通年馬鹿







無駄にハナ(提灯)を咲かせたり、
山口以外に溺れる僕なんて、見たくないでしょ?

そう言って、ツッキーは数年前から、
年明け早々より『季節性鼻炎』の薬を飲み始め、
『春のマスクまつり』を卒業した…はずだった。

でも、昨年から世間が『通年マスクまつり』に突入…
結局ツッキーは、鼻水を隠すためじゃないマスクを、
今年の春も延々、装備し続けている。



「これなら一年中、『月山マスクネタ』をヤれるね。」

ツッキーは冗談めかした真顔で、『通年馬鹿』を提案。
俺は笑顔100%で、今年の四月馬鹿もスルーした。

だって…冗談じゃないよ、ホントに。
一年中マスクを装着したツッキーなんて、
馬鹿も休み休みにしてほしいんですけど。



マスクを常時つけるということは、
口元をずっと隠し続ける…っていうこと。
つまり、口から飛沫が出てこないのと同時に、
ツッキーの『毒』も、ガードされちゃうんだよっ!

んでもって、空間補完効果…
人間は隠された部分を、都合よく脳内で妄想するから、
マスクしてるだけで、みんな美男美女に見えちゃうらしい。
元々美形で、目元も知的眼鏡風なツッキーだと、
その威力は計り知れない…妄想の限界超越じゃんかっ!

『イケメン』+『イケメン妄想』ー『毒舌』=心臓破り

そんなこんなで、俺は昨年からのコロナのせいで、
今まで以上にツッキーに『コロっとな♪』な状態。
四月馬鹿のネタが、ただの通年バカップルが寝た、に…



「ねぇ、山口…」
「っ…、マスク、外さないで…っ」

「外さないと…できないけど?ま、仕方ない…」
「っ!!?や、やっぱり、外してっ!!」

マスクを付けたままでも、外してしまっても、
ツッキーはやっぱり、ツッキーのまま。
俺にとっては、目に毒でしかない存在だ。



「あ~ぁ。俺ってホントに…お馬鹿さんだよね~!」
「今日だけは、お馬鹿さんでも…許されるんだよ?」




- 終 -




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2021/04/28    (2021/04/01分 縁側小咄より移設)

 

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