ご注意下さい!

この話は、BLかつ性的表現を含みます。
18歳未満の方、性描写が苦手な方は、閲覧をお控え下さいませ。
(閲覧により不快感を抱かれた場合、当方は責任を負いかねます。)




    それでもOK!な方  →コチラへどうぞ。




























































    指二本迄







「あったまる…」
「うまいなぁ…」


お互いの家の中間点となる、乗換ターミナル駅で待ち合わせて。
駅前のコンビニでおにぎりを2つずつ、スナック菓子1袋を購入。
大通りには面しているけど、繁華街のメインストリートからは少し外れる、ビルの4階へ。

ややお値段は張るが、設備が充実した居住性の良さが気に入っている…とある漫画喫茶。
そこが、いつも黒尾さんと学校帰りにお逢いし、貴重な3時間を過ごす場所だ。

フルフラット1~2名用の、一番お手頃価格な鍵付完全個室を選択。
テレワーク推奨ということもあり、室内でヘッドフォン不要、おしゃべりや電話もOK。
受付でゲームコントローラーを2つ借り、毛布を数枚とフリードリンクを手分けして持って、
コポコポと水の音?みたいなリラクゼーション系BGMを聞きながら、本日のお部屋に到着。


「801号室…語呂合わせ、何が良いと思う?」
「801…山口、及川、岩泉とかでしょうか?」

「ヤるぜ、思いっきり、イっちまおう…は?」
「やましい、おいしい、色っぽい…でも可。」

…うん、いつも通り。
できる限りしょーもない言葉遊びで、逸る気持ちを強引にクールダウン。
よし、気合いを入れすぎないよう…安らかに、落ち着いて、居心地良く。


靴を脱ぎ、ちゃんと揃えて。鍵を掛ける。
ドリンク等はテーブルに、荷物はTV台の上に置いてから、壁に背を付けて向かい合って座り、
ホカホカの湯気を立てる紙コップを両手で包んでから、端っこをそっと触れ合わせて…乾杯。

「あ…っっつ~っ!!また、やっちまった!」
「熱いってわかっているのに、毎度…ですっ」

俺達のお気に入りドリンクは…塩ちゃんこ。
初めて見た時は、何でこんなものが!?と驚いたけれど、飲んでみたら塩気とお出汁が最高。
以来、毎度これを飲みながらおにぎりを食べるのが定番…緊張を解す必須アイテムとなった。

「何で具が入ってねぇのに、こんなに美味いんだろうな?」
「スタジアムのカップ麺と同じく、妙な場所で頂くから?」

「おつゆとおにぎりだけなのに、この世で一番美味ぇって、毎度思っちまうのは…?」
「『何を』でも『どこで』でもなく、『誰と』に尽きると…毎度俺は、思ってますっ」

「俺もそれが正解だと…思う。」
「それなら…よかった、です。」


   あー、やっぱ塩ちゃんこ、熱ぃな~!!
   ちょっと汗かいちまったし、お湯浴びるか?

「赤葦、先に…」
「はっ…はい!」

最初の頃は、お部屋でゴロゴロ過ごして制服が皺になったマズいからと、
常に鞄に入っているジャージに着替えていただけだったが、シャワーもバスタオルも無料…
それなら、着替えるついでにサッパリさせて頂こうぜ!と…これも、俺達の定番になった。

シャワーは15分無料だが、『二人きり』じゃない時間は、できるだけ短い方がいい。
脱ぎ着に時間がかかる制服より、先にジャージになって浴びに行く方が得策。だから…


   二人同時に立ち上がり、ブレザーを脱ぐ。
   仲良く並ぶハンガーに、ぴっちり掛けて。
   お互いの方に向き…顎を上げ目を閉じる。

   俺は下から、手さぐりでネクタイを引く。
   黒尾さんは上から人差し指で顎を辿って、
   キツく締った喉元に挿して、緩めていく。
   ゆっくり、ゆっくり…存分に時間を使う。

「これも毎度思うが、シャワーよりもネクタイ外す方が…時間かかってねぇか?」
「くすぐったいような、じれったいような…不思議と癖になる感覚、ですよね?」

「『くすぐったい』とは、違う顔に…俺には見えるんだがな?」
「おや、目を閉じているのに…後ろの鏡を見られるんですか?」

「サービスで、ベルトも外してやろうか?」
「シャワー、行けなくなっちゃいますよ?」

「おいおい、俺がお前にナニをすると思って…期待してるんだろうな~?」
「狭くキツい所を、ゆるゆる指でこじ開けられるのを…待機中ですけど?」

そんなおしゃべりをしつつ、背中合わせでズボンを脱ぎ、いそいそとジャージに着替える。
互いの姿は一度も目に入れないまま…一瞬でも入れたらマズいと、本能で察しているから。


触れ合う背中から伝わってくる熱と鼓動に急かさせるように、俺は扉に手を伸ばし鍵を開け、
シャワー行ってきます!と言い…そこで一度、視線を落としたままくるりと振り返った。

