えば、僕と山口が結ばれたのが、明日以降~山口誕生日の間だった場合、
   山口誕生日から来年の僕の誕生日まで遠い…途中にイベントが欲しいです。」

「たとえ反対側が偶数だったとしても、今度は『一緒に日付を跨ぐ』手も…」
「真ん中を確定できない方が、実はシチュ的にオイシイかもしれませんね…」

更には、人数を二人に限定しない…この4人全員で考えることもできる。
一番最初が月島で、最後が赤葦…4人の『真ん中』は10/31または11/01で、
ぐるっと回って『反対側の真ん中』は、05/02となる。

「夜通しハロウィンパーティ…」
「ゴールデンウィークの行楽…」
「結局…イベントにぶち当たるのか。」
「創作者泣かせの面々…驚きました。」


ちょうどいい『真ん中』を作ろうとしたのに、真逆の結果が出てしまった。
4人は苦笑いしながらズルズル…湯船に半分だけ戻って、再度天井を見上げた。

「なんつーかさ、俺らが中途半端にお節介を焼いちまったせいで…」
「折角の『真ん中記念日』をギャグに…申し訳ありませんでした。」

まー、なんだ、その…
俺らの立場的に、堂々と『オトナなシットリ』を許すわけにはいかねぇんだが、
合宿っていう非日常時には、ちょっとしたイベント要素もあっていいと思う。
だから、俺らにできる範囲で、イチャつく時と場を…たまに作出してやるから。

「もし機会があれば、4人でハロウィンパーティをしてみるのもいいですし…」
「オトナになって、4人でゴールデンウイークに温泉旅行へ…行ってみたり?」


心優しいOSKコンビの申し出に、月島と山口の二人はじんわり…
列の両側から『真ん中』に向かい、ギュウギュウとカラダを寄せて引っ付いた。

「色々と、ありがとう…ございます。」
「温泉旅行…楽しみにしてますね~♪」

それでは、僕達からの御礼…と言ってはアレなんですが、
現段階ではどっちに転ぶかあやふやな、『中間点』に居るお二人への激励に…
今日のテーマに相応しい、『真ん中』なミニシアターをお贈りしますよ。

「『OSK』…お節介ばっかりに精を出して気付かないフリ、じゃなくて…」
「『OSK』…お隣とのスキンシップにキュン♪、してみて下さいね~」


*****


「二次創作って…凄ぇ難しいんだなっ」
「ちょうどいいの追求…厳しいですっ」


お先に失礼します~と、浴場から出て行った月島と山口。
湯船に残された黒尾と赤葦は、ホッと一息…そこで、吐いた息を飲み込んだ。

   (おい、ちょっとこれは…)
   (引っ付き過ぎ…ですねっ)

ギュウギュウと圧していた両端が居なくなり、空いた湯船の…だだっ広さ。
真ん中に押し込められた(割り込んだ)時には、あまり意識していなかったが、
ぽつんと『真ん中』だけが取り残された今、自分達の距離をはっきり自覚…
控え目表現で『肩寄せ合い』、艶っぽく言えば『四肢を絡ませ』な状態である。

   (かと言って、今更離れるのも…)
   (嫌がってるみたいで…変です。)

   (ここで『嫌じゃない』の理由に気付いて、ちゃんと考察すれば…)
   (一気にコメディからラブの側へ傾くんだけど…まだ早いよね~♪)



とりあえず、この場を何とかしのぐために、二人は当たり障りのない話題を…
『本日の出来事(特記事項)』即ち二次創作について、確認しておくことにした。

「俺ら自身が楽しもうと思って、月山創作をヤってみたはいいんだが…」
「創る側は、起承転結の構築や誤字脱字チェックで、精一杯でしたね…」

長編や連載ではなく、小咄の一部を彩る(予定の)ミニシアター程度でさえ、
登場人物の見ているもの、感じているもの、考えていることを想像しながら、
なおかつ、グっとクる『萌え要素』をイれ込まなければならないなんて…

   (ファジーな感情を、文字で表す…)
   (文字は、ファジーさを消すのに…)

   (というより、何度も文字として校正してると…萌えがまず消え失せる。)
   (特にエロ!声にならない声!映像や音声を文字にすると…萎えるよね~)



それでもなお文字で二次創作を続けるのは、文字ならではの面白さがあるから…
文字でしか表せない楽しさに、ハマってしまうからだろう。

「例えば、黒&赤のセリフは、全て…」
「見た目の文字数を…揃えてみたり。」

   (文字で映像と音声を消すことで…)
   (読み手側の想像力におまかせ~♪)



目を閉じて…想像してみて欲しい。
『温泉』という文字を分解すると、温かくて…白い水、だ。

二人の他には、誰も居なくなった浴場。
なんやかんやの大騒ぎの末に、いつの間にかピッタリと密着し合っていて、
お互いの肌の感触どころか、触れ合った部分から心臓の音まで伝わってくる…

「あっ、赤葦…肌、スベスベ、だなっ」
「くっ、黒尾さんも、たっ、逞しい…」

   (な、何言ってんだ、俺はっ!!)
   (な、何か別の、違う話題っ!!)

「ツッキー達と、温泉旅行…アイツらのラブラブに、あてられそうだよなっ?」
「合宿所ではなく、旅先ですから…せ、セーブする口実も、なくなりますしっ」

   (いや、そもそもその時の俺らって…)
   (一体、どういうカンケーになって…)


温泉旅行は、『反対側の真ん中記念日』だから…半年以上先だ。
その間に、怒涛の様に訪れるアレやらコレやらイベント三昧を共に過ごす内に、
もしかすると、自分達にとっても…『記念日』となっているかも…?

今でさえ、触れ合う肌にドギマギしているというのに、
この感触が、もっと別の意味を持ち、もっともっと別の感情を湧き起こし…

   (温泉で、『真ん中』から…)
   (温かくて、白い水とかが…)

「---っ!!!」
「---っ!!!」


最高のシチュエーションの中で、一瞬でもそういう妄想に耽ってしまったら、
あとはもう、源泉かけ流しの如く…溢れ流れてイくのみである。

「そっ、そろそろ、出る…か?」
「えっ!?ナニが…ですかっ?」

「馬鹿っ、ソレじゃねぇよ!」
「すすすっ、すみませんっ!」

出たいけど、こんな中途半端な状態では出るに出られず…出すに出せない。
コメディかラブか、オチをどちらかを選択しなければいけない場面が…来た。


「えーと、あのさ…」
「あのっ、その…っ」


*****


「では、僕達はお先に失礼しますね♪」
「どうぞごゆっくりお楽しみ下さい♪」

『御礼』のミニシアターを、テーマに沿って『真ん中』で終えた月島と山口は、
中途半端に固まる黒尾と赤葦に、バシャバシャとお湯とハッパをかけてから、
「イイ湯だ~な…アハハ~ン♪」と、やけに艶っぽ~く歌いながら出て行った。


「こんな『真ん中』を作った状態で…」
「出られないし、終われないですよ…」




- 終 -




**************************************************

月:『OSK』…お節介仕返し、完了だね。
山:『OSK』…お願いそろそろキメて~♪


2018/10/19 月島&山口『真ん中記念日』

 

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