「あっ、あの!忘れ物を…えーっと、俺のスマホ、充電お願いしますっ!」
「おっ、おう!…って、お前が居ない間に、覗き見するかもしれねぇぞ?」

「暗証番号は9603…『黒尾さん』です。開けた瞬間、俺からのメッセージが出てくるかも?」
「俺のは1107…アルファベットの11番目と07番目だ。該当者なら、開けてみてもいいぜ?」

11番目はK、07番目はG…KGで京治。
俺のスマホを開けたら、背景は真っ黒。黒尾さんの方は、真っ赤。もうとっくに、知ってる。
たったそれだけ…でも、これで充分。これ以上にないぐらいの『メッセージ』じゃないか。


緩む頬を見られないよう、今一度ドアノブに手を伸ばし、スリッパに足を入れた…その時。
背後から伸びてきた手が目の前の扉を押さえ、驚いて上げようとした声を…唇で抑えられた。

「忘れ物は、コレ…だよな?」
「充電、完了…致しましたっ」


暗い室内でも隠し切れない、真っ赤な顔。
それも見ないように、俺はドア脇の調光器を思い切り捻り、部屋を真っ黒にして飛び出した。



漫画喫茶・天井 (クリックで拡大)




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シングルよりは広く、セミダブルよりは狭い。
部屋の横幅は、大柄な俺達が並んで寝るには、ゆとりある広さとは言い難い。
縦に至っては、膝を折るのが必須だし、折ってもテーブルの下に入り込んでしまう。

それでも、毎度このサイズの部屋を選ぶのは、金銭的な理由よりも、むしろこの狭さ…
どうやったってカラダのどこかが触れ合うのが『自然』という、物理的な理由しかない。

「悪ぃ、ペットボトル…取ってくれねぇか?」
「どうぞ。ティッシュも…置いときますね。」

ほら、たったこれだけでも、赤葦の腕が膝を掠め、頬に腿が…柔らかくて、温かい。
もっと近付きたい気持ちを、冷たい水と共に飲み込み、いそいそと寝る準備に取り掛かる。


部屋のほぼ真ん中あたりに、シャワー室から借りてきたバスタオルを1枚敷き、
備品のクッションではなく、部活で使わなかった自前のタオルを枕にして、並んでゴロゴロ。
だが、この居心地の良いゴロゴロ具合に辿り着くまで、文字通りに『紆余曲折』しまくった。

まずは普通に、仰向けで横並び…はい、無理。
肩がぶつかってしまうし、読書しようと腕を上げたら、お互いの顎を盛大にエルボー。
それ以前に、俺はうつ伏せ寝が基本形…猫背を伸ばしながら寝るのは、全く落ち着かない。

「無駄にデカくて…なんか申し訳ねぇな。」
「何の話です?ナニの話なら…謝罪不要。」


次に、お互いの方を向いて横向き寝。
これはもう、やってみて…3秒もたなかった。
周りが真っ黒でも、顔が真っ赤に染まるのが見えるんだな~と、他人事のように思った直後、
いつの間にか『基本形』へ…『真横の間近』だった赤葦の顔が、俺の『真下の間近』に…

「自分の習性と、忍耐力のなさに…呆然だ。」
「それも、謝罪は不要…俺も同罪ですから。」


よーし、わかった。
お互いのレア赤面顔を見なけりゃいいんだよ。
それなら、こうやって…俺が後ろから赤葦を抱え込んで、横向きに寝ればいいってことだろ?
顔は見えなくとも、ピッタリ相似形の密着感…二人が重なってるカンジが、たまんねぇよな~
特に、抱き込んで前に回した手を、むちむちした腿の間に割り込ませて固定するのが、至福。

「黒尾さん。今回は…俺に、謝って下さい!」
「ココに突っ込むぐらい、いいじゃねぇか…」

「前じゃなくて、後ろの方…っ、今にも割り込もうとしてませんかっ!?」
「えっ!?わ、悪いっ!つい無意識で…って、お前も準備万端っぽいぞ?」

「前はそうですけど、後ろはまだ…でしょ?」
「と言いつつ、ローションを出す…流石だ。」


そんなこんなで、口では大層なコトをのたまってはいるが、根は慎重派で常識人な俺達だ。
いくら『準備万端♪』でも、さすがにこんなトコで最後まで致す大胆さは、指先ほどもない。

「少しぐらい、あってもいいんですけどね…」
「その『少し』具合…適度が難しいんだろ?」

ここで逢瀬を繰り返す度に、あぁでもない、こうでもないと、二人で真剣に考察&実証実験。
ようやくたどり着いたのが、『顔を見ない・楽な格好・適度に気持ちイイ』を満たしたもの…
『膝を曲げてお互いに向かって横向き寝(ただし頭の位置は逆)』という、完璧なスタイルだ。

   (鳥瞰図を簡略表記すると…『69』だ。)

「先に謝っとく。俺ら…おバカさんだよな。」
「おバカな俺は誰に対しても…謝りません。」


…な~んていう、他愛ないおしゃべりをしていると、
顔なんて見えなくても、互いの呼気が当たる部分が、否応なく『準備』を始めてしまう。
顔の位置は変えていないのに、少しずつ互いの一部が近づき、脈打つ熱が鼻先を擽っていく。

「これぞまさに、くすぐったいような…」
「むしろ、じれったい…ばっかりです。」

ネクタイを解き合うのには、あんなにじっくりと時間をかけたのに。
同じ指が、意識する間もないぐらいのスピードで、目の前のジャージと下着をずり下ろす。
すると、解放を待ち望んでいた熱い塊が、勢いよく現れ…ピトリと頬にキスをくれた。

換気扇の音だけが静かに響く室内に、ゴクリ…と唾を飲み込む和音が反響する。
そして、同時に深呼吸し、熱を口に含み・含まれた感触に息を詰まらせる…二つの音。


「んっ、残り、時間は…?」
「あっ、後、二時間…半っ」

「時間ぎりぎりまで、ゆっくり…っ」
「のんびり、過ごしましょう…んっ」

できるだけ長い間、気持ちイイが続くように。でも、最後までは至らない程度の緩やかさで。
口に含むのは先端だけ。奥まで深々と咥え込んだり、手で強く握り扱いて終わらせないよう、
時折おしゃべりをしたり、心地良さにうつらうつらしながら…互いをじわじわ愛撫し続ける。

「こういうの…忍耐力養成訓練でしたっけ?」
「横文字だと…スローセックスってやつか?」

「明日の部活に響かない程度に、最大で…っ」
「最長の、気持ちイイを追求…今の最善だ。」


本当は、残り時間とか、明日の予定とか、周りの状況とかを一切気にせずに、
『ヤるぜ!思いっきり!イっちまおう!』に浸る方が、最高かつ最良なのかもしれない。
もし叶うのならば、そんな『801』に突っ走ってみたいと、心のどこかでは思っている。

でも、自分の気持ちイイを追求するより、今はもっと…もっともっとヤりたいことがある。
舌と上顎で挟み込んでみたり、下唇だけで筋を辿ってみたり、舌先で溝を掘ってみたり…
口の中だけの小さな動きで、様々な反応を全身で返してくれるのが、嬉しくて堪らない。

   (ナニをどうすれば、もっと…ヨくなる?)

とにかく、赤葦を気持ちヨくさせてやりたい。赤葦が悦ぶ姿を、ずっと感じていたい。
勿論、俺のモノを両手で包み、口と舌で精一杯刺激してくれるのも、物凄く気持ちイイが、
刺激そのものより、俺のために頑張ってくれている姿に、得も言われぬ痺れを感じるのだ。

「きもち、ヨさそうで…よかった、です…っ」
「それは、こっちの、セリフ…っ、だよ…っ」


赤葦の熱を包んでいた手を緩め、中指と人差し指を伸ばし、熱と一緒に自分の口に含む。
舌と指の刺激で溢れてきた蜜で、熱に絡めた二本をしっかり湿らせているうちに、
その先を期待し促すかのように、ビクビクと腰が跳ね…動きに攣られて、腿が開いていく。

緩み始めた隙間を少しずつ広げるように、後ろに回した手で柔らかいお尻を揉みしだき、
十分温かくなってきた頃を見計らって、割れ目に濡れそぼった指を滑り込ませ…沈めていく。

   (痛く…は、なさそう、だな。)

口で聞かなくても、赤葦がどう感じているのかは…口でわかる。
緊張ではなく、快感で強張り痙攣する熱が、口から脳へとダイレクトに伝わってきて、
それが俺自身の快楽にも直結…赤葦の口に、まっすぐ伝わっていく。

「すっげ、きもち、イイ…たまんねぇ…っ」
「ゃっ、そこで、しゃべら、ない、で…っ」

口は、人体の中で最も神経が密集し、尚且つ脳に近い場所。
そこで二人同時に気持ちイイを高め、共鳴増幅し合える歓びに、心も体も震えてしまう。


   ゆっくり、ゆっくり…存分に時間を使って。
   キツく締ったネクタイに、指を挿すように。
   まずは、一本目…中指だけで、優しく撫で。
   そして、二本目…人差し指を、埋めていく。

「んんっ…っ!!」
「っ!?…ん…!」

指でゆるゆる解せば解すほど、俺の熱は逆にぎゅぎゅっと…赤葦の口にキツく締められる。
指二本しか入れていないはずなのに、熱を全部埋め込み、繋がり合っているような錯覚…

「いまが、いちばん、キモチ、イイ…っ」
「ちょっ、そこでっ、しゃべんな…っ!」


おしゃべりしながら、『気持ちイイ』を、二人で一緒に味わって。
ギリギリ理性を保ち、嬌声を自力で抑え、『コレ以上』に突っ走らないでいられる、限界で…

「ココ、では…今は、まだ…っ」
「指、二本迄で…楽しもう…っ」




- 終 -




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※鍵付完全個室のある某漫画喫茶は、条例により18歳以下の利用ができない店舗もあります。
※同様に、警察署の指導により、店内フリードリンクを個室内に持ち込み不可の店舗が基本とのこと。
   (自分で持ち込んだものはOK)
※シャワー・バスタオルは一部店舗で無料。



2020/11/14

 

